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5-0

謎の新キャラ視点となります。

 三つのモニターが並ぶ実験室の一角。

 そこには、一人の女性が座っている。

 私は彼女に一つの書類を差し出した。


「へぇ……。なかなか面白いことになってきてるんだ。

 期待度50%」


 私が持ってきた報告書を見て、彼女はそう言った。

 報告書に書いてある内容は、大まかに言って2つ。

 一つは、魔女ルイスが、謎のメイル使いと共に動き始めたということ。

 そしてもう一つは、魔女ライムがルイスと正面からぶつかり合ったこと。

 まだ個人個人の闘争の域を出ないけど、確かに面白いことに変わりはない。

 ただ、そんなことよりも大切なことが一つある。

 私の命に関わることだ。


「それよりも、そろそろ私も限界なんだけど。

 なんとか『食料』を調達してくれない?」


 私達魔人は、そこそこ成長すれば、人間を食べずに生活できるようになる。

 しかし、絶食できる期間にも限りはある。

 私はもう、一年半も人間を食べていない。

 流石にそろそろ限界。


 私の前に座る女性は、唇に指を当て「そ~だね~」とわざとらしく呟く。


「あなたももうここに来て長いんだから、ご飯位自分で調達できるようにならない?」


 何を言い出すかと思えば……。

 そこら辺の人を襲ってもいいというなら、喜んで頂くけど、そんなことをしたら彼女にとっても都合が悪い筈。


「それなら、この研究室の人間でもいただこうかしら?」


 脅しのつもりで言った一言。

 しかし、女性は私の言葉など聞いていない様子で、キーボードを入力していた。

 彼女がエンターキーを押すと、中央のモニターに見慣れた顔が映し出される。

 銀色の髪に、切れ長の目、整った顔つきの彼女は――。


「ダメダメ。同志に手を出さないでよ~、不審度10%。

 私が調達して来いって言うのは、彼女よ」


「――魔女ライム……」


「そう、彼女を食べさせてあげよう!

 手段は問いません!!」


 まさか、300年前の友人を私に食べさせる気?

 それとも、最初から私は魔女に敵わないと踏んでいるの?


「魔女を食えって? 冗談でしょ?」


 これを本気で言っているのなら、私は彼女についての評価を改めなければならない。

 でも、彼女は「冗談じゃないよ」と笑った。


 ――魔女サラマディエは、そう笑った。

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