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6-2

 それから3日後、俺達はオーシャン・セントラルに向かうこととなった。

 たった3日で、水着やその他諸々の準備が出来るのは、無職の特権というところか。


 調べたところ、オーシャン・セントラルはただの温水プールではないらしい。

 温泉や本格的なレストランなどもある、レジャー施設のようだ。

 入場だけでも結構いい値段する筈だが、そんなチケットを3枚も、リユはどこから手に入れたのやら。


 俺達は万端の準備をしてから、ライムの運転する車に乗って、オーシャン・セントラルへと向かった。

 どうやらこの車は、チケットと共にリユから借り受けた物のようだ。


 レジャー施設といっても、所詮は市民プールの親戚だと思っていた俺は、オーシャン・セントラルの姿に、度肝を抜かれた。

 巨大な立方体の建築物、高さは10階建て程度か。

 一辺200メートルはあろう建築物は、もはや市民プールの非ではない。

 しかも、ビルを挟んで、入り口と反対側には、広大な屋外プールがあるらしい。

 これじゃあ、プールと言うよりも、遊園地だ。


「おっきい……」


 車の後部座席で、イブキはそう漏らしていた。

 俺が見ても圧倒される建物だ。

 イブキにとっては未知の光景だろう。


 巨大なビルが並び立つセントラルシティの中でも、オーシャン・セントラルは一際目立っていた。

 その正門には虹をかたどったアーチが設置されている。

 道路を走る車が、吸い込まれるようにそこに入っていくのを見るに、そのアーチを潜れば駐車場に辿りつけるようだ。

 ライムの運転する車は、流れに乗って、駐車場へと向かう。


 現在時刻は10時。

 比較的空いている平日を狙ったが、開園時間の時点で、駐車場はあふれかえっていた。

 まあこの恵みの街が、活気付いていない時なんて、そうそうないが。


 そのままライムは、地下に位置する駐車場に、車を止めた。

 地下駐車場も、地上の建物に負けず劣らず広大だ。

 200メートル四方の広さが、そっくりそのまま駐車場にされているのだから、そう感じるのは当たり前か。

 しかも、これと同じものがもう一つ下にあると言うのだからビックリだ。

 マフルの限られた土地を有効活用するために、地下というものは無視できないのだろう。


 その駐車場のど真ん中にある巨大なエレベーターもまた、人であふれかえっていた。

 俺達は駆け足でそれに乗り込み、1階のエントランスへと向かった。


 1階のエントランス前には、発券機が数十台置かれている。

 そのすべてに、大行列が出来ていた。

 しかし、すでに入場券を持っている俺達には関係ない。

 

「す、すごい人ですね」


 イブキは、ぽつりと漏らす。

 

「それだけ人気スポットってことだ。

 リユには感謝しておかないとな」

 

 俺達一行は、入場窓口に直行する。

 そこでもらったのは、腕時計のようなバンド。

 どうやら、料金が発生するときは、このバンドを用いて施設のコンピューターに記憶させておいて、退場する時に清算するというシステムらしい。

 確かに、こうすれば水着で金を持ち歩く必要はない。

 こっちの世界にも、こういうシステムを考える人はいるのか。


 バンドを受け取ってから、イブキ達と別れた。

 所々に目を引くゲーム機や売店があるが、まずはプールで彼女たちと合流しなくてはならない。

 俺は、楽しそうな音楽や色とりどりのお土産の誘惑を断ち切って、イブキ達の水着姿という誘惑へと歩み出した。


 この建物は外観こそ10階前後のように見えたが、天井が高いからか、実際は6階までなのか。

 1階はエントランス及び屋外プール、2階は屋内プール、3階は男湯の温泉、4階には女湯、そして5階にはフードコートがあるようだ。

 6階の宴会場は、今回用はない。

 更衣室は1・2・3・4の各階にあった。

 着替えても、無料貸し出しの館内着を着れば、水着のまま各階の移動が出来るらしい。

 

 二人の水着美女と楽しんだ後は、男湯でのんびり過ごすのもいいかもしれないな。


 今日の楽しみを胸に、俺は1階の更衣室へと向かった。

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