8.協力者
静かに孤児院を出た後は、先生に貰った地図とコンパスを並べて道を右往左往していた。フェアリータウンは俺の居た孤児院のある東の町から南にあるのだが、草原しか広がらないこの場所の目印がなかった。どうするべきかと座り込んでいると、
「道に迷っているのか?」
と上から声がかかった。上を見上げると俺より年下に見える女の子だった。隠す必要も無かったから、
「えぇ、フェアリータウンまでが分からなくなりましてね。」
と答える。暫く思案するようにして女の子がこう言った。
「良かったら共に行かないか?私は、そこの出身者だから道なら分かる。」
「本当ですか?驚きました、フェアリータウンと言えば町民は少なく、出る者はいない、って聞いてましたから。」
「確かにそれは本当だが、あまり聞かないでくれ。そちらの向かう理由も聞く気は無い。」
「分かりました。では、行きましょうか。」
確かに突拍子のないあの話をしても、本当だと信じるはずがない。
歩きながら少女を見ると長い黒髪を上に結んでいる。凜と前を見つめている姿を暫く見つめてしまった。
「エマだ、エマ・リンドバーグ。」
一瞬戸惑ってから名前を言われたのだと気づき、手をさしのべた。
「デューク・ノヴェムです。よろしくお願いしますね、エマさん。」
「あぁ、引き受けた。敬語は使わなくていいし、呼び捨てでかまわない。」
「分かった。」
俺達は、また歩き始めた。フェアリータウンで待つ奴らの方へ。
何かどんどん長くなってる?朝月です。
新たなキャラクター登場です。エマさん!エマさんは、少しログ・ホライズンのアカツキさんが参考になってますね。あぁ、あんな感じか、と思ってもらえれば良いですかね。
新章もよろしく御願いします。