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16話 一緒

 「ふうちゃん…… ふうちゃんっておもらし遊びが趣味なんでしょ?」

リリーのその言葉がトンネルの中のように脳内でなんどもなんども響く。

そして、その言葉のせいで体中から変な汗がにじみ出てきて、頬も赤くなり、拍動も速くなる。

「な、な、な、なんでそれを!?」

やっちゃった!

咄嗟に心で思っていることが口に出てしまった。こんなこと言ってしまえば認めているようなものではないか。私はもう遅いが、両手で口をふさいだ。


 「やっぱりそうなんだ」

ばれてしまったらクラスの皆に言いふらされて、いじめられてしまう。私は今後の学校生活に今の一瞬で大きな絶望感を感じた。

「ふうちゃん、なんで私がふうちゃんの秘密を暴けたかわかる?」

「私がおむちらしたとか、リリーが保健室を覗いたからとか??」

リリーは首を横に振った。私はもっと考えようとしたが、計り知れない絶望感により、これ以上考えが思い浮かばない。


 「実はね、私もふうちゃんと一緒で、おもらしするのが好きなの!」

もう私には何が起こっているのかわからなかった。あまりの驚きで声が出ない。

それに、おもらし遊びなんてするの私だけじゃなかったんだ。

よかった…… クラスでいじめられなさそうでよかった。同じ境遇の人がいてよかった。

私だけじゃなくて本当に良かった。

私は感情のパラメーターが最低から最高になり、自分の行動を抑制できず、リリーに抱き着く。

ぎゅーっと締め付ければ締め付けるほど愛しさを感じるようだった。

リリーと絶対に仲良くなりたい!


 「ふうちゃん…… 急にどうしたの??」

「ご、ごめんね。私と同じ趣味の人がいるんだと思ったらつい……」

私はリリーを抱きしめていた手を振りほどき、1歩後ずさりをした。

「だよね。だから私が今日こうして話しかけたのは自分のためでも、ふうちゃんのためでもあるの! 今日ちょっとうちにこない?」

リリーのおうち……

風のうわさで、高層マンションの屋上だとか聞いたっけ。

「いいの??」

するとリリーはとてもうれしそうに首を縦に振った。


 それから私たちはリリーの家に行くために歩き始める。

その高層マンションといえば、私の家からは反対方向で、いつもなら校門を出て右だが、左に行く必要があるのだと思っていた。

しかし、校門のところに、異様な空気の車長が長い車が停車されている。

これはもしや、お金持ちが乗る、あのようなお車なのでは……

あまりのシチュエーションに緊張してごくりと唾液を飲んだ。


 「お嬢様、お帰りなさいませ。そちらはご友人ですか?」

「ただいま。えぇ、今日一緒に遊ぶの」

黒服の人とリリーが会話している様子は、まるでドラマやアニメのワンシーンのようだった。

私は黒服の人に誘導されるがままにリリーと車に乗り込んだ。

もちろん、普通の座席ではない。私は少し緊張もしながら、これは夢なのではないだろうかとあたりを見渡しながら感動した。


 「暑かったしのども乾いたんじゃない?」

「う、うん。ちょっとね」

私がそう言うと、リリーはおもむろに、肘置きの上部にあるクッション部分を上に持ち上げて、中から瓶のジュースとガラスコップを二つ取り出した。

ジュースの瓶には水滴がついていてそれが冷たいことを示している。

つ、つまりはあの肘置きは実は中に冷蔵庫が内蔵されているの……?

あまりの驚きでぽかんと口を開けていると、リリーがジュースをグラスに注いでくれていた。


 それからは、おもらしではなくお互いの好きなものや普通の話題をして過ごす。

すると、私は下腹部にいつもの感覚を感じた。おむつを履いてるといってもこんな美しいところでおもらしするだなんてはしたないから絶対ダメ……

うぅ…… 我慢きつい……

「ふうちゃんどうしたの?? もしかして……」

リリーは黒服の人には聞こえないように、大事な部分だけ私の耳に近づけて話した。

私は我慢のつらさにより目に涙をためながら何度か頷く。


 「おむつしてるんだし、しちゃいなよ」

私の耳元で催眠音声かのようにリリーの声が聞こえてくる。

「大丈夫だよ。それに万が一漏れちゃってもいいからさ!」

それでも未だに私が我慢していると、やさしい声で”ここはトイレだよ。しーしー”とリリーの声が聞こえてきて、思わずおしっこがあふれ出てきた。

ーーしゅぅぅぅ~っーー

おしっこの排泄音はある程度なら車の音で消されるだろう。しかし隣にいるリリーには丸聞こえのようだった。


 リリーまでもが頬を赤く染めていて、リリーの呼吸の音も聞こえてくる。

ーーちょろろろっーー

新たに、少し別のおしっこの音が鳴ってしまった。

それだけでも恥ずかしいが、リリーが少し耳を近づけて聞こうとしているのが余計に恥ずかしい。

「り、リリー恥ずかしいよ……」

「ふうちゃん、可愛いから大丈夫! そのまま出しちゃっていいよ!」

たとえ私がかわいくても、リリーが耳を近づけていい理由にはなってないじゃん。

もうっ……


 私はリリーにおしっこの音のすべてを聞かれながらもおしっこを出し終えた。

おむつの中は出たばっかりのおしっこで温かい。今日してしまったおむつおもらしはすべて、悲しい気持ちしかなかったが、なぜだろうか、今のはとっても楽しかった。

おむつの温かさが、気持ちよく感じられる。

「ふうちゃんと同じで、可愛いおしっこだったね!」

「可愛いおしっこってなによぉ~。もうっ。恥ずかしかったんだからね!」

なんだかおかしくなってふと、笑いがこみ上げてきてしまう。

それから私たちは笑いが絶えぬままお話をした。


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