後日談:もうひとつの結婚 後編 (ほんのりBLあり)
卒業パーティーから一年後、ライオネルとリリアは結婚する予定であったが、準備が間に合わないと言うことを理由に半年ほど遅らされた。巷では婚約破棄したオフィーリアと同じ時期にするのは気まずいのだろうと囁かれた。
そしてライオネルとリリアの結婚式の日となった。その日は暴風雨が吹きすさぶ日であった。式に出席する人々は早く家に帰りたくてたまらなかった。
その中、ライオネルとリリアは祭壇の前につく。しかし二人の顔に喜びは見えない。結婚式は儀礼的に風がさらにきつくなる前に帰れるように超スピードで進められた。
そして式が終わると式の主役も含めて、足早に家路についた。
公爵家の馬車にはライオネルとリリアが向かい合って座る。しかし、言葉はない。
屋敷に着くとライオネルは足早にリリアを待つこともなく入っていった。
遅れてリリアが降りて入っていく。
リリアが屋敷に入ると玄関にはライオネルと抱き合う元北の砦の隊長の姿。
リリアは二人を睨み付けると自分の部屋に向かっていった。
リリアは結婚に際して公爵家より契約書を作らされていた。
一、ライオネルの部屋に入らない事
一、公爵家の後継ぎは公爵家の血縁者より養子を迎えるため夫婦の子供は望まない事
一、行動は好きにしても良いが、公爵家の者として恥ずかしくない立ち振舞いをする事
一、公爵家に問題を起こさなければ交遊関係に口をはさまないが、子供ができるようなことがあれば、ライオネルの子供でないため、実家に戻す事
リリアとしては公爵家の者として必要なものをある程度好きに買えるが、一年の修行と半年の教育の結果、素質がないと言う事で公爵夫人にも成れず、ライオネルとの間に子供を作ることがないため、リリアが何かやらかさないかを心配する公爵の監視の元、王都で暮らすこととなった。
男爵家ではあり得なかった質の高い生活を送ることができたが、再びライオネルの愛を得ることは叶わない。
ライオネルは国王より許可された婚約者が公爵夫人の素質がないと言う事、そして、本人も公爵になるには不適格とされ、のちに火種を残さないようにするため去勢されたが、領地の私兵団の団長となり、元北の砦の隊長に守られながら共に領地にて過ごすこととなった。
公爵にはなれなかったが、愛のある日々を過ごしたのだった。
(おわり)
「もうひとつの結婚」完結です。
ライオネルが暴走して、思いもしない話になってしまいました。
甘いような甘くないような話になってしまったので、
オフィーリアとメルヴィンの話の番外編を一話投稿して糖度を高めようか検討中です。
(書けなかったらそのまま完結にしちゃうかもしれないのですが…)