14-epilogue
「これでいいかしら」
私・メイサは、街からの逃亡を図るサラちゃん達を相手に、攻撃の手を緩めていた。
理由は一つ、何故サラちゃんが私達の敵に回ったのかを、確かめたいから。
しかし、そんな私の首筋に「水の刀」が突き付けられた。
だから私は、最後の一矢を放った。
水の刀……そんなものが作れる人物を、私は一人しか知らない。
「ルイちゃん?」
魔女ルイス……私達の妹であり、水の魔女と呼ばれる少女。
もっとも、実年齢はとても少女と言えるものじゃないけれど。
「上出来。
まったく、しっかりやってよね。
じゃないと助けられないじゃん、アウロラを」
ルイちゃんはどうやら、ローラちゃんを助けるために、眠れる森に協力しているみたい。
確かに、この「計画」が実行に移された時点で、ローラちゃんは解放された。
……それが、彼女の意思ではないとしても。
「姉に刀を向けるとはね。
そんな子に育てた覚えはないわ」
「育っちゃったもんはしょうがないでしょ。
お、ね、え、ちゃん?」
「……生意気を言う子は――」
私は、ルイちゃんへと振り向くと同時に、彼女から離れるように飛び立つ。
そして、ルイちゃんのいる場所に、一本の光の矢を打ち込んだ。
その矢は無数の小さな矢に分裂し、まるで雨のようにルイちゃんに降り注ぐ。
地面へと降り注いだ矢は、ルイちゃんの周辺に土ぼこりを舞い上げた。
私は、その土ぼこりの前へと降り立った。
少しお灸を据えたつもりだけど――。
‹Liquid Drive›
どうやら、意に介してなどいないみたい。
「生意気を言ってるのはそっちでしょ?」
土ぼこりの中から現れたのは、巨大な盾を持つ水色の鎧。
あれは……「盾の鎧・ビューティ」……!!
「計画に賛同するもしないも、お姉ちゃんの自由だよ。
でも――」
‹Burning Drive›
私の背中に付きつけられる、巨大な杭。
杭を携えているのは、真っ赤に染められた「杭の鎧・フルーティスト」。
サラちゃんから奪ったものだ。
「その時は、私達が相手になるから」
言われなくても、次からは手心など加えない。
全力でサラちゃんを叩きのめす。
だけど、もしサラちゃんが勝つようなことがあれば……。
その時は、あの子たちの方が正しかったということ。
そう、賽はもう……投げられた。
次回予告
無慈悲なる一矢により、奪われたイブキの命。
しかし、脳を貫かれたはずのイブキが、動きだして――?
キサラギ理論、プロジェクト・プリンス、そして肉体を持たぬ人間「ブライア」。
マフルを巡るすべての謎が、今繋がります。
果たしてソウタは、運命に抗うことができるのか?
――そしてついに、一対の双翼を携えた「比翼の騎士」が覚醒します。
次回「命の息吹と比翼の騎士」お楽しみに!!




