6.先生がみたもの
「旅立ちってどういうこと!」
鍵をかけたドアから声がする。どうやら皆聞いていたらしい。
「デュークにぃが居なくなるなんて嫌だぁ。」
エリン先生に目で許可をとりドアを開けた瞬間、俺は小さな塊達に包囲されてしまった。
「嘘だよねぇ?」
「もっと一緒に居てよぉ。」
結局大合唱で、
『デュークにぃ、行っちゃやだぁ。』
と泣き出してしまう。
俺がどれだけ大丈夫と声をかけようと、俺の服の裾を掴む子供達の力は緩まなかった。エリン先生も対応に困ったのか、
「みんな〜、これ先生が騙したんだよ〜。皆騙されたなぁ〜?」
と必死に子供達に嘘だと教えようとする。そんな先生のおかげで皆笑い始めては『先生、嘘つき〜!』と先生の方に集まっていく。敵わないなぁと眺めてから、先生の耳元でまた夜にと声をかけ子供達を抱き上げて遊び場に連れて行く。
その後は普通に過ごした、夜までは。
夜の十一時、この時間まで起きている子は居ないため自分の部屋から三つ隣の先生の部屋の前でノックする。先生にドアを開けられ中に入ると、椅子を出され向かい合うようにして先生は戸惑いながら話し始めた。
「これは、貴方がここへ来た時の話なんだけど……。最初早朝の四時に貴方は純白のペガサスに運ばれてきたの。創造上の生物がやってくるなんて信じられなくて自分の部屋から表に飛び出した。そしたら貴方が乗っていた。あちこちが酷い傷で呻いていた。その時にペガサスが話し始めたのよ。あれは今でも夢かと思うくらい。子供達が起きていなくて本当に良かった。」
話を区切るように黙ってしまった先生に俺は問いかけた。
「そのペガサスはなんと言ったんですか?」
やがて決心したように深呼吸してまた話してくれた。
「この人の手当てをしてください。そして勝手ではありますが此処で暮らさせて欲しいのです。ってね。いきなりだったけど孤児院だからと承諾した私に更に、彼が起きたとき記憶が欠けているはずです。彼が思い出し始め此処に神兵が来て倒せるまで回復したらルナが待っている。フェアリータウンに来てくれと伝えてくれ。って。神兵ってきっとあの昼間の怪物なのでしょう?あまりにも必死に訴えたペガサスを願いを聞いて貴方は今此処にいるの。でももう行かなくてはいけない、フェアリータウンへ。あと、蒼の瞳とこの預けられたマントを渡してって。この後どうするのか、それはあなた次第なのデューク・ノヴェム、でも行くのでしょう?」
もちろんと俺は強く頷き、剣とマントを手にとり、
「明後日の朝三時に出ます。子供達には内緒がいいですよね。」
その時俺は思い出していた、あの夢の警告。あれはルナという人からなのだろう。懐かしくなってしまうがまたいつ会えるか分からない。俺から会いに行くんだ。今はそれが目的なのだ。そう思い俺は自分の部屋で静かに荷造りを始めた。
流石に疲れましたね、朝月です。
前宣言したものを実現しようとするだけでこんなにかかってしまいました。苦笑するしかないですね……。でもやっぱりあと一話は孤児院でですかね。お疲れ様でした!もう自分にそう叫びたいです。孤児院まで書いて間が開いてしまったら、すみませんがご了承ください。活動報告も書かなきゃですね。それでは、また明日。