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幾日か過ぎ、今日は仕事終わりの先輩に呼び出されていた。



「いいのよ柳瀬君、遠慮しなくても。 ここは私が払うからさ! 呼び出しといて柳瀬君に払わせるつもりないし最初からそんなつもりないからね?」

「はぁ、すみません……」

「もう、ほら食べて飲んで? 代行も呼ぶから気兼ねなしにさ」



先輩と初めて飲んだ居酒屋に居る。



「その…… まだ仕事見つからないよね?」

「はい、探してはいるんですけど」

「私もさ、いろいろ調べてみてるんだけど神崎家ってほんとにやる事エグいわねぇ。 一個人にここまでするなんて、莉亜ちゃんのお父さん…… おじいさんもだっけ?」

「はい」

神崎寿造としぞうって今の神崎製薬を大きくしたみたいだけどそれ以外さっぱり。 でもそんな事してるって事は莉亜ちゃんのお父さんもおじいさんに影響受けたのかしら?」



俺も実は調べてたんだよな。 まぁ何も出てこなかったけど1度味わうとあのじいさん何が息子はどうしてこうなった? みたいな事言ってんだよとどの口が言ってんだって思ったけど俺なんかじゃやっぱりどうしようもなくて。



「私に何か出来ないかなって思ってるけど全然力になれなくて……」

「そんな事ないですよ、先輩ずっと俺の事励ましてくれてるじゃないですか? 俺の方こそ先輩に」

「迷惑なんて掛けてないよ?」



俺の口を人差し指で押さえて先輩はそう言った。



「そ、そうですね! 先輩と会ってるのにこんなくよくよしてたら先輩に申し訳がありません、飲みましょう!」

「うん! ジャンジャン飲んじゃおう!」



俺は酒はあまり飲まなくなったのでそんなジャンジャン飲めないけどな。 



「あははは、はぁ〜……」



笑ってたと思ったら先輩は溜め息を吐いた。



「先輩?」

「あ、ううん。 この前会社で誘われて飲みに行った時より楽しいなって、やっぱ柳瀬君が居るからかな。 柳瀬君が大変な時にする話題じゃないけどさ、ごめん」

「いえ、いいんですよ。 でもその…… 会社の人になんか変な事とかされませんでした?」

「え? ええー? 聞いちゃうそんな事? うふふ、何もないよ心配しないで」



その後1時間くらい居酒屋で飲んで代行を呼んで家に帰った。 俺と先輩は結構酔っていたと思う。



「ただいまぁー!」

「おかえりなさい?? ええ!? なぜ乙川さんがここに?」

「あれぇー? ここ私の家じゃない? あ、柳瀬君の家でしたぁ」

「うわッ! 2人とも酒臭ッ…… 弥生さん相当酔ってるわこれ」

「清人…… 2人で何してたの?」

「何って…… なんでしたっけ?」

「お酒飲んでだけです〜〜ッ!」

「ダメだこりゃ。 莉亜水持ってきてあげたら?」

「は、はい! そうですね」

「清人から離れて」

「麻里ちゃんもくっついちゃえばいいじゃん!」

「へ? あッ!!」



日向はガッと先輩に肩を掴まれてそのまま先輩に抱きしめられて玄関の床に先輩と崩れ落ちた。



「お、お酒臭い…… 清人助けて」

「ほら日向」

「あ!」

「もぉー、どこ触ってんの清っち? 麻里の胸鷲掴みにして」

「胸? あ、ほんとだ。 柔らかい」

「お水持ってきま…… や、柳瀬さん! どこ掴んでるんですか!? セクハラです! セクハラ!」

「あはは、柳瀬君セクハラするなら私でいいでしょ〜?」

「だ、ダメ!! あたしでいいから、ね? 清人」

「誰でもダメです!! みなさん落ち着いて下さい!」

「あんたもね。 じゃあ清っち部屋に運ぶから弥生さんは麻里の部屋に運んで」

「なんであたしの部屋?」

「あんたの部屋何もないから広いじゃん? ほら行くよ清っち」

「あ、あれ? お水飲まないんですか?」



よくわからないうちに篠原に部屋に運ばれた。



「ふぅー、重い! ほら、ベッドに座って。 あ、はい水」

「ん? ああ」

「そこ私の頭なんだけど? どんだけ酔ってるのよ、飲ませてあげる」



篠原がコップを俺の口に当て水を飲ませるが傾け過ぎたせいで溢れてしまう。



「あーあ、ごめんごめん。 タオル持ってくるね」

「柳瀬さん大丈夫ですか?」

「あ、莉亜ちょうどよかった。 タオルある?」

「はい、ちょっと待ってて下さい」



神崎が出て行った後急に眠くなってきた。



「ここまで酔ってる清っち初めて見た。 ってあれ?」






◇◇◇





目が覚めると目の前からなんだかいい匂いと何か抱きしめている感触ががした。 と思ったら篠原の寝顔があった。



あれ!? なんでここに篠原が? なんで俺は篠原を抱きしめてんだ? 確か俺は先輩と一緒に居たよな?



混乱していると同時に頭痛もする。 飲み過ぎた、代行呼んだんだよな? じゃあ家に着いて俺の部屋だし電気も点いてるし今は……



時計を見ると深夜2時。 篠原が起きないようにそーっと離れた。



「んんッ……」



篠原が少し唸ってビクッとしたが起きなかった。 トイレに行きたくなり部屋を出る。 ふと玄関を見ると先輩の靴が。



ま、マジか!? 先輩帰ってなかった? なんでここに居るんだ? まさか俺以外の部屋のどこかに先輩が居るのか?



落ち着け俺…… トイレから出た後篠原の部屋が目に入りピンと来た。



篠原はなんでか知らんが俺の部屋に居た、という事は空いてる部屋は篠原の部屋のみ。 



俺はいけないと思いつつも先輩が居るかもしれないというドキドキでそっと篠原の部屋を開けた。





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