9話 シャトルラン
椅子の上で前後左右に体重移動させて、そのたびにぐじゅ、ぐじゅといった湿っぽい感触を味わっていると、とうとう二時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。
私は次の授業を確認するために表を眺めると、次の授業は体育だった。
さすがに小学6年生ともなると男女の着替えは別々で、私たち女子は体操服をもって隣の空き教室へ向かう。私は替えのおむつが体操服と一緒に入った袋を持って行った。
しかし、おむつを替えている時間もない。もしもトイレで体操服に着替えられればいいのだが、トイレに体操服を持っていくだなんて不自然だろう。
どうしよう。今私の下半身を包むのはショーツではなく、おむつ。
それにそのおむつは濡れている。こんなのみんなに見られちゃう……
もしもキュロットスカートじゃなくてスカートを履いていれば、みんなに見られずに着替えることができたのに、キュロットスカートだとまた下があるせいで一度脱がなければならない。
おむちらを防ぐことよりもこっちの方が大事だった……
私はどうしようもなくあたりを見回していた。
みんながどんどん体操服に着替えていく。
すると体操服にすでに着替え終わった美奈が私と目を合わせて私の方へ向かってきた。
「風香! ちょっとお手洗いついてきて!」
突然美奈が私の手を強引に引っ張り、空き教室から連れ出してくれた。
私は美奈に手を引っ張られるまま、紙おむつと体操服が入った袋を片手にトイレまで向かう。
トイレにつくと、私たちは一番奥の個室に二人で入った。
「風香ったら学校でおむつにおもらしだなんて何考えてるのよ! ばれちゃったら風香がいじめられちゃうんだよ!」
美奈が少し泣きそうな目で私のことを真剣に見つめながらそんな言葉を私にかける。
「ごめんね……」
私はただ勝手な快楽のためにこんなことをしていたのに、美奈が心から自分のことのように心配してくれていてとても申し訳なかった。
「ほら、はやく着替えないとチャイムなっちゃうよ!」
私は美奈のその言葉にハッとして、急いでキュロットスカートスカートをおろした。
するとぷっくりと膨れたおむつが露わになり、美奈が即座にその紙おむつのサイドをやぶる。
むわっとしたおしっこの湯気が私たちの鼻を刺激する。私のおしっこの臭いが美奈にも嗅がれてしまっている……
そう考えると頬がぽっと温かくなった。
私は美奈に肩を借りながら、もう一枚のさらさらな紙おむつに足を通す。
その後すぐに体操服に身を包んだ私はいままで来ていた服と、丸められた使用済みのおむつをそのトイレの一室に残したまま授業が行われる体育館まで走っていく。
ちょうどその時に運悪く保健室の先生とすれ違ってしまい、廊下は走るなと注意されてしまった。
下半身はおむつに包まれたままの体育だなんて初めて……
私はあまり激しく動きすぎたせいでおむつが見えないように注意することを肝に銘じた。
体育委員の合図で準備運動を行い、準備運動を終えると先生が前に出て今日の授業の内容を説明しだす。
「今日は、シャトルランをやる。じゃあペアになってどちらが先に走るかきめてくれ」
シャトルラン……
運動が苦手な私にとっては学校生活最大の敵と言ってもいい相手かもしれない。
私はもちろん美奈と組み、じゃんけんで私が後に走ることとなった。
前半組が走り出し、地獄のリズムが私の脳内を駆け巡る。
そのリズムが徐々に早くなるにつれて走る人数が減っていく。
しばらくしてとうとう美奈が脱落してしまった。
「お疲れ様!」
私は苦しそうに息切れを続ける美奈を元気づけるように言葉をかける。
クラスの中で一番運動ができる男子が走り終わりとうとう後半組の番になった。
毎年やっていることだ。しかしだからこそ知っているこの競技の辛さが思い出されて私を緊張させる。緊張のせいなのか、朝にのんだコーヒー牛乳が未だに猛威を振るっているのか、私はまたすこしおしっこがしたくなっていた。
とうとうCDの音源が再生されて私は周りの人とともに走りだす。
しばらく走っただろうか、徐々に疲れてくるとともに、尿意が増幅されてきた。
タッタッと一歩一歩進めるごとに振動が下腹部に伝わり、尿意が大きくなる。
足が離れるときに尿意は弱まり、足が付くときに尿意が強くなる。たびたび繰り返される尿意の波に私はおかしくなりそうだった。
ーーちゃららららんーー
何度目かのリズムのペースがレベルアップすることを知らせる音が聞こえてきた。
それに合わせて私の足の回転も速くなり、尿意の波の周波数も高くなる。
音階が徐々に上がっていくが、ゴールのラインにまで足が付かない。
こうなれば次の音階が終わるまでに次のゴールに到着しなければならない。
私は急いで折り返して、シャトルランが始まってから最速のスピードで走り、向かい側へ戻る。
この次はまた急に折り返さなくてはならない。
私が猛ダッシュして折り返そうと右足で踏み込んだ時だった。
踏み込むために力んだせいでおしっこがじょっとあふれ出しおむつに吸収された。
私はそのことに戸惑いつつもそのまま走り続けた。
しかし、尿意は限界に達しているのか一歩一歩踏み込むだけで、じょっじょっとおしっこがあふれ出ておむつに吸収される。
私は最後の力を振り絞り、美奈のもとまで走り切り、そこであきらめることにした。
美奈のもとまでたどり着くと、突然力が抜けて私は体育館の床にぺたりと座り込んでしまった。すると、ちょろちょろとおしっこが流れ出した。
CDの音のおかげで私のおしっこの音は美奈以外には聞かれずに済んだが恥ずかしい。
黄色いおしっこをたくさん吸ったおむつはとても暖かく、膨れているだろう。
私は体操服の上から股間を触った。するとさっき教室でおもらしした時よりも多く膨れているようだった。