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「おー、結構登れるようになってきたな」



あれから30分くらいすると日向は5メートルくらいの高さまで登れるようになっていた。



「はぁはぁッ……」



もうちょっと余計な力抜いてやればもっと高く行けるんだけどな。 日向の息が切れてるのでそろそろ落ちるなと思っていたが予想より登っているので俺は日向に注意したのに真下に来てしまっていた。 



そしてフラグを回収するように……



「も、もうダメッ」

「え?」



気付いたら日向の尻が俺に向けて落下していた。 避ければ良かったのに条件反射で受け止めてしまいそのままマットに沈んだ。



お、重ッ…… ていうかぎっくり腰になるかと思った、危ねぇ。 漫画みたく綺麗にキャッチするのは無理だな。



「清人大丈夫?」

「あ、ああ。 潰れるかと思ったけど」



日向から離れて立ち上がろうとしたが日向は俺の首に手を回し離れようとしない。 というか気付けばお姫様抱っこみたいになっていた……



「もうちょっとこうしたい」

「もうちょっとって…… 」



何人か人が居るしこれで静止してるのはかなり恥ずかしいんだけど。 それに日向は汗ばんでいて少し濡れた髪と肌の感触がなんかエロい……



「もういいだろ?」

「うん……」



日向はゆっくりと立ち上がるとベンチの方へ行った。



「疲れたのか?」

「ちょっとね」

「暑いし喉渇いたろ? ジュース買ってくるよ。 何飲む?」

「清人と同じの」



自販機に行きジュースを買って来ると日向が居なかった。 また登り出したのか? と思って壁を見るが居ない。



どこ行ったんだよと思い見回すと男3人の後ろに日向が居た。 え? ナンパされてんのか?



近付いて見るとなんかそれっぽい。 迂闊だった、日向を1人にさせたらそうなるかもしれなかったのに。



俺はそいつらに割って入り日向の手を掴んだ。



「あ? 本当に野郎居たんだ?」

「なんだつまんねぇーの」

「そいつ放っておいて俺らと遊んでもいいんだぜ?」

「清人……」

「いいから行くぞ」



クライミングウォールから離れトランポリンがある場所へ移動した。 にしても広いよなここ、外から見てもドデカいとこだなと思ったけど。 



「ふぅ、変な事されなかったか?」

「清人が来てくれたから」

「そっか、なら良かった」



にしても篠原といい神崎といいこいつらやっぱり可愛いもんな、ちょっと目を離すとこれだ。 今はポケーッとしてるけど絡まれてた時困ってた顔してたもんな、出来るだけ楽しんでもらいたい時にあれはない。



「ありがと清人」

「あ、うん…… 俺こそごめんな? 今度はああならないように離れないようにしような」

「うん離れない」



日向は俺の手をギュッと握ると次にやりたいのを見つけたのかローラースケート場を指差す。 マジか、これは俺やった事ないぞ? 俺はいいけど日向がコケないか心配だ。



「日向、俺これ初めてだ」

「そうなの? じゃあ一緒だ」

「一緒なのはいいけどお前コケそうだよな」

「清人にくっついてるもん」



それだと一緒に転んで危なそうだ……



スケート場に入ると日向はコケないように俺の腕を掴むが返ってバランスが取れない。



「わわッ、清人!」

「バカ引っ張るな!」



やっぱり2人でコケた。 つーか手に触れる何か柔らかい感触が。 これはまさかお約束の…… 胸じゃなくて尻だった。



「お尻触られた」

「わざとじゃないって、でもごめん」

「あたしだから…… 別にいい。 でもあたし以外の誰かにしたら」

「わ、わかってる! ていうかそれも大概だろ」



その後スケートを一頻りした後、外にあるコートに出た。 



「ん? バスケやりたいのか?」

「…… やってみる。 はい清人」

「ああ」



日向からボールを受け取り俺はボールを地面に数回弾ませ優しく日向にパスすると日向は「ひいッ」といった感じにその場に頭を押さえて丸くなった。 あ…… そんな事したら。



日向の頭にボールが直撃した。 軽くだったからそんなに痛くないはずだけどやっぱり自分に向かって来るボール怖いのか。



「痛くなかったか?」

「あんまり……」

「怖いか?」

「少し」

「んー…… だったらボールだと思わないで俺だと思ってみれば?」

「清人だと思って?」



きめぇ…… なんとかしようと思って言ったけどきめぇ。 



「やってみる」



俺が自分のキモ発言に内心悶えていると日向は立ち上がってボールを持って俺に渡した。



「じゃあ行くぞ? 優しく投げるからな」

「うん」



わかりやすくゆっくり投げますよ的に日向にボールをパスした。



「あ…… 取れた」

「あれ? 本当だ。 え? マジで?」

「ボールを清人の顔だと思ったら」



それはキモい…… 俺の生首が飛んでくるイメージかよ。 そっちのがトラウマになりそうだけど。



「もう一回」

「おう」

「わッ! また取れた。 清人の顔だと思うと取れる」

「それは

なんか複雑だけど……」



日向は向かって来るボールが平気になったのが嬉しいのか笑顔になった。 イメージはあれだけど取れるようになって良かったな。






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