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 俺・如月(きさらぎ) 蒼汰(そうた)に父親はいなかった。

 俺が生まれる前に、行方不明になったらしい。


 母親はいた。

 だけど、母親から愛を注がれることはなかった。

 俺は、望まれた子供ではなかったから。

 母親は、何も授けてくれなかった。

 だから、俺が持つすべては、俺が自分自身で勝ち取ったものだった。


 幸い、日本という国は学歴と金さえあれば何とかなる。

 金なんてバイトすれば稼げるし、勉強だって必死にやれば何とかなる。

 俺はただ、母親の様な人間にはなりたくなくて、毎日死ぬ気で努力をしてきた。

 頑張って、成績を維持した。

 頑張って、友人を作った。

 頑張って、教師に気に入られた。

 だけど、頑張って何かを手に入れる度に、脳裏を過る言葉があった。

「努力して、その先に何がある?」

 でも少なくとも、今よりはマシな生活に繋がると信じて、努力をし続けた。

 俺は他人と同じスタートラインに立つ為に、死力を尽くしたんだ。

 そして、そこからまた努力をしなければならない。


 理不尽? ああそうさ、理不尽さ。

 そりゃそうだ。こんなに理不尽なことはない。

 だけど、世の中ってのはそんなもんだ。


 俺の家には、金はないけどテレビはあった。

 母親がいない隙にニュースを観て、時事問題や流行に触れる機会を作っていた。

 母親はバラエティしか見ない。

 だから、どちらかというとテレビは勉強の邪魔だった。

 

 でも、俺が唯一、純粋に楽しんでいた番組があった。

 日曜の朝などに放送していた「特撮ヒーロー」だ。

 それに登場するヒーロー達は、俺よりもよっぽど酷い境遇に立ちながら、誰かの為に戦っていた。

 だから俺は「ヒーロー」に憧れた。

 俺にはとても、そんなことは出来なかったから。

 でも今は違う。

 今の俺には、マフルの街が授けてくれたものと、他人を守る力がある。

 ライムと、そしてイブキがいる。


 俺は、ヒーローにならなくちゃならないんだ。

 それが、俺が俺に求める姿だから。

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