表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/78

5-epilogue

今回も新キャラ視点となります。

「やっぱり駄目だったんだ~」


 白い床に白い壁が続く研究所。

 しかし、例外としてここ・休憩室には、観葉植物やテレビ、ちょっとしたボードゲーム等といった彩があった。

 そんな休憩室のソファーに、私は腰を掛けていた。


 魔女サラマディエは、私の膝を枕にして、報告書に目を通している。

 そして「ま、予想通りだけど」と付け加えた。


「にしても、もう少しいい働きをしてくれると思ったんだけどな~。

 がっかり度30%」


 サラマディエ……サラちゃんは、非常に頭が切れる。

 でも、魔人や人間を道具としか思っていない。

 その道具には、サラちゃん自身も含まれている。


 今日もまた一人、魔人が命を落とした。

 どうやらその魔人に、ライムちゃんを襲わせたらしい。

 勝てないことなんかわかっていたのに……。


「もうこんなことはしちゃだめよ、サラちゃん。

 せっかくの『10人』だったんだから」


 サラちゃんは、床に報告書を投げ捨てると「は~い」と気の抜けた返事をした。

 今回この子は、魔人の総合的な評価をしたかったらしい。

 でも、知能テストなどで、それらのデータは十分得られるはず。

 こんなところで失われるべき命じゃなかった。

 なにせ、あの魔人には10人分の命が宿っていたのだから……。


「でも、あれでライライの魔力を少しでも吸ってれば、もっとすごい魔人になってたんだよ!

 それこそ、私達に届くレベルの」


「急ぐべきじゃないわ。

 それに、命は大切にしなくちゃいけないの」


 私達には、人の命よりもよっぽど思い使命が課せられている。

 だからと言って、人命を軽視していいわけじゃない。


「10人そこらの命なんて、命の内に入らないよ。

 私達の使命に比べれば」


「どんな使命があったとしても、それを正義と語るのは、おこがましいことよ」


 本来なら、もっとガツンと言ってあげなくちゃならないのかもしれない。

 こうやって甘やかしてしまうのは、私の悪い癖だ。


 サラちゃんは、私の言葉を聞いて、屈託のない笑顔を浮かべる。

 やっぱり、お説教のつもりの一言だったけど、サラちゃんはそう受け止めてはいないみたい。

 

「わかってるわかってる。

 そのために、これを用意したんだから」


 そう言ってサラちゃんが手に取ったのは、一つの「腕輪」。

 金属製の輪に、拳大の鳥の嘴のような物が取り付けられている。

 一見、風変わりな腕時計にも見える。

 こんな形をしていながら、一つで世界を左右する程の物なのだから、バカにできない。

 これはかつて、私達を殺すために作られた超兵器。


 フィセント・メイル「フルーティスト」。


「あと少しだよ。

 これがあれば、あと少しで、使命が果たせる。

 犠牲者だって最小限で済む。

 それでいいでしょ?」


 確かに、この「計画」がうまく行けば、犠牲者は最小限で済む。

 でも、いない訳じゃない。

 しかも、その数人の犠牲者は、死ぬよりも酷い目に遭わなくちゃならない。


 本当は、そんなやり方は間違っている。

 だけど、もうここまで来てしまったんだ。


 魔力を用いた、人類の解放。

 それが私達、魔女に課せられた使命。

 私・魔女メイサは、その使命に殉ずると決めた。


 その使命こそが、この組織「眠れる森」の存在価値なのだから。

総合評価70ポイントに到達しました!

応援ありがとうございます!

今回を持ちまして、第1章が完結となります。


―次回予告

 魔人が最期に放った言葉の所為で、元気を失ってしまったソウタ。

 そんな彼を見兼ねて、ライムはソウタ達を温水プールへと連れて行きます。


 段々と元気を取り戻していくソウタ。

 そんな中、迷子のお呼び出しが次々と増えてきて……?


 次回「水着の天使とプールの悪魔」

 お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ