不完全燃焼
なんでもないことだった
普通のことだった
本当はたいしたことじゃないだろうけど
確かに綺麗な夕焼けだったんだ
自転車の余力で進む間
風が敵でも味方でもなかった
そんな日だったと思う
左、36°視線を向けたら…
あんまりに綺麗すぎて言葉が出なかった
きっと、両手にカメラを持っていたって
レンズ越しで覗いていたって
ハッと、息をのみ込むような…
そんな、そんな、そんな、
「美しい世界だった」
なんで、その瞬間だけだったんだろう…
決まって、気持ちが弱くなった時なんだろう
見えていなかった世界
まるで天国のような
燃える炎のようで
あー、上手い例えが出てこない
いつもクソみたいな社会を
見慣れてしまったせいで
曇って、よく見えてこないのかな
暗くすれば目立つ蛍の命みたいに
どこかで人間が邪魔しているのかなぁ
今もこうしているときもどこかで
誰にも気づかれずに輝き続けてる光があるのかも
燃やし続けている火が僕にはあるだろうか
まだまだ足元すら照らせない
淡い光だ、不完全燃焼だ
こんなに美しい世界で産まれてきたんだ
あれくらい綺麗じゃなきゃ死にきれないや
夕焼けに胸を焼き付けられたんだ