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「清っち? おーい!」
「あ、あれ? 篠原?」
「お! 目覚めた?」
篠原が居た。 時計を見るとあれから1時間経ってない。
「莉亜から聞いたよ? 麻里も来たけど清っち寝てるからってチラッと見て出て行っちゃった。 心配してたよ?」
「そっか。 つうかお前は逆に起こしてくるんだな」
「うん、清っちの容態を見たいからね! まぁでもそんなに悪くない?」
「少し寝たからかな? その前まで吐き気とかしたけど」
「莉亜の顔見たから吐き気しただけじゃないの?」
「はぁー、神崎が聞いたら怒るぞそれ」
起きようとしたけど篠原は俺のおでこに手を当てて枕に押し付けた。
「なんにしても安静にしときなよ? 清っち疲れてるんだもんね。 あ、もしかして明日休むんなら弥生さんお見舞いに来たりして? そう考えると楽しみ?」
あ!! そうだよな、こんな状態だと先輩お見舞いに来てくれそうだ。 でも図々しいよなそれは、何もしてない俺が具合悪くなったとかって…… ん? 逆に来ないとおかしいか? あれ?? これは先輩に言った方がいいのかな、話合わせてもらう都合もあるかもしれないし。
「んー? なんか楽しみというか複雑そうな顔してるよ清っち」
「う…… 図々しいかなって思って」
「まぁ弥生さんは仕事終わりだからね」
「そうだよなぁ、疲れてるとこ悪いかな」
「なら私が清っちの面倒見てあげようか? したい事してあげるよ、うふふ」
「お前がそんな風に笑うと悪巧みしてるようにしか見えないぞ?」
「そんな事ないってー。 うりゃッ!」
「んなッ!?」
篠原はスカートをパッと上げて下着を見せてきた。 こいつは痴女か!? 今更だけど……
「何やってんだよ!!」
「元気ないから私の下着見せてあげただけじゃん?」
「そういう元気付け方あるか!?」
「でも元気になったでしょ? この前買ったばっかでお気にの下着なんだ、可愛いっしょ?」
「いいから捲るな!」
「ああん、純粋に可愛い下着でしょって見せただけなのに〜!」
その時バン! と勢いよく部屋のドアが開いた。
「彩…… 清人具合悪いのに無理させないでよ」
「え〜? ほらもうこの通り清っち全然元気になったよぉ」
「彩が騒ぐからでしょ? もしそれで清人が立ち直れなくなったらどうするの?」
立ち直れなくなるって…… そこで使う言葉じゃないだろ?
「ぷぷッ、寧ろ立ち直れなくなるのは麻里の方だったりしてねぇ」
「彩ッ!」
「ストップ! ストップです! ぐへッ!」
「あれ?」
「あらぁ〜」
「神崎……」
「…………」
2人の間に入った神崎は日向が持ってたおたまと迎え撃とうとしていた篠原の手に絶妙なタイミングで顔を挟まれた。
「あはははッ、なんつー顔してんのよあんた! 見て清っちこの顔〜!」
「莉亜それ反則…… くくッ」
「…… ぷッ」
「い、いつまで私の顔潰してるんですか!? いい加減にして下さい! それに柳瀬さん今笑いを堪えてましたね!」
「そ、それはお前の顔が面白かったから」
「だよねぇ〜、ほらもっかい!」
「やりません! 私で遊ばないで下さいよ」
「ねえ清人、この2人と居ると疲れるからご飯食べよ?」
「え?」
「ま、麻里…… それは酷いですー!」
「あんたの事泣かせたくなってきたわ」
………… 結局俺の部屋で大騒ぎじゃねぇか。 ああ、でも俺具合悪かったんだっけ? すっかり忘れてた。
「ほら日向、夕飯食べるんだろ?」
「ん…… 清人顔色少し良くなった?」
「あらホント! 清っちむっつりスケベだから私のエロエロパワーでバッチリ治ったね」
「「エロエロ?」」
「あ、あなた達一体何をしてたんですか?」
「そりゃあ清っちに私のパンツ見せてたんじゃん? それで清っち大復活〜!」
「清人…… そんなので治ったの?」
「違う、勝手な事篠原が言ってるだけだ」
篠原余計な事言いやがって。 だけどこいつらのバカなやり取り見てて重い気持ちが大分和らいだのは確かだった。
「彩の下着姿なんてどこがいいのかわかんないけど」
「はー? あんたみたいな外見に気を遣わないようなだらしない奴に言われたくないわねぇ」
「彩奈の部屋も大分ゴチャゴチャしてますけどね」
「いい加減にして下さいとか言ってたくせにお前も蒸し返すんじゃねぇよ」
その後夕飯を食べて次の日は元気になってたが俺は会社を休んだ方がいいとなった。 そして篠原が俺についている事になっていた。
行ってもない会社に電話を入れるフリをするのは俺のために休んだ篠原に若干申し訳ないけど。
「休んでいいって?」
「ああ、お前こそいいのかよ?」
「別に〜、私は学校行っても行かなくてもどっちでもいいし清っちの看病して休めるなんてお得じゃん?」
「お得って。 俺もうそんなに具合悪くないけどなぁ」
「あれ? そういえば弥生さんって来るの?」
「仕事帰りに来てくれるらしい」
「へぇ〜ふぅ〜ん、清っち大変おモテになりますねぇ」
先輩も仕事帰りで疲れているところ申し訳ないが話を合わせておく都合上もあるもんな。
「おーい、遠い目してるけど弥生さんとの妄想でもしてんの?」
「いてッ!!」
「やっと戻ってきた」
「看病とか言ってるくせに暴力振るうなよ」
「大丈夫大丈夫! 清っちは精神的な疲労だから」
「え? お前わかんの?」
「私そんな鈍感じゃないもーん! なんかつっこんで欲しくなさそうだから言わないであげたけど! …… それでいいの?」
少し最後の方は真面目な口調だった。 良くないってわかってるけどさ。
「まぁ今日は私と一緒にゆっくりしてよ? それとどっか買い物連れてって?」
「それゆっくり出来るのかよ?」
「うふふッ、私がおもてなししてあげるからさ、大船に乗ったつもりでいなさい!」




