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「清人お腹空いた」

「あ〜、じゃあなんか食べるか。 お前らも腹減ったか?」

「そうだね、もうお昼近いし」



というわけなので遊園地の中にあるレストランに入った。 メニューをパッと見ると高い。 こういうとこって無駄に高いとは思ってたけどやっぱり高い……



仕事してればなんて事ないんだけどなぁ。 



「これにしようかなぁ…… ん〜、でもやっぱこっち! でも両方頼んだ方がいいかなぁ?」

「彩奈、食べ切れないくせに無駄に頼むのはやめて下さい」

「いーじゃん? 清っちが食べてくれると思うし」

「柳瀬さんが自分の分で満腹になったらどうするんですか? はぁ……」

「ていうか麻里ったらさっきから清っちの事ほんとに独り占めにしててなんかムカつくわね」



そう言われて日向は俺の肩にしがみついた。 もうテーブルについてんのにやめろよな……



「食べ過ぎた……」

「清人大丈夫?」

「だからあれほど頼み過ぎるなと言ったじゃないですか彩奈」

「ごめんごめん、目移りしちゃった」



飯代合計8720円、こんな感じで使っていったらあっという間だぞ?



「いてッ」

「あ、ごめん」



考え事をして歩いていたら日向にぶつかった。 



「何か乗りたいのでもあったか?」

「ううん、莉亜と彩どこいったのかなって」

「は?」



あいつら居なくなったのかよ? いや、俺らがはぐれた可能性あるか。 下ばっか見てたし。



「日向、神崎達見てなかったのか?」

「うん、ずっと清人の事見てたから。 なんか悩み事? 難しい顔してるよ」

「そうか? 俺は普通だよ」

「仕事……」

「え?」

「あ、最近仕事忙しいようだしそれで悩んでるのかなって」

「そんなんじゃないよ。 とりあえず神崎達を探そう、神崎に電話してみるから日向も篠原に電話掛けてくれないか?」

「わかった」



そうして日向が携帯の画面に目を落として俺は日向に背を向け携帯を耳にかざした時だった。



携帯ごと誰かに手を掴まれチクッと首筋に痛みが感じた瞬間意識がなくなった。



次に目を覚ましたのは知らない場所…… 車の中? めちゃくちゃ広い。 拉致? この状況マジでヤバいと目が覚めたばかりであまり自由が効かない身体を無理矢理起こす。



「目を覚ましたかね? 手荒な真似をしてすまないと思ってるが君と直接話がしたかったのでね。 なかなかいいタイミングがなくて手間取ってしまったが」



後ろから声が聞こえて振り向くと神崎のおじいちゃんと2人の厳ついスーツ姿の男がそこに居た。 なんで神崎のおじいちゃんが俺の事をここに?



「あなたは……」

「さぞ驚いたろう? だが勘弁して欲しい。 さっきも言った通り柳瀬君と話をするのが目的だ。 それに君が眠っていたのはほんの10分ほどだ、ここは遊園地の駐車場だよ。 即効性の睡眠薬を使わせて貰ったがいつまでも眠ってもらっても困るし気付け薬を今注射したところだ」

「そう…… ですか。 そこまでして俺と話したい事ってなんですか?」



ほんと手荒だな、ヤクザみたいだ。



「何、大した事ではない。 君が置かれている状況は私もよく知っている、我が愚息のした事も」



もしかして助けてくれるのか? 神崎のおじいちゃんはあのクソ親父と違って話がわかりそうだし…… と思った俺は甘かった。



「柳瀬君、率直に言おう。 莉亜の事を諦めて辰巳の言う通りにしてくれないかい?」

「は?」

「君もわかったろう? 我が神崎製薬の影響力を。 まだ辰巳が君にした制裁は優しいものだ、我が社ほど大きくなると政財界、警察、そして裏のパイプがある。 そんなバックを持つ我々にとっては君の事などどうとでも出来る、例えばこの場で君がいなくなっても容易に隠蔽出来るほどにね」



何を言ってるんだこの人は? 俺を脅しているのか? 神崎の父さんのように……



「ここで手を引いて息子の言う通りにすれば君の制裁も解除させよう。 それだけじゃない、詫びとして君に謝礼も送ろう、君が一生掛けても手に入れる事が出来ない大金をね。 これには口封じの側面もあるから口外しない事が前提条件だ、もし口外しようものなら君の生命の保証は出来ないが」



こいつ…… 好々爺だと思っていたのにやっぱりあいつと親子だ。 それもそうだよな、よく考えてみたらあのクソ親父の親だ。 神崎には甘いのかもしれないが他人の俺には本性を晒け出す、くそ! どいつもこいつも……



「神崎はあんたの事は尊敬してたんだぞ? なのに裏ではあんたの息子と繋がってたってか?」

「莉亜の将来を考えればこそだ。 私は辰巳と違って学術や才能だけでなく本当に莉亜の事が大切でね、そう思えばこそだと思っているだけだよ」

「結局同じじゃねぇか! 大切なら莉亜の意見を尊重しろよ! 言ってただろ!! 莉亜の意思を大事にしたいって、あれは嘘だったのかよ!?」



俺は神崎のおじいちゃんに掴みかかろうとすると2人の男に取り押さえられた。



「莉亜の意見は尊重したいが莉亜はまだ子供だ、何もわかってない。 だが莉亜の考えを頭ごなしに否定するわけにもいくまい。 なんせ愛しい孫だからね」

「あんたもあのクソ親父に負けず劣らずのクズだな! 人を拉致って脅迫する分もっとタチが悪い」

「では理解してくれたかな? 莉亜の事は……」

「ふざけんな! けどハッキリした、神崎はやっぱり自分の道を進むべきだ、あんたらみたいなクズの思想に神崎を巻き込むな!」

「そうか、残念だ。 交渉は決裂のようだね。 君達彼を離しなさい、さようなら柳瀬君」

「おい、待てよ!」



俺はそのまま車から出され神崎のおじいちゃんを乗せた車はすぐさま発進してその場から消えた。



そうだ、神崎達は!? と思い携帯を探すとポケットにあった、電源は切られていた。 電源を入れると日向から何件も着信が…… そして神崎と篠原からも。



神崎のおじいちゃんに拉致られたなんて言えないので日向ともいつの間にかはぐれるし大目玉だな。 俺…… マジでこの先どうしたらいいんだちくしょう! 忘れるか? 今あった事忘れようかな……



「清人!」



横を向くと日向が居た。 走ってたのか息を切らしていた。



「日向…… あ、ごめんな。 俺まではぐれちまって」

「はぁはぁッ…… 見つかったからいい」

「疲れたろ? そこにベンチあるから神崎達も来るのを待とう」

「うん」



日向にジュースを買ってあげて2人でベンチに座って待っていると日向は俺に寄り掛かる。 



なんかさっきの光景が嘘みたいに感じるな、でも俺に降りかかっている厄介ごとは現実だしこれは神崎には言えないし日向や篠原にも当然言えない。



「清人、莉亜と彩来たよ」

「あんたらわざと居なくなってイチャイチャしようとしてない? 清っちなんか電源切ってるし」

「ははは…… 悪い」

「まったく…… 彩奈の言いたい事もわからないでもないです。 でもまぁ見つかって良かったです、ちゃんとみんなで楽しみましょう」

「そうしよ清人。 手繋いでてあげるから」

「ああ」





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