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-夜ヲ駆ケル紫猫-  作者: 煎茶
1/3

1話 ゲームセンターと紫猫

初投稿です


このアカウント自体は前も作品を投稿したことになっておりますが、引き継いだだけですのでまったくの別人となっております


稚拙な文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです

「こんな筈は...」


丸みを帯びた眼鏡をかけ、揃っている前髪を指でゆっくりと巻きながら、小柄な彼は目の前に貼り出されているテスト順位表に名前の横に【83】と刻まれた数字を見ながら顔を青ざめたまま呟く。


それもその筈なのだ、彼が居るこの学校『白霞大東高校』の全校生徒は500人弱、そして彼が属する1年生の人数は170人前後、そして彼はその中で【83位】という順位をとったのだ。


しかし彼は、今回で2回目となる定期テストの1回目、つまり最初の定期テストの順位は【2位】である。


今回も彼は上位、いや1位になる筈だったのである、塾は勿論、暇さえあれば勉強をしてきた彼にとっては今回の定期テストも良い成績をとるのは目に見えていた、筈なのに。


「今回も準備は完璧にした筈だ、基本から応用まで全ての教科勉強し、予備知識、記述問題、今回のテスト範囲外までも勉強したのに、何故、何故なんだ!!」


涙が零れそうになりながら絞り出す様に呟く。


「見ろよあれ、上田 蒼太が【83位】だってよ」


「本当だ、今回どうしたんだろうあのガリ勉君は」


「さぁ?不調だったんじゃない?」


皆が驚きながら喋っている、そんな中1人念仏を唱えている青年が1人いた。


「波阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「白水君すごーい!学年2位!?羨ましいなぁ」


「今度また今度勉強教えてよ」


やばい、真実を知らない彼らの目線が痛い、本当痛い、いやそれ以上見ないで俺を勉強できるハイスペック人間みたいな目で見ないで。


そう俺、『白水 工』は勉強がそこそこしか出来ない、全教科500点満点中350点、これはどれぐらいかというと、【80位】ぐらい。


丁度学年半分で割ったぐらいの順位なのだ。


なのになんでこんなに今回順位がいいの?って聞かれたら表向きには


「いやぁ今回は本当に勉強頑張ってテストに挑んだからこの順位になれたんだよ、たまたま」という


しかし真実はこうである。


俺、白水 工は他人との能力を自分との能力と入れ替えることが出来る。


つまり今回のを例に挙げると、簡単に言えば上田君と俺の学力を入れ替えたって訳だ、勿論理由は定期テストで高得点と上位に入る為に入れ替えた。


この入れ替え能力が出来るようになったきっかけは、7歳の時、当時アパートに住んでいた俺は友達と駐車場で遊んでいる時、運悪く道路に飛び出し、運悪く轢かれてしまった。


その後、救急車で病院に運ばれ危ない所だったが助かった、右腕を骨折するだけで済んだ、本当にその時に診てくれた先生には感謝してる。


ここからが入れ替え能力の始まりだった。


一応入院していた俺は退院後普通に小学校に通い始めた、そしてこの時初めて意識せずにこの能力を使うことになる。


休み時間グラウンドで友達とサッカーをしていた俺はドリブルが上手くできず少しイラついていた。


「へい!白水パス!」


今は名前までは覚えていないが当時確かサッカー少年団に入っていた川なんちゃら君に俺はパスを出した。


「ナイス!白水、うおぉぉぉ!」


川なんちゃら君は止めに来たディフェンス2人を糸を縫うようなドリブルで抜き去り、最後にはサイドネットを揺らしゴールを決めた。


なんだあれ、かっけーと当時の俺は思ったらしい。


「あんな風になれますように!」


当時の俺は目を瞑り、ぎこちない祈り的な何かをしてプレーに参加しに行った。


するとなんということでしょう、今さっき川なんちゃら君がやっていたプレーが出来るでは無いでしょうか。


なんということでしょう、その川なんちゃら君はドリブルが下手くそになっているではないじゃないですか。


「ん??」


当時の俺は考えた、何故に俺がサッカーを上手くなり、川なんちゃら君が下手くそになったのか。


そして気づいた、能力がーー


「入れ替わってる!?」


この出来事があってからというもの、俺はこの能力を入れ替える力を利用するようになった。


しかし俺はビビりである、祟り的な何かが怖いのであまり多用はしなかった。


使ったとしても、ゲームの強さの能力を入れ替えたり、運を入れ替えたりなど、あまり両者に被害が出ないものばかり入れ替えてきた。


1回だけ、「イケメンの顔と入れ替えてください」と能力を使おうとしたが、この時分かったが傍から見てあからさまに分かる能力は変わらない、つまり顔面偏差値は上がらないことが分かった...。


まぁこんな感じで入れ替え能力を手にした俺は小中学生と入れ替える能力をあくまで相手に被害が及ばない範囲でしてきたが、今回学力という初めて相手側に被害がでる使い方をしてしまった。


「どうしよふぅぅぅ!?」


頬を誰かに掴まれた?急いで誰に掴まれたか確認しようとした時。


「うちだよ、うち赤谷 紅音だって、おはようツトム」


「朝から、男子の頬を掴み男らしい挨拶をしてくるなんて、やっぱり暴りょくぅぅぅ!?」


「誰が暴力女だ!」


「まだそこまで言ってないだろ」


「うるさい」


「ふごごごご」


俺の頬を掴んでいるこの「赤谷 紅音」いつもはアカネって呼んでいる。


こいつは、俺の幼稚園までとはいかないが、小中と一緒の学校で同じ団地に住んでいたからか、そこそこ仲が良い。


背が高く少し赤っぽい茶髪で少なくともうちの学校では珍しいツインテールをしている、顔はそこそこ可愛いが昔から絡んでいるせいか、異性としては見れていない。


「こういうのはラノベやマンガで良くある幼馴染で、ある日突然あることがきっかけで異性として見るようになり、恋愛に堕ちていくパターンやで」


そんな事を呟く彼女は 「西井 円香」呼び名はまどか、彼女は良くアカネと一緒に居て、まぁいわゆる親友ってやつなんだろう、メガネをかけており、黒髪のショートで髪が少しクルクルしているのが特徴。


腐女子という噂も流れつつある。


「んな訳ねぇだろ、なんで俺がアカネと付き合うんだよ」


「そうだよ!まどかちゃん、なんでツトムと付き合わなきゃいけないのよ!」


うん、ここまではっきり言われると悲しいものがあるね。


「いやいや、そこまで本気にしなくても...」


まどかは少し取り乱しながら答える。


「そんなことよりもだ!俺は今テストの順位に浮かれてるんだから浸らさせて」


まぁ、正確には反省をさせて、今回初めて被害を与えてしまったから、戸惑ってるんだよ!


「むう、ならばしょうがない席に戻るよまどかちゃん」


「良いの?アカネえらく簡単に引き下がるわね」


それに関しては俺も同意見だ、全く珍しい。


「うちは、今回もツトムに負けたから、少しでも勉強しなきゃ」


アカネはやる気満々の顔でペンを握る、てかそのペン俺の...。


「じゃあねツトム!」


「じゃあねじゃねぇよ!それ俺が気に入ってるシャーペンの「シャー君」じゃねぇか」


「むぅ、「シャー君」はうちの所来たいって行ってるよ?」


全くこの女は、なんで男向け、それもその中でも工具ぽいという男でも手を引くレベルのシャーペンをなんで女のお前が気に入るんだよ。


「なんでこんなマイナーな工具に似た文房具シリーズのシャーペンなんて欲しいんだよ」


「工具が好きだから!」


「いや初耳だよ!?」


「まぁいいや貰ってくよ〜また返す」


なんであんなにアイツは呑気なんだ、っていつの間にかまどかもいないし...。


「ふぅ〜」


俺が全身を伸ばしながら出したため息と共に、授業は始まった、まったくこのチャイムの音は嫌いだ。


その後俺は、こっそり入れ替わってる、俺と上田の学力を2回ミスったが元に戻した。


何故、ミスるのかという質問をされると少し難しいのだが、たとえば「学力を入れ替えたい!」と思うとその人の回りに煙的な、ドライアイス的な何かが出てきて学力に関するものと一緒に学力の煙も出てくる。


何故、煙なのに学力って分かるのかって聞かれると、自分でもよく分からない、本当によく分からない。


そしてここからがめんどくさい、3つぐらいいつもは関連ワードが出でくるのだが、今回の「学力」はもう二つ「暗記力」 「読解力」 後者2つは確かに関係しているのだか、学力とは少し違う為今回はいらなかった。


そしてここからは、最近流行っているスマートフォンのアプリケーションと一緒だ、ガチャと一緒なのだ三分の一の確率で学力が入れ替わる。


最初の引き替えは何もミスせず1回で済んだのだが、今さっき返す時に暗記力、読解力がごっちゃごちゃに入れ替わり、やっと今元に戻せた。


つまり今は上田はいつも通りの学力、俺は80位ぐらいの学力に戻った。


この能力は素晴らしいものなのだが、一つだけ副作用的なものがあり、ドライアイが進行する。


ドライアイはコンタクト勢としては絶望的なので目薬は必需品だ、なので今回でドライアイは目が痛いぐらいまで乾いている。


死にそう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


学校終了のチャイムが鳴り響く


特に部活に入っていない俺は帰宅する、中学生の時は部活はバレーボールをしていたが、キツいので高校ではやめたというかバレー部自体なかったので帰宅部となった。


「我が家へ、レッツゴー!」


帰宅後、俺は日課であるゲームセンターへ向かった、近くにゲームセンターがあり平日はそこで時間を潰して家に帰っている。


俺は愛用自転車「でんでん丸」と共にゲームセンターへ向かった。


「おっ、今日は客が多いな」


今日はそこそこ人数がいる珍しいな。


そして俺はいつもプレーしている、格闘型のアーケードゲームの台に座る。


丸椅子が少し痛いのを我慢すれば、その他は言うことがないな、このゲームは一昔前のゲームなんだが、世界観とイラストが好きで辞められない。


この機械は向かい側に付いている、同じアーケードゲームをしている人同士でやるものなので、人がいないと出来ない、たまにいない時は本当に恥ずかしい。


さて今日は人...居るな。


「よいしょ」


俺は丸椅子に座り相手を待つ。


相手のユーザー名が右上に表示された、『紫猫』?珍しい名前だなぁ、あんまり動物とか名前入れないんだけどな、因みに俺は「T」である。


俺は対戦相手が気になり、画面から顔をずらし、相手の顔を覗く。


紫色の髪の毛のボブで紫色の瞳そして白色のフードを被り、その姿はゲームのアカウント名通り紫猫を彷彿させるおそらく同級生ぐらい、そして多分こんな見た目だからコスプレイヤーかな?


「よろしくお願いしますね」


結構クールな声で少しびっくりしながらも。


「よろしくお願いします」


嫌な予感がする、俺はそれなりにこのゲームをやっているから分かるがこのパーカー女さんの使うキャラクターは凄くマイナーなキャラクター、このキャラクターを使うってことは相当やり込んでいる。


「ここは能力交換を使うか...」


いつも通りにパーカー女さんの回りに煙が出てくる、「プレイヤースキル」一つ。


珍しいこんなの確定ガチャと一緒ではないか。



勿論プレイヤースキルを交換した後同じキャラクターを選択した。


「レディーファイト!」


画面から少しノイズの混ざったボイスでゲームが始まった、そうそうこの感じがいいんだよな。


「んん?」


ゲーム画面が凄くゆっくりに見える、相手の攻撃がかわせる、そして相手の2手先3手先まで読める、もしかしてこのパーカー女とてつもなく強かったんじゃ...

能力替わったから分かるけど...


「YOU WIN!」


画面がチカチカ光る、圧勝だ、つまり能力交換してなかったら俺の大敗だ。


「良かった、良かった」


などと呟いていると。


「うりゅるるるぅ」


「ん?!」


俺は慌てて対戦相手の方を覗き込むと、凄く涙目になりながら顔を真っ赤にさせている。


「どうしました?!」


俺が反射的に問いかける、あぁしまった馴れ馴れしい俺。


「ちょっとこっち来てください」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺が袖を掴まれて連れてこられたのは、カフェらしき所、てかカフェなんて来たことがないに等しいので妙に緊張する。


「すみません、こんな勝手なことしてしまって、わらひ、負けたことなくて」


「ま、マジですか!?」


「はい、それでショックでショックで...いつもは相手の動きを見極められるぐらいまで鍛え上げてきた動体視力で勝ってたんですけどなんか今日はおかしくて」


すみません俺のせいですね、俺のせいなんですね本当すみません


「こちらこそすみません」


本当すみません...え?


「どうかしました?」


俺会話してないよな?話してないよな?


「しっかり聞こえてますよ」


パーカー女は凄く真剣に答えてくる。


いやでもありえない、相手の思考が読めるってことなのか?


「その通りですよ、私は色んな人の思考が分かります」


「いやいや、そんなの嘘にきまってるじゃないですか、嘘に決まってる...嘘じゃないのか」


思わず口がもごもごする


「今さっきも思考読みましたよね?あれが証拠です」


「何それ凄い」


俺は驚嘆の声を上げた


「因みに自己紹介するね。私はエリナよ、いっつもあのゲームセンターに通ってるの、今まで無敗だったんだけど」


また涙目になりながら話だした


「まあこんなこともありますって、たまたま俺の調子が良かっただけで...」


しどろもどろになってしまった、どうしよう、いい加減泣き止んでほしい。


会計を済ませ、自分の自転車が置いてある所へ向かいたい所だが、エリナ?さんが泣き止んでくれるまでゲームセンターの近くの路地で話しをする。


「では、エリナさん?また今度も多分あのアーケードゲームを俺はしてる時があると思いますのでいつでも対戦受け付けますよ」


「嬉しい!また挑戦させて頂くわ」


真実を知らない人の視線が痛い、本当に痛い。


「あと君の名前も教えて欲しいな」


「ああ、俺の名前はーー」


語ろうとした次の瞬間非現実的な光景を見ることになる、なんと目の前に緑の発光したレーザーぽいものが俺の拳1個分程度の距離で飛んできた。


「はぁ!?」


思わず声を上げると後ろに置いてあったゴミ箱が綺麗に丸型の穴が空いてる。


どういうことだ?俺は必死に頭を回転させる、俺は今エリナさんと話していて、すると急におそらく光線的な何かが飛んできた。


何故光線?という疑問を抱いているとエリナがメガネをかけた30代前半のエリート堅物を彷彿させる男が白水色をした短銃、その銃はよくアニメで見るようなこの世界にあるような銃ではないと思う。


そこで俺は仮説を立てた。


こっから、漫画やラノベやのような非現実的展開が始まるのか?ていうか俺はラノベの見すぎでこんなにも冷静なのか?それならば嬉しいような悲しいような...。


「当たりですよ!残念ながら今から起こることはあなたが思っている現実とはかけ離れた、非現実的な展開になると思います」


それって、本当?普通だったらこんなの映画の撮影か、ドッキリって思うよ、でもそういやゴミ箱に穴空いてたから、こんなドッキリあってたまるかと思うけどな。


それもあるがまずは。


「何勝手にまた人の思考読んでるんですか!」


「あっ、いや悪気はなかったんですよ...本当ですって、本当ですよ」


「おい小僧」


よく見ると男の体は白のスーツに金色の線が入っているおそらくゴム製の手袋をはめている。


「我は、宇宙治安維持兼宇宙警察日本支部のキョウヤという者だ、彼女は宇宙憲法違反で現在指名手配中だ!なので大人しくこちらに渡してくれないかな?」


いや意味が分からない、宇宙警察?指名手配中?彼女が?


「小僧貴様は分かっているだろうが、この地球という星には今まで宇宙人との交流はないに等しい状態であった、地球は地球人しか居ないように地球人に頼まれていたからだ、しかし現在地球の文明は発達し自ら宇宙に向かうようになったため宇宙との境界線があやふやになってしまった」


「その結果今宇宙人は少しだが、地球に住みついているんだ」


「あのーすみませんそんなに宇宙人、宇宙とか言われてもまったくピンとこないですけど」


本当に自分が言った通りだ、宇宙人だなんてにわかに信じられないし、てかこの展開本当意味分からん。


「いるじゃないか、すぐ貴様の隣に」


「ん?」


俺は言われるがままに、隣を見る、するとフードをゲームしていた頃より深く被っているエリナが申し訳無さそうな顔でこちらを見てくる。


「そこにいる宇宙警察の方が言った通り私はあなた達が言ういわゆる宇宙人ってやつです」


エリナは苦笑いをしながらため息混じりに話す。


「私は(色猫)という種族の宇宙人です、と言っても地球人とのハーフなので、ハーフ色猫と言ったところでしょうか」


えっ?宇宙人てもっと地球人から離れた容姿をしてるんじゃないの?目でっかい奴とか。


「そういった種族の方達もいるんですけど、私は違います」


「私達の先祖が、ここ地球に移住してきた理由は元々住んでいた星が地球にとても似ているからです、なのであなた達の容姿とほとんどそっくりなのです」


「まあ、さらっと思考を読まれたことは良いとして、本当は来ては行けない地球に何らかの理由で移住してきたってことでいいのか?」


「まあ、そんなところです」


エリナは少し寂しげな顔で苦笑しながら答える。


「それでいて、宇宙憲法に違反したんで今命を狙われてるんです、本来来ては行けない星に来たら死刑ですから」


てことはなんだ、彼女はこのキョウヤという宇宙警察の方に、憲法違反で追いかけられている、そして俺はその場に出くわしているということか。


「私は日本政府の者だ、と言っても裏方だが貴様がその半宇宙人の小娘をこちらに差し出したら1億出してやろう、1億円だぞ」



そう言いながら、キョウヤと男は少しニヤリとしながらも真面目に問いかけてくる。


1億だと...!そんな額手に入るのか宇宙人捕まえただけで、そんな大金...欲しいなどと思っていると。



「ほら走って逃げるよ、チェック君」


「うぉわ!」


俺は袖を掴まれたまま、路地の細い道を走り抜けていくエリナに必死について行く。


「貴様は、日本政府を敵に回したということでいいののだな」


「ひぃぃ、誤解です、誤解、別に俺は敵に回った訳じゃなくてですね」


なんでゲームセンターに来ただけなのに、日本政府とか意味の分からん宇宙人とかと行動してるんですかね?


あと本当日本政府を敵に回すほど余裕ないです。



「おねーさんの後ろに隠れててね」


「いつからおねーさんになったんですか」


「だって私の方が年上だもん、多分」


そんな事を誇らしげに言いながら、彼女は行き止まりの場所で止まる。


「あら、行き止まりだわ、どうしよう助手君」


「あらあら、おねーさん、俺を巻き込んどいて、もしかして逃げれないとか?」


「いやいやそんな事はないのだよ助手君、私は今からあの宇宙警察君と戦ってくるのだよ」


などと話しているとキョウヤという男は目の前に現れた。


「貴様もその宇宙人と一緒に葬ってやる」


いやいやいやいやいや本当に誤解、別に俺が逃げたくて逃げだした訳ではなくてですね、はい、勝手に連れてかれただけでですね。


「始末してやる」


そう言うと男は白く金色の線の入った銃を構えこちらを見ている。


あらやだ、怖い。


「ほう、この私を始末すると?寝言は寝て言いなさい!」


そういうと彼女は紫と黒色の銃を取り出した、男の銃と比べるとあっちが警察の使うような銃だとすると、こちらは海賊が使っていたような銃に近い、その銃をエリナも相手に構える。


うん、なんだろうこれ、映画のワンシーンみたい。


などと気がおかしくなったのか、自分は、なぜこの状況で呑気な感想を...というかまずこの状況自体おかしい。


エリナは人間では考えられない速度でキョウヤに近づき消えるようにして懐に潜り込み銃弾を放った。


「何っ!」


キョウヤは後ろになんとか回避し、迷わず撃ち返す、その音は重く、耳に響くような発射音であった。


それをエリナは華麗に避け、撃ち返す、そしてその内の1発が男の足をかすめる。


「痛っ」


男は思わず、歯を噛み締める。


これは流石に、素人の目の俺でも分かる、圧倒的にエリナの方が上手だ、男は防戦一方である、あとこんなに冷静に見れているのは、アニメの見すぎか?


すると男はまた銃口を俺に向けて...ん?俺に向けて。


「マジかよ」


俺は銃口を向けられる恐怖で埋めつくされていた、死ぬのか俺、シヌノカオレ、オレ...。


思考がゆっくりになっていく。


しかし男は銃の向きを変えた、そして放った銃弾はエリナの持っていた黒、紫色の銃を弾き、その銃は俺の所に転がってきた。


「痛ったぁ」


彼女は怪我はしていないが、おそらく銃を弾かれた時に手が痺れたのであろう、手を抑えながら悶えている。


全部今さっきのは俺が悪い、彼女が圧倒的有利な状況だった為、男は俺を狙うフリをすることにより、エリナは俺を助けようとこっちに走ってきたのだ、そして男は銃口の向きを変え、無防備になった彼女の銃を弾いたのだ。


「ふんっ、今回は俺の勝ちだな、お前には悪いが宇宙憲法にのっとり、死んでもらう、短い命だったがさらばだ」


「にゃはは、今回はちょっと余裕出しすぎたかな」


「さらばだ、紫猫...っ!?」


そう呟いた男の目の前を銃弾は勢い残したまま、空に飛んでいった。


「貴様銃が扱えるのか?」


「残念だが俺は今まで、こんな銃扱ったことは無い」


俺はエリナの銃を握りながら呟いた、そう俺はこんな銃扱ったことも、見たこともない。


「じゃあ何故だ!その銃は扱えるようになるまでにそこそこの年月がかかる筈だ!」


「お前と俺の銃の扱える能力を入れ替えたんだよ」


「そんなデタラメを言うな!!」


そう言い放った後、男は銃をこちらに向けて放つ。


「何っ!?」


男が放った銃弾は誰にも当たらないまま、地面に当たりどこかへ跳ね返った。


「俺の銃を扱う腕が落ちている?そんな馬鹿な...」


「それがあるんだよな、俺は他人と自分の能力を交換する力を持っている、手に入れたきっかけは事故が原因なんだがな」


「もしもこのまま俺がお前の能力を持っていたら、お前は銃の扱いは3流レベルだ、勿論多分その宇宙なんちゃらはクビだろうな」


「今なら能力を返してやる、その代わり今回は手を引け!」


俺が少し威圧的に交渉すると。


「いいだろう、今回は手を引いてやる」


「よし、交渉成立だな」


俺は約束通りに能力を戻してやる、少し損した気分だ。


そして男は、「ふんっ」と言い残し、この場から立ち去った。


「びっくりしたよー、まさか君がそんな能力持ってるだなんて、おねーさんびっくりだよ」


「人に明かしたのは今回が初めてですけどね」


「そんな能力持ってるんなら、地球征服も夢じゃないね♡」


「そんな事する気もないですし、勇気もないです」


「にゃはは、そうか、そうか」


エリナは満面の笑みでこちらと会話してくる。


「それと、あの場面、俺を助けに来ようとしてくれてありがとうございました、申し訳ないです」


本当に申し訳ないのだ、未だに彼女の右手は多分痺れている。


「じゃあ、今回私が君を連れ去ったのとプラマイゼロでいいかな?」


後ろで手を組みながら俺を覗きおねだりしてくる。


でも俺がエリナを助けた分は?ということは今回は流してやろう。


「それでいいよ、本当ありがとう」


「にゃはは、改めてて感謝されると、照れますなぁ」


「そうだ、君の名前は?」


「ツトム、白水工だよ」


「うんいい名前だねツトム」


少しドキッとしてしまった、不覚。


「 さっそくで悪いんだけどツトム、見ての通り君は私を助けて宇宙警察の人は君を共犯として手配すると思うんだよ」


「うん?」


「だからツトムは晴れて私達宇宙人と同類ってことだ!」


「やっぱり前言撤回、ありがとうなんて絶対言わない」


「にゃはは、怖い怖い」


本当にどうしようか、政府敵に回すとか、冗談で済まされないぞこれ。


「大丈夫だよ、今回ので分かったと思うけど、人が沢山いる所では秘密裏に宇宙人を排除してるから急に銃を撃ったりは出来ない、つまり日常的には多分大丈夫」


「でもツトムも怖いだろうから、護身用の銃支給してあげるから、うちのグループ入りなよ!」


「グループ?」


なんだグループって、宇宙人ばっかりいるのか?そんなところあんまり行きたくないのだが。


「安心してよ、ちゃんと地球人もいるし、君が思い描いているような宇宙人は1人も居ないよ!」


確かに、護身用の銃が貰えるなら、貰いたい、しかも銃扱えないから、誰かに指導して貰わないとダメだな。


「分かったよ、入るよ」


「わーい、嬉しい、あんまり人がいないから寂しくてねツトムが入って、これで7人目かな?」


おぉ以外と小規模などと感心していると。


「じゃあ今から行くよ、レッツゴー!」


1人盛り上がっているエリナの長ズボンのポケットから何かカードみたいなものが落ちてきた。


「なんだこれ?」


広い上げてみると学生証だった。


「ちょっと待ってください、や、やめろぉ!」


「なになに?玉垣第2中学14歳中学2年生清水 絵里奈?」


「あぁ」


「お前年下じゃねええかぁァ!!」


「ごめんらひ、頬をクネクネひないでくださひ」


そんな俺達の物語は始まってしまった。


始まって欲しくなかったけど...。










こんな小説を最後まで読んでいただきありがとうございました


意見、質問、要望があれば何なりお申し付けください。


次話は少しでも読んでくださる方がいたら続けるつもりです


ここまで読んで頂きありがとうございました。



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