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会社から帰り部屋に戻り服を着替えてベッドに横になっているとドアがノックされる。



「清人ご飯だって」



どうやら俺もこの生活習慣にちゃんと組み込まれたみたいだな。 買い出しもそうなるとやっぱり俺か。



「清人…… ご飯」

「ん。 ああ、悪い」



ドアを開けると日向が立っていた。 そぉいやこいつ会社の目の前通ったよな帰り道に。 先輩と話していて浮かれていた顔を見られたかもしれない、ちょっと恥ずかしい。



「なんだ?」

「あ、なんでもない」



何故か日向は俺の顔を伺っていた。 なんか顔に付いてたか? ゴシゴシと顔を擦る。



「何してるの?」

「いや、別に……」



なんだったんだよ?



「清人あそこで働いてるんだね。 仕事大変?」

「あー、最初はそれなりに大変だったけど今は慣れたから楽かな」

「ふーん……」



え? そこで終わり? こいつの事だ、聞くのがもう面倒になったんだな。 



キッチンに着くと篠原がエプロンを巻いて皿をテーブルに運んでいた。 俺は料理が出来ないからスルーされてるけど同じく酷い腕前の日向も料理当番に入っているので皿をテーブルに配るくらいは手伝おう。



「およ? 清っちありがとう。 意外と気が利くじゃん」

「意外とは失礼だな」

「そうですね。 まだあなたの事をよく知らないのに勝手に決め付けてしまうのは早計ですものね」

「最初から変態とか罵ってたくせによく言うよな」

「そ、それはあなたのタイミングが悪いせいです。 それにもう済んだ事なのでお互い水に流しましょう、蒸し返さないで下さい!」



料理をテーブルに並べ終わりみんなで席についていただきますを言って食べる。 



「へぇ。 篠原も料理上手なんだな」

「あ、そっかぁ。 なんかいろいろあったし私の料理初めてか。 んふふー、私の料理食べれるなんて幸せ者だね清っちは」

「まぁ一緒のとこに住んでるからな」

「清っちって何歳?」

「24歳だ」

「うわッ、結構年上なんじゃん」

「言ったよな? 俺のが年上だって」

「あははーッ、でも清っちは清っちだし今更ねぇ」



まったくこんなJK如きに振り回されるなんてな。 それもこれも最初で躓いたせいで……



「あ、そうそう、そういえば清っちの職場とかに誰か気になってる人とかいないの?」

「え? なんでそんな事」

「彩奈、静かに食べましょう」

「いーじゃん、清っちの事をよく知るために聞いてるんだから」



女ってやっぱ恋バナとか好きなのかな? 



「気になる人は居るには居るけどな」

「あ! 居るんだ? どんな人? 年上? 年下?」

「年上だな」

「それで大人の色気がどうとか言ってたわけかぁ。 むふふ、人並みに好きな人が居るだけ莉亜よりは進んでるね」

「なんで私を出すんですか? そんなの私の勝手じゃないですか!」

「…… ごちそうさま」



俺の隣で黙々と食べていた日向が席を立ち食器を洗面台に置いた。



「もう食べ終わったの? はやッ」



出てくのかと思いきや日向はまた俺の隣に座る。 



「ん? いつもはすぐ行っちゃうのにまだ何か食べたいの?」

「昨日は迷惑かけたから片付けする」

「面倒くさがりの麻里にしては珍しいわね。 まぁ楽だからいーけど」

「偉いじゃないですか! いい事です」

「別に…… 大した事じゃない」



俺や神崎達も夕飯を食べ終えると日向は食器を洗い始める。



「俺も手伝うよ」

「急に何?」

「日向だってやってるじゃないか。 俺も料理しないでご馳走になってる分これくらいは貢献してやるよ」

「そっか…… ありがと」



食器を片付けて部屋に戻ろうとすると日向に呼び止められた。



「作って」

「え?」

「やっぱりあたしもあった方がいいかなって思った」

「何が?」

「棚……」



あー、それか…… また作らされるのか。 



「んー、まぁいいけどよ、買ったのか?」

「まだ……」

「じゃあ買ったら教えろよ。 そん時作ってやるよ」

「…………」



そう言うと日向は押し黙った。 えー? それじゃダメなのか?



「やっぱいい…… ごめん忘れて」

「え? いやなんでだよ?」

「…… 先になりそうだから」

「なんで?」

「そんなにお金持ってなかった」



あ、こいつらそういえば高校生だった。 食材とかは大家さんに大分恵んでもらっているからなんとかなってたからな。 



「じゃあ後で買いに行くか?」

「…… 悪いよ」

「棚くらいなんだってんだ? 俺はこれでも社会人なんだぜ」

「さすが社会人、お金持ち」



まぁここにしばらく暮らす以上こいつらと仲良くやっていかないとな。




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