表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/150

105


今日はしっかりと起きれた。 また寝坊するわけにもいかないしな。



欠伸をしながらキッチンへ行き先輩が食べてねと言って置いて行ったパンが入っている袋を開ける。



あ、これ美味しいって評判の食パンだな。 他にも数種類ある。 ほんと至れり尽くせりで申し訳ないな、後でお礼しなきゃ。



朝食を食べ身支度を整え歯を磨き洗面所を出た時篠原の部屋のドアに紙切れ挟まっているのが見えた。



なんだろうと思って引っ張ってみるも引っかかっていて取れない。 悪いと思いつつも篠原の部屋のドアを開けてみると紙切れが落ちた。 端にテープでボールペンがくっ付いてある。



折ってあったので開いてみると”エッチ!”と書かれてあった。 あいつ余計な小細工するの本当に好きだなと思っているとドアの脇に篠原の洗濯物が畳んでありご丁寧にパンツが上に置かれていた。



マジでイタズラ好きだな。 どうせ帰って来たらこれをネタにするだろうと思ったので仕掛けを元に戻しておいた。 ドアになかなか引っかからないので苦戦してしまった。 あいつこういうのには苦労を惜しまないのな……



それで思い出した、昨日携帯を寝る前に見たら神崎達からLINEが来ていたんだった。 時間も遅かったから起きたら返そうと思っていたんだ。



メッセージを開くと行った先々の写真が添付されていた。 あー、俺も行ったわここと思いながらスクロールしていく。



友達と一緒の写メと神崎達を見ると1日だけなのになんだか懐かしくさえ思える。 



3人に返事を返して会社に行って仕事をしていると先輩がやってきた。



「乙川先輩おはようございます!」

「おはようゆいちゃん、柳瀬君」

「おはようございます」



今日も先輩来てくれるんだよなと思うとジーンとしてしまう。 そんな時如月に肩を叩かれる。



「柳瀬先輩、やっぱり乙川先輩を誘った方がいいですよ? 柳瀬先輩の生活能力のなさが露呈しちゃいますけどね」

「なんでお前に生活能力云々を言われなきゃいけないんだ?」



それにもう昨日来ちゃってるんだよ、なんて言ったらそれはそれで騒がれそうだから言わないけど。



「また私だけ仲間外れ? 寂しいなぁ」

「んー、もう言っちゃいますけど乙川先輩、今のうちに柳瀬先輩のところに行って襲っちゃえと思ったからアドバイスしてただけですよ」

「お前先輩に何言ってんだよ?」

「あはは、ゆいちゃんならそうするのかな?」

「隙あらば! なんちゃって」



こいつならやりかねないな…… 篠原と同じ匂いがするし。



「乙川先輩何持って来たんですか?」

「ん? ああ、これからミーティングあるからちょっとね」



先輩は中から書類を取り出してひらひらとさせた。 にしてはバッグごとってと思っていると先輩が口を開いた。



「それで柳瀬君、ミーティングで見せる製品があるんだけどこれで……」

「ああ、それはこっちに」



ミーティングでこんなの見せるなんて聞いた事ないぞと思いながら先輩を連れていくと……



「はいこれ」

「え?」



先輩が俺の弁当箱を? あ! 昨日先輩は俺の弁当箱持って帰っていったんだ、作ってくるって、本当に。



「ちょっと恥ずかしかったからさ、嘘ついちゃった」

「先輩が俺に…… ありがとうございます!」

「大した物じゃないからあんまり期待しないでね?」



目的を果たしからか先輩は行ってしまった。 こんな事でもなければ先輩に弁当なんて作ってもらえる機会もないよな。 



「柳瀬先輩なんか凄く嬉しそうでキモいんですけど」

「そうか? 悪い悪い」

「なんですかその反応はー!」



そうだ、あんまり顔に出してるとこいつに怪しまれる。



「はぁ……」

「機嫌良さそうと思ったら今度は溜め息ですか?」

「俺って最近情緒不安定かも」

「最近? 前からじゃなくて?」



こいつは本当にあー言えばこー言うな! まぁいい、今は何言われても平気だ。



昼になり先輩が作った弁当を開けると手作り弁当だ。 冷食とか使わないで作ってくれたんだな、神崎達もそうしてるけど。



いろとりどりで見た目もいい。 食べるのがもったいないけどでも食べる。



幸せな気分になりながら午後の仕事も終わった。 多分俺今日ずっとキモかったかもしれない。



「柳瀬君! 待って待って!」

「あ、先輩。 弁当美味しかったです!」

「ふふ、良かった。 あのね、私も少ししたら柳瀬君のとこ行くからさ、何が食べたいか考えてくれた?」

「あ、そうでしたね。 でしたらシチューがいいかなと」

「うんいいよ! じゃあ家で待っててね!」



帰ってきて適当に着替えて部屋の掃除をする。 もしかしたら来るかもしれないし。 それと神崎達からまたLINEが来ていたんだった。 



あいつらUSJに行ったのか。 遊園地行こうって約束してたけどUSJなんか行ったら他の所がショボく感じるかもしれないなぁ。



しばらくするとインターホンが鳴り玄関に行くとやはり先輩だった。



「ただいま! なんちゃって」

「お、おかえり」

「ん?」

「いえ……」



なんか夫婦みたいだなんて恥ずかしすぎて言えない。



「あ、もしかして引いちゃった?」

「ぜ、全然ッ!」

「そ、ならいっか! じゃあ早速夕飯の準備してくるね」

「はい、じゃあ俺も」

「いいっていいって、待ってなよ」



少し残念だ、先輩を眺めていようかと思ったけどそんなんされると作りにくいかなと思ったので断念する。



今のうちに神崎達に返事を返そうと思いLINEを開くとまた数件メッセージが届いていた。



ご飯ちゃんと食べてるかとかか寝坊してない? とか寂しくない? など俺の事を心配しているのばっかだ。 



バカだなあいつら…… そんなの気にしなくてもいいのに。 なんて思う俺も嬉しかったりする。 





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ