007
「おい!大丈夫か!」
助けに入ってきたのは、朝冒険者組合で絡んできたガラの悪い男だった。野犬タイプの魔物を1匹倒したが残り2匹残っている。2匹は警戒しつつもこちらを見つついつでも飛びかかれる体勢を取っている。
と、そこへ後方より飛んできた矢が魔物の1匹に刺さる。
「GUGYAAAAAAA!!!」
致命傷ではなかったものの、先ほどとは違って矢が刺さった1匹からは血が流れ明らかに動きが遅くなっている。無事だったもう1匹はこのまま逃げようとするが、再度矢が飛んできて逃げようとした魔物の額に矢が刺さり絶命する。
残った1匹はガラの悪い男に首を切られそのまま動かなくなった。
ガラの悪い男はまだ周りを警戒していたが、暫くして警戒を解いて俺の方を向く。
「てめぇ何やってんだ!ろくに武器ももたずによお!」
胸ぐらをつかまれ思いっきり睨まれた。
「まあ待てよ、いきなりそんなに睨んでも仕方ねぇだろ。」
後ろの茂みから3人の男達がやってくる
剣を持ったガラの悪い男、弓を持ったガラの悪い男、杖を持ったガラの悪い男。助けてもらったけどこれ端から見たら盗賊に襲われてる一般市民の図に見えるな。それくらい男達の顔はいかつい。
「すいません。イリナの花を採取してたら気づかず奥に行ってしまったようです。」
頭を下げて謝罪する。するとガラの悪い男-最初に助けに入った男-は、ニッと笑って俺の頭をぐりぐりとなでる。
「無事だったからよかったがよ、もっと気をつけろよ。」
「はい…。本当にありがとう御座います。」
「いいってことよ。まあ心配だったから後ろからつけてたんだけどよ、急におめけいなくなるから焦ったぜ。」
どうやら俺のことが心配でついてきてくれていたようだった。あれか初めてのお使いか。
「とりあえず帰るぞ。そろそろ日が落ちて危ねぇしな。」
林を抜けて街道に出て王都に向かう。途中男達の自己紹介を受けた。
最初に助けに入ってきたガラの悪い男がガジル。パーティのリーダーをしているということだ。剣士で冒険者ランクはDということだった。
矢を撃っていたのがバッカス。冒険者ランクはE。弓士の男であまり喋らない為かやたらと威圧感がある。
周りを警戒してくれていたもう1人の剣士がディアン。冒険者ランクはE。斥候も務めていて今も周りを警戒しながら歩いている。
最後に杖を持った魔法使いがグーズ。冒険者ランクはD。このパーティで一番年齢が高い。ガジルと先頭に歩いている。先ほどまでは色々と冒険者について話をしてもらっていた。
とこんな感じだが、いかんせん彼らは見た目が怖い。普通だったらチンピラのように見える。だがそんな姿とはうらはらに面倒見が非常によく言葉使いも悪いが俺を色々と心配してくれている節があり、結構気をつかってもらっている。
さらに話を聞くと、彼らは初心者を支援しているギルドに入っているという事だった。それぞれの支部に初心者を支援するパーティーがいて後輩の育成に力を入れているということだった。
ちなみに俺の場合は声を掛けて断られたため、他に人がいるんだろうと思ったそうだがそのまま1人で出発してしまったため、慌てて後ろからついてきたという話だ。
「おし、それじゃああとは冒険者組合に行ってさっさと精算してこい。」
「ほんと、ありがとう御座います。ガジルさん達がいなかったら死んでたかもしれません。」
王都に入り門の前で別れる前に再度御礼を言っておく。
「おう、後輩の面倒をみるのも俺たちの仕事みたいなもんだからな!気にすんな!まあ今日みたいな事があったら、明日も同じ依頼をうけるなら気をつけろよ!あと困ったことがあったら俺たちに声を掛けろよ!荷物持ちくらいならさせてやるよ。」
ガジルがギャハハハと笑いそのまま立ち去っていった。
口が悪くなかったら…いや人相でもちょっと怖いか。でも今日は本当に助かったな、朝絡まれたときは最悪と思ったけど、かなりいい人だった。また機会があれば一緒したいと思うくらいには。
それから俺は冒険者組合に向かい採取したイリナの花6束を精算して3,600リーン受け取る。
冒険者組合を出た時点では日はすっかりと落ちあたりは暗くなっていた。雨宿りの木に戻り食事を受け取り部屋で取る。
食事が終わった後ベッドで横になっていたら、今日の疲れが一気に出たせいかそのまま眠りについた。
現在の所持金ですが、最初の時点で40,000リーン。
宿屋で5日分15,000リーン使って25,000リーン
その後ナイフやバック、袋など購入して18,500リーン
依頼の精算で現在持っている所持金は22,100リーンとなっています。
というかそろそろ鑑定の話を書きたいんだけどだらだらと前振りが長くなっております。
仕事を終わって書き始めてるのでどうしてもボリュームがすくないですが毎日更新頑張ります