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 故郷の父さん、母さん、妹、友達のみんな、元気かな?今俺は異世界に住んでます。

 非常に刺激的な毎日で何をするにも『力』がものをいいます。

 この世界にやってきて早半年くらいかな、こっちの生活にも少しずつ慣れて何とか暮らせています。…その日暮らしですが。

 もし、もしも家に帰ることができたなら、好物の肉マシマシ野菜炒めを作ってください。母さんのご飯が恋しいです。

 それではみんな、体には気を付けてください。


「ふー。なんか虚しいな…。」


 ここはある王都の一角にある宿屋の一室。俺はここを拠点にその日暮らしの冒険者家業をやっている。

 本当にこの世界は実力主義で『力』がものをいう。

 『力』といっても色々あり、権力であったり、純粋な暴力であったり、様々な『力』がこの世界にはある。


 そしてお約束。この世界には『魔法』といった現象や、『ユニークスキル』なるものがある。

 これは生まれながらにして持っているもので、5歳から6歳までの間に発現するらしい。

 ただスキルについては自分が決めれるわけではなく、ある日突然スキルが現れる。

 この世界の人たちは、ユニークスキルが発現すると同時に将来進むべき道を決める。

 といっても代々受け継がれていくような職業についてる人は関係ないみたいだけど。


 そして俺はこの世界にやってきて「鑑定士」というユニークスキルを手に入れた。

 誰かが言った「最強スキルは”鑑定士”だろ!」という言葉。だがこの世界では通用しない。

 なぜなら…


『そういえば一番奥の部屋、確か「鑑定士」が借りてるんだぜ。』


『やだ。じゃあ私たち覗かれない?』


『ははは!いいじゃねーか!たっぷりと見せつけてやろうぜ!』


 部屋の外から聞こえてくる声。品はいいとは言えないがわかってもらえただろうか。

 鑑定士…聞こえは格好良く聞こえるが、この世界では「のぞき魔」として嫌われている。


 いや、正確に言うと「恋人がおらず未婚の男性」という条件がつくんだけど。

 で、なんでのぞき魔と言われるかというと、人のステータス(プライバシー)を無断でのぞく、というレッテルが貼られているからだ。


 ステータスには様々な情報が載っており、能力や状態はもちろんのこと

 女性にはスリーサイズや月のものや経験があるか、妊娠など見えてしまう。

 当然スキルが発動することなんかわからないが、鑑定士というだけで「そういう目でみる」と思われ

 女性のほとんどからは「鑑定士=変態」というレッテルが張られていて女性からすると、未婚で恋人がいない男性の鑑定士の目は非常にいやらしく見えるため嫌われている。

 ただ鑑定士自体の数は多いわけではないし、スキルとしては非常に優秀な為、国の要職や地位の高い人に仕えていることが多い。


 そして俺も例に漏れず周りから変態扱いされている。

 初めて行った冒険者組合では自分のスキルが”鑑定士”と分かった時点で喜んだが、

 受付をしてくれたお姉さんに鑑定士と分かった瞬間ものすごく嫌な顔をされてそのあとの対応はぞんざいになり完全なお役所仕事と化していた。

 俺は鑑定士だったことに非常に喜んだが、後から鑑定士の扱いに聞いて冒険者組合で鑑定士で喜んだことは

 「人のプライバシーをのぞき見できることを喜んでいる変態」に見えるみたいで、

 明らかに失敗であり、その噂が噂を呼んで今では「変態紳士」というあだ名までつけられている。

 

 ま、それでも俺は何とかやっていけている。

 この世界にきてから、ある場所にたどり着きそこで俺は…まぁそれはおいおい話すとしよう。

 俺は今、元の世界に帰るため情報を集めている最中だ。

 といってもようやく動き出せたのが1か月前からなんだけど。

 周りの目は気になるがここは王都。

 ここ以上に情報が集まる場所がないため罵倒されようがここで暮らしている。


 借りている宿屋のおやっさん夫婦には鑑定士である俺を受け入れてくれて、ほんと頭が上がらない。

 他の宿屋だと良くて嫌な顔、悪くて借りれない。他の客のプライバシー侵害だと。

 ここを借りれたことが本当に幸運だったな。

 

 さて今日も疲れたしそろそろ布団にでも入って寝るかな。


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