3話 ママの前で
それから30分もしないうちに、おしっこが膀胱の内側から外界を目指す。
だめ、まだママが帰ってきていないのにおもらししたら意味ないよ。
私は必死に股間をギュッと抑える。
私はそれからもどんどん強くなる尿意に耐えながらじっと時計を見て過ごす。
何とか五分が経ったが未だにママが帰ってくる気配はない。
だめだこれじゃあ計画が失敗に終わっちゃう。仕方ないけどおトイレ行こう。
私は履いているスカートがしわになるほどギュッと抑えながら一歩一歩すり足でトイレまで向かった。部屋を出てすぐに階段があり私は少し戸惑いつつ立ち止まる。
どうしよ、この状態で階段を降りるのは……
そうだ!
いい案を思いついた。
私は階段に座り込み、おしりを付けるようにしながら一段ずつ降りることにしたのだ。
座っているためおしっこの出口がうまいこと抑えられていて、少しばかり尿意が収まった。しかし一段降りる時だった、階段の床とおしりが離れる瞬間だけとてつもなく尿意が蘇ってくる。
一段降りてはきゅうっと股間を強く抑える。
ーーチョロッーー
強く抑えているのにもかかわらず、おしっこが意に反してあふれ出てくる。
私はその少しのおしっこを素早く止めたが、どこか指先に湿っぽい感覚が伝わってくる。
私はその手を一瞬だけずらしてスカートの様子を確認した。
するとそこにはおしっこのシミができてしまっていた。
「うぅ、ちびっちゃった…… でもあと半分」
14段近くあった階段ももう半分に差しかかり、なんだか耐え切れそうな気もしてきている。
私は再びもう一段降りた。
ーーガチャッーー
家の鍵が開けられた音が聞こえて、ママの”ただいま”という声が聞こえる。
「おかえり」
私は何も考えずに反射のようにその言葉を返した。
すると、私の方へ足音が近づいてくる。
だめ、ママに見られたいと思ってたけど、こんな形でのおもらしは不覚なの。
とうとうママが階段のもとまでやってきた。
「階段に座り込んじゃって風香ったらどうしたの!?」
ママが心配そうな目で私のことを見る。
「ぉ… ぉしっこしたい…の」
「何してるの! 早くトイレ行きなさい!」
「も、もう歩けないの!」
そう言った瞬間我慢のつらさのせいで私の目からは涙がにじみ出た。
涙が出て気が抜けたせいか、突然おしっこがあふれ出す。
おしっこの出口がかぁーっと熱くなり、大量のおしっこが出ているのがわかる。
階段に座ったまま、スカートの上から股間を抑えているせいでおそらくスカートは前も後ろもびっしょりだ。
「風香! 何やってるの!」
ママも小学六年生にもなった娘がおもらしするなんて思いもしなかっただろう。
私も、こんな形でお母さんの前でおもらししてしまうとは思わなかった。
久しぶりだ。こんな風に本当に我慢ができなくておもらししてしまうなんて。
なんでだろ。自分の部屋で妄想してやるよりももっと興奮して楽しくなるはずだったのに、全然違う。とっても胸が締め付けられていて、あふれ出すおしっこも涙も止まらない。
おしっこは私のショーツをすり抜け階段を滝のように流れていく。
そのおしっこは一段、一段私が最後まで降りきれなかった分だけの段数を駆け降りる。
おしっこの滝はとうとうママのもとまでたどり着いたが、未だに水源が止まる気配はない。
「ママ、ごめんなさい。おもらししちゃった……」
ぞくぞくした。本当に私はおもらししてしまったんだということが私を少しだけ興奮させつつも、少しだけ悲しませた。
「見たらわかるわよ。ほら、シャワー浴びて着替えよ!」
ママは怒ると怖いが、いつもはとっても笑顔ですごくやさしい。
そんなママの前で私はわざとおもらししようとしてたんだ。
ただでさえ忙しいママにそんな迷惑をかけようとしていただなんて……
で、でも今のおもらしはわざとじゃない。だからもう少しだけ甘えさせてほしいの!
「ねぇママ、風香の体洗ってほしい」
ママは何にも言わずに私を手招きした。
私はさっきまでは立って降りれなかった階段を立ち上がって降りようとした。
するとスカートにたまっていたおしっこがびしゃびしゃと音を立てて再び滝を作る。
そして私が階段を一段一段降りるたびにその段にたまっていたおしっこがそのまた下の段へと落ちていった。
下まで付くと私はおしっこの足跡を作りながらママと一緒にお風呂場まで向かった。
「じゃあ、お股と足洗ってあげるからお洋服脱いで」
「ぬげない……」
「あらあら仕方ないわね。風香は」
そう言うとママは私の頭を笑顔でなでてくれた。
私はママにスカートから靴下まですべてを脱がしてもらい裸になった。
ここまで来るとおもらしからある程度時間が経ち、少しこの状況を楽しめるようになってきたのだ。
私はお風呂場に立ち、ママがシャワーヘッドを握る。
シャワーヘッドから出された水が私のおしっこで濡れた太ももや股間を洗っていく。
ママに太ももをなでられて少しこそばゆくもあった。
「こうして、風香のおもらしのお世話をするのってひさしぶりね。確かに最後にしたのは幼稚園の頃かしら。風香もまだ幼いところがあるのね」
「うぅ、仕方ないじゃん。我慢できなかったんだから」
シャワーを終えた後、私を包み込んだのはふかふかのタオルだった。
こんな風にママに体を拭いてもらえるなんて何年ぶりだろうか。
恥ずかしさと、うれしさが混ざっててなんだか複雑な気分。
そして、新しいお洋服を着せてもらった私は、ママと一緒に私が作った水たまりの掃除をした。
意図的におしっこをママの前で出すという計画から外れて、予想外なことになってしまったが、結果としてはとっても良かったと思う。
でも本当におもらししてしまう辛さが逆に癖になってしまう気もした。
そして、誰かにおもらしを見られるということも癖になってしまう気がした。
どうしよう……
そうだ、次は明日のお泊り会でやってみようかな……