009
「おはようございます!」
冒険者組合にやってきたガジルやバッカス、ディアン、グーズに挨拶をする。
朝の鐘2つは、おおよそ午前8時くらいだ。
朝は3回、昼は3回、夜は2回と大体6時~20時までの間で2時間おきに鐘がなり、鐘の音が王都の生活になっている。
今日はダンジョンに潜る、ということで少し荷物が多くなる。戦闘をしている間担いで戦える訳でもないため、パーティには新人が荷物持ちをしたり、荷物持ち専門の職業もいる。
また荷物持ちはダンジョンで出た収集品を回収したりもするため、ダンジョンの勉強と体が鍛えられ一石二鳥だ。
俺はというと、元々体力が無かったせいか渡された30kgの荷物を持ちながらなんとかおいて行かれないようになんとか頑張って4人の後ろをついて行く。
西門から出て道なりに歩いて行く。あれ?確かダンジョンは南門のほうが近かったはずじゃ…?そう思いガジルさんに聞いてみると、
「ああ、南門からの方がダンジョンは近ぇよ。ただ西門から出ても一時間余計に歩くことだけだな。」
話を聞くと南門からだと大体1時間くらい、西門からだと2時間くらい歩かないといけないらしい。
冒険者組合での依頼は断然南部支部の方が多いため必然的にダンジョンに潜る人たちは南門に集まる傾向があるみたい。
重い荷物をもって2時間ようやく目的地の「ローフリシアダンジョン」に着いた。
入り口では入る人にパーティ名とメンバーの名前を聞いて記入している受付みたいな人がいた。
俺がその様子をじーっと見ていると後ろからガジルが声を掛けてきた。
「ここは冒険者組合が管理して、ダンジョンに潜った確認してんだよ。トラブル回避と安全確認っつてたかな。ダンジョン内で揉め事を起こさないようにああやって入ったやつらをチェックして揉め事を起こしたパーティに制裁を加えたりしてんな。」
「へー。」
「じゃさっさと俺たちも並ぶぞ。」
ガジルはダンジョンに入るため入り口に並んでる列の後ろに並ぶ。俺たちもその後ろを追っていく。
15分ほどで順番になり、ガジルがパーティ名、メンバーを記入。受付の人と知り合いだったのか色々と話していた。
「おし、久々のダンジョンだしカグヤもいるし、腕ならしで3階までにしとくぞ。」
バッカス、ディアン、グーズの3人は無言でうなずく。俺も併せてうなずく。むしろどんな強さとかわかんねぇよ。
ダンジョンに入ると天井は低いが横幅が広い洞窟のような感じだった。ジャンプをすれば届くくらいの高さしかない。
当然のことながら奥に進んでいくと明かりがなくなるため、松明に火をつけて先頭と後ろにもってもらい警戒しながら進んでいく。
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「よし、あの大ネズミからいくぞ。」
前を歩いていたガジルが足を止め前方を警戒していると、大きめのネズミが現れた。ガジル達は戦闘準備ができている訳ではないので少し離れて見学している。
一応ナイフは持っているが、ナイフ一本では心許ない。というより返り討ちに遭うのは目に見えている。だからこそもっと経験をした方がいい気がするんだけど。
大ネズミを退治してから5分もしないうちに、また別の大ネズミが現れた。合計13匹倒すと、打ち止めになったのかぱったりと大ネズミは出なくなった。
下に降りる階段を見つけるまでに、大ネズミやスライムといった魔物がでてくるがガジル達が全て屠っていく。
そうこうしている内に下に降りる階段を見つけた。
「おっし。意外と速いペースでこれたな。」
階段を降りる前に休憩しようとグーズがいって、4人は下に降りる階段の近くで一服をする。
少しトイレに行きたくなりどこでできるのかを聞いたところ、その辺、ということだった。汚物やゴミなどは、大体ダンジョンに生息するスライムがそのあたりを全て暗い尽くしているという話だ。
それはそうと、周りに誰もいなさそうな所で用を足そうと周りを見ていると、壁に光る宝石が埋まっていた。
罠の危険性も考えていたが初めてのお宝らしいお宝ということで浮かれていた事もあり、不用意に壁の光る宝石を触ってしまった。
すると眩しい光が俺を全体に包んでいった。