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「清人忘れてないよね?」

「何が?」

「忘れたの?」

「う……」



忘れてたら許さないという顔をして迫られる。 何かあったっけ? 



「お、覚えてる」

「ほんと?」

「…… あ、ああ」

「じゃあ言ってみて」



………… そうだ!! もしや遊園地に連れていかなかった代わりの事か?



「日向と…… 2人きり?」

「そう」



やっぱりそれだったか。 まぁ週末は何もないし土曜日休みだったな今週は。



「ええと、日向は何かしたい事とかあるか?」

「体動かしたい」

「え? 珍しいな」



普段ゴロゴロしている日向が体を動かしたいとは…… でも当日になったらやっぱりいいやとか言う可能性も日向ならありそうだけど。



「じゃあ約束ね」

「おう」



日向が部屋から出て行った後、篠原が俺の部屋にやって来た。



「清っちゲームやらして!」

「はいはい」

「来ちゃったよこいつみたいな態度したなぁ?」

「してないしてない。 どうぞ好きにやってくれていいよ」

「はぁーい、好きにしまーす。 そぉいや麻里どうかしたの?」

「あー、例の遊園地の時の埋め合わせ。 それが日向の奴体動かしたいんだとさ」

「へぇ、あの家でゴロゴロしてるオヤジみたいな麻里が珍しいね?」



ひでぇ言い方だけど的を射ていなくもないな。 



「トラウマ克服でもしたいんじゃない?」

「トラウマ?」

「ほら前に鼻血出してた時あったでしょ? ボールぶつかって。 あれからあの子体育の時も自分に向かってくるボール避けるようになっちゃったのよね」



ああ、あれは痛そうだったしまたああなったらと思うと確かに怖いのかもしれないな。







◇◇◇







そして週末……



「じゃあ行くか日向」

「清っち独り占め出来て良かったね、てかちゃんと服洗って返しなさいよ? ばっちくしてきそうだし」

「うるさい彩」

「柳瀬さん、麻里気を付けて行ってきて下さいね」

「うん」




神崎らに見送られ出発する、今日の日向は動きやすい格好だ、神崎にショートパンツとレギンスを借りTシャツを篠原から借りた。 それらしい服を日向は持ってないからといって全部人の服って…… なんつうか便利だな。



「ん?」

「日向にしては夏らしい格好してるなって思ってさ、いつも似たような服だし」

「あたしもなんか変な感じ」



と言って大欠伸しているが運動する気あるのだろうかこいつは。



街の方に遊べるスポーツ施設があったのでドライブも出来てちょうどよかったからそこに行く事にした。



「清人って運動得意?」

「まぁ人並みかな、日向ほどじゃないけど俺も面倒くさがり屋だから積極的に身体動かす方じゃないしな」

「清人大きいのにね」

「お前だって女子からしたら大きい方なんじゃないのか? 篠原はもちろん神崎とかもさ」

「大きいからってバスケ部とかバレーボール部に勧誘されるの困る、苦手なのに」

「そぉいやお前らって特定の部活に入ってないのな、あの真面目な神崎ですら」

「莉亜は勉強に専念したいからって行かなくても大丈夫な文芸部、あたしもだけど。 彩は知らない」



うんまぁ俺も部活とか名前だけ置いてサボってたしな。 



そうしてしばらく走っていると目的地に着いた。 車のドアを開けるともう暑い…… 中は涼しいといいんだけど。



「清人暑い」



日向はうんざりという顔でぐでーッと俺の腕に寄っかかってきた。 今からそれかよ、大丈夫か?



中へ入ると遊べると言うだけあってテレビでよく見るパネル付きのサッカーゴールやボウリング場、トランポリン、クライミングウォール、ゴルフシュミレーターまである。 すげぇ、ここだけ都会みたいだ。



「なんか凄いねここ」

「思った以上だわ、ここなら結構遊べそうだな。 何やりたい?」

「………… あのサッカーみたいなの」



日向が選んだのはボール当ててパネルに当てる奴か。 



「じゃあそれやろう」

「うん!」



空いているしこれまたちょうどよかった。 日向がボールの前に立ちパネルを狙い勢いよく蹴った。 



だがボールは前ではなくほぼ真横に飛んでいった。 なんでそうなる…… そして壁に当たり日向の頭にヒットしてうずくまった。漫画みたいなミラクルだ。



「お、おい大丈夫か!?」

「…… あたしボールに嫌われてる」

「ま、まぁある意味凄かったよ。 怪我してないよな?」

「うん……」



怪我はないけどテンションめっちゃ下がってるし。 やっぱトラウマなのだろうか?



「気を取り直して他のやるか? 沢山あるしよりどりみどりだ」

「じゃああれ……」



次に選んだのはクライミングウォール。 なんだろう、出来るのかなこいつ? と不安になってきた。 でも落ちてもマットがあるし大丈夫そうだ。



「あれやった事あるのか?」

「テレビで観た事あるだけ」

「俺もそうだけどな」



物は試しで今度は日向の前に俺が登ってみる。



あ、これ次にどこ掴めばいいとか親切に書いてあるから意外と出来るわと思いどんどん登れた。



これ思ったより楽しいわ。 と下を見ていると日向も登ろうとしていた。 おいおい、真下からかよ? もし俺が落ちたらお前ヤバいぞ。



「日向俺が降りるまで離れて待ってろよ?」

「え? うん」



ボーッとしているから目が離せないな日向は。



「じゃあ今度は日向やってみろよ」

「これなら出来そう」



その自信はどこから来るんだ? 



「んん〜ッ!」

「おい、お前10センチくらいしか登ってないけどどんだけ力入れてんだ?」

「こ、これくらい平気」



いつも半開きで眠そうな目をしている日向だけど今はキリッとした目つきで印象がちょっと違う。 微妙な格好と高さでそんな顔されるとなんかシュールだけど……



「わッ」



次に手を掛けようとしたら案の定落ちてしまった。



「大丈夫か?」

「うん、高いとこまで行きたい」

「無理すんなよ?」



なんか意外と日向はこういうの好きみたいだ。 




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