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14話 もう一つの異変


 学校につき、私は教室に向かうのではなく保健室に立ち寄ることにした。

私はピンク色のランドセルを美奈に渡し、何も持たないまま里奈先生のもとまで行く。

急がなければ朝礼のチャイムが鳴ってしまうので私は小走りをする。

スカートの上からおむつがずり落ちないようにウエストをきゅっと抑えた。

そうこうして保健室のドアを開けると、里奈先生は私が来ることを予測したかのように入り口で待っていて、私は思わずびくっと驚く。


 「おはようございます…… 里奈先生、実は……」

私は今朝あったことをすべて話した。

疑似的なおねしょをしようとしていたこと、本物のおねしょをしちゃったこと、昨晩におねしょを誘発する行動をしていないこと、私は何かの解決策がもらえればと思い真剣に話す。

「私もこんなこと初めてであまりわからないけど、明日は大丈夫だと思うから安心してて」

里奈先生は私の曇っているであろう顔を見て、やさしく励まそうとしてくれたのだろう。


 私は里奈先生に軽いハグをしてもらい、頭をなでてもらった。これはこれで久しぶりにおねしょをしてしまったおねしょっ子がお母さんに甘えているようで、なんだか少し私を興奮させた。

そして私は当たり前のように里奈先生から新しいおむつを受け取り、そのおむつに足を通す。

その後急いで教室に戻り、いつも通りの一日が始まった。


 朝礼が終わり、私は美奈についてきてといわれたため一緒にトイレに行った。

これは別に美奈におむつを替えてもらうだとか、そういうためではない。ただただおしっこをするという生理的欲求を満たすためだ。

トイレから戻った私と美奈は、次の授業である算数の教材を机の上に並べてから、お話をする。

「美奈は今朝どうだったの??」

私はとても気になってしまい聞かずにはいられなかった質問をした。

すると、ぽっと美奈の頬と耳が赤くなっていくのがよく分かる。

「やっちゃった」

美奈が恥ずかしそうにそう言うと、頬と耳の赤みは先ほどよりも増しているようだった。


 始業のチャイムが鳴り授業が始まる。

一時間目から算数というのは算数が嫌いな私にとってはとても過酷だ。

まだ朝早いということもあり、若干うとうとしてしまいそうになる。

しかし、そんなとき頭をよぎるのは今朝のことだった。

もし今ここで居眠りをしてしまえばおねしょをしてしまうかもしれない。もちろんおむつをしているから大した支障はないのだが、私は今朝の一件から少しおねしょに恐怖心を抱いている。


 そんなこんなで若干落ちかけながらも授業は残り5分になっていた。

その時、私の下半身に嫌な感覚が伝わってくる。膀胱が内部からとても圧迫されている。

嘘だ、そんなのありえない。だってさっきトイレに行ったし、朝起きてから大量の水分をとるといった行為もしてない。なのになんでおしっこがこんなに……

突然現れた尿意はみるみるうちに増していき、二分が経った頃にはおもらし遊びのクライマックス付近の尿意になっていた。


 わざとでやる遊びのおもらしではなく、本当のおもらし。

今朝本物のおねしょをしてしまった私からすれば、これをしてしまえば、本当に私はおかしくなってしまうと感じていた。

私はおもらししないように必死に股間を抑える。

しかし、履いているのがオムツなせいか、パンツでおしっこを我慢しているときよりもうまく尿意が収まらない。


 膀胱がじんじんと痛む。おもらし遊びが好きな私が思うに、おもらしには心理的と物理的の二つの敗因がある。まず心理的敗因は、まだ膀胱に容量があっても、我慢による痛みとつらさと後に残された時間の長さ来るあきらめだ。一方で物理的敗因は、いくら心が強くてどれだけ我慢ができたとしても、どんどんと注がれているおしっこが入る容器が満タンになれば物理的にあふれてしまうのだ。ちょうど今の私には物理的敗因が襲い掛かってきていた。

膀胱にためられていたはずのおしっこは、とうとう尿道を埋めつくそうとしていた。

尿道が完全に埋めつくされれば私の負けなのだろう。


 私はそれでも前を抑え続け授業が終わるその時を待ち続けた。

残りの数分がとてつもなく長い。だが、そんな数分もようやく終わりチャイムが鳴った。

学級委員がクラス全体に起立を命じる。

私は不自然に股間を抑えながらもゆっくりと立ち上がった。

幸い私は一番後ろの席だったので、前押さえをしている様子は誰にも気づかれていないようだ。


 一同が立ち上がったのを確認すると、学級委員は”礼”と言って、みんなが上体を曲げてお辞儀する。この行為が運の尽きだった。前屈姿勢をとることにより圧迫された膀胱は、中にたまっているおしっこを吐き出した。スポイトの丸く、ぷっくりと膨れた部分を押して液体を出すかのように、ぷっくりと膨れた膀胱が押されて中に入っている黄色い液体があふれ出る。

じゅわっとおむつが突如温かくなる。みんなが礼を終えて各々の友達のところへ話に行く中、私は自分の席で立ちすくんでいた。

すると、そんな私のところに美奈がやってきた。


 一度出始めたおしっこは止まることはなく、膀胱の中が空っぽになるまで出続ける。

私はもうこうなったらと思い、足を肩幅に広げておしっこを吸収されやすくした。

ちょろろろとおしっこがおむつを湿らしていく。立ち方のせいか、特におむつのまた下の部分が重くなり垂れているようだった。

「風香、どうしたの?」

私は何も答えられずに、机の上に広げられた教科書をじっと見つめる。


 すると、美奈が何にも言わずに私の背中をやさしくなでてくれた。

恐らく、美奈は私が今おもらししているということに気が付いたのだろう。

その間もおしっこは出続けていて、おむつを大破させるのではないかという勢いで出続けていた。おむつの中でおしっこの水たまりが形成されているのか、とてもおしっこの出口の付近が温かい。しかし、心は冷たく閉ざされているようだった。いつもならおもらし遊びをした時は、心も股間も温かくなるのに今日は違った。私は若干目に涙を浮かべながらもおしっこを出し終えた。


 「美奈…… 一時間も我慢できなくなっちゃった……」

さすがにこんな状況で慰める方法を思いつけなかったのか、美奈はただただ、何も言わずに私の背中をなでてくれていた。

困りながらも私を励まそうとしてくれている美奈のやさしさがその小さい手のひらから伝わってくるようだ。気が付かないうちに私の頬には幾数か涙の線ができていた。

「え!? 風香ちゃんが泣いてる! どうしたの!?」

クラスメイトの女の子が、私が泣いていることに気が付き、心配しながら駆け寄ってくる。


 しかし、こんなに泣いているときに声を出してしまえばもっと涙が出てきそうで何もしゃべれなかった。

「風香、頭痛がひどいらしいの。だから保健室まで私が送ってくるね。次の授業はちょっと遅れるかもだから先生に伝えておいて、瑠々ちゃん!」

私は美奈の咄嗟の嘘に救われた。それから私は美奈の肩を借りながら里奈先生のところまで向かった。

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