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「やっと着いた」

「いや、あっという間に着いただろ」



そんなこんなで日向と家に帰って来た、平日なのに家に居ると仕事してない気分だ、してないけど。



「あ……」

「なんだ?」

「こっち来て」

「??」



日向にキッチンへ連れて行かれる。 昼にはまだ早いぞ。



「清人にいい物あげる」

「いい物?」



冷蔵庫から牛乳のパックを渡された。 よく見れば何個かある……



「これは?」

「学校で貰う牛乳」

「なんでここに? てか高校でも牛乳配ってるのかお前らの学校」

「素の牛乳そんなに好きじゃないから莉亜か彩にあげてる。 けど大分残ってるから清人にあげる」

「余りもんじゃねぇか。 ちゃんと飲めよ、大きくなれないぞ? ってお前それなりにデカかったな」

「さり気なく悪口言った?」

「べ、別に」



貰った牛乳を飲んでいると日向にジロジロと見られる。



「なんでそんなに見てんだよ?」

「よく飲むなぁと思って」

「渡した相手に言う事じゃないぞ」

「美味しそうに飲んでたから」



パッと日向に牛乳を取られた。 そして試しにという感じで日向も牛乳に口を付けた。



「ほら、飲もうとすれば飲めるだろ」



と日向の肩にポンと置いた。



「ぶッ! ぐへッげほッごほッ」

「…………」

「げほッげほ、あ……」



俺は吐瀉物をよくかけられるなぁ。 神崎の次はお前かよ。



「ごめん…… でも頑張って飲んでたのに清人が邪魔するから」

「あれで邪魔した事になるのかよ? えっとタオルタオル」

「それ雑巾だよ?」

「げ…… 拭いた後に言うなよ」



まぁ気を取り直して…… 今日はもう家に居ていい理由も出来た事だし外を彷徨かないで済んだと思えばいい。 ガソリン代もバカになんないし。



部屋に戻ろうとすると後ろから襟を掴まれグエッとなる、さっきの仕返しか?と思って振り返る。



「こっちで拭きなよ」

「え? ああ」

「拭いてあげる」

「冷たッ、てか牛乳臭ッ! お前自分を拭いたの使いまわしたろ?」

「あ、そうだった。 でも口に入る物だから汚くないよ」



そういう問題か? つうか神崎の時はめちゃくちゃ汚そうにしてたくせに。



「はい綺麗になった」

「なったのか? まぁいいや、じゃあ俺は部屋に戻るからな」

「あたしも戻る」



あーあ、俺なんだかんだで仕事クビになってから堂々と家に帰れなくなったな。 実家なんて更に行き辛い。



「ん? お前の部屋はあっちだろ、戻るんじゃなかったのか?」

「あたしが行こうとしてたのは清人の部屋だもん」

「そうかよ、言っとくけど俺は昼まで寝るからな?」

「ならあたしも寝る」

「自分の部屋で寝ろよ?」

「一緒に寝た方があったかいよ、嫌?」

「はぁ〜、勝手にしろ」

「うん」



「いでッ!」 日向の裏拳が顔面に飛んできた。 狭いんだからこうなると思った、1人だけ気持ち良さそうに寝やがって。



日向の手を退けると制服のポケットから携帯が落ちた。 画面が見えて着信が来てるのがわかった。 ついでにLINEも来た、神崎か日向の数少ない友達のうちの誰かかな? もしかしたら男かもしれないな。



日向の顔はこっち側を向いていたのでじっと見つめてみた。 



あ、ヨダレ垂らしてやがる。 仕方ない奴だな。 



ティッシュを取って日向の口元を拭いてやると鬱陶しそうに唸って壁側を向いた。



よく考えたらあんまり眠くないや、タバコでも吸ってくるか。



玄関に出てタバコを吸い終わってもしばらくボーッとしていると携帯が鳴った。 見てみると神崎から何件か着信とメッセージが来ていた。



見てみると日向の事だった。 それと日向から俺と一緒に帰ると言う事が伝わったらしい。 予想通り仕事休んで大丈夫なのかと来ていた。 まぁ仕事してないから大丈夫とは言えないので有給使って休んだという事にしておこう。



部屋に戻りベッドの横に座ると日向が肩に覆い被さってきた。



「なんだ起きたのか?」

「ドア開いたの聞こえた。 清人タバコ臭い」

「吸ってきたからな。 携帯鳴ってたぞ」

「うん?」



日向はゴソゴソと携帯を探す。 制服のまま寝ているのでスカートが捲れ上がっている、ストッキング履いてるからってあられもないので顔を逸らした。



「あー……」



日向は見ると携帯を置いた。



「返さなくていいのか?」

「いいよ莉亜とクラスの子だし」

「神崎はともかくクラスの奴には返した方がいいんじゃないか?」

「いいよ面倒だし男子だし」

「小島?」

「ううん、なんか話し掛けてくるようになった人」

「お前も篠原に負けず劣らずモテてるな」

「別にモテなくていい疲れるし」

「俺より有望株かもしれないぞ? 俺給料安いし」

「? 妬きもち? それって妬きもち?」

「いやそんなつもりじゃないけど」

「安心して清人」

「へ?」



日向は俺が妬いていると思ったのか後ろからハグした。



「清人の給料なんて安くても構わないから」

「え? 安くていいの?」

「あたしも頑張ればいいし。 清人のためなら頑張れる、死ぬほど走れる、料理だって作れるようになった」

「お前……」

「あ、お昼何食べる?」



なんだろう、俺少し気持ちが軽くなった気がする……







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