様々な思惑
チッとフォーサスはいまいましそうに舌打ちをした。チェシャが気難しげな顔で、サナザール公国との和平交渉が再び延期されたという報告をしたからだ。一時休戦には同意したものの、思ったよりもサナザール公国との和平交渉は長引いていた。エフラカーン王国という同盟国があるせいで、サナザール公国は強気なのだ。国境の件では譲らないと主張して、和平交渉は幾度も延期された。決裂しないだけまだましなのだが、延期が続けられれば、いずれは和平交渉そのものが霧散することになる。早い内に手を打つ必要があった。
前線基地から一時皇都に戻ったフォーサスは皇帝に一部始終を伝え、戦線の存続はいずれアーリアン帝国を脅かす元になるエフラカーン王国に利益を与えるものだと主張した。気のせいか急に生気が衰えたように見える皇帝は難色を示したものの、「皇太子に任せる」と最後にはフォーサスに一任してきた。皇都の警備を預る兄ラシェイルは露骨に侮蔑を露にしたが、フォーサスは苦にもしなかった。もはや、兄たちの前で自分自身の力量を偽る気はない。自分は危険な存在なのだと、カーディスの母ジェリスとラシェイルに積極的にアピールしたいくらいなのだ。
ここにきて急に身体の不調を訴えつつある皇帝は、玉座の上で昔ほどの覇気を見せなくなった。フォーサスは自分が皇太子に擁立されたために、一計を案じたジェリスかラシェイルたちが毒を盛っているのだと疑っていた。フォーサスは早くから、皇帝のお声掛かりで第一皇位継承者と認識されてきたが、皇太子として擁立することに対しては、名家の出である異母兄の母親たちが意義を申し立ててきた。帝位を巡っての愚かな内乱を生じる可能性があるので、皇帝は露骨にフォーサスを疎んじるような真似をしたのだ。皇都を離れて、アスタロット地方領主の地位にフォーサスがついたのは、本人の希望でもあったが、皇帝の親心でもあったらしい。
「皇妃がたった一人残したそなたに後を継がせたいと、余は常々願っていたのだ」
一時、病床についた皇帝は急に気弱になったのか、前線基地に戻ったフォーサスを枕元に呼び寄せた。人払いの後で、今までの冷たい仕打ちを詫びてきたのである。今更何をというのが、フォーサスの本心であったが、父の言葉を神妙に受け止めた振りをした。
「全てはそなたに任せる」
皇帝は弱々しく、フォーサスの手を握りしめた。フォーサスは、内心に抱えた腹立たしい思いを表面に出さないように気をつけながら、言葉を選んだ。今、皇帝に退かれては困るのだ。一年とはいわないまでも、あと数ヵ月くらいは父親に皇帝としてがんばってもらわなければならない。サナザール公国との状況が不安定な今は、ジェリスやラシェイルたちを敵に回してまで、自分が表に立つには早すぎるのだ。
「まだ、父上は大丈夫です。病は気からと申すではありませぬか。弱気になられては困ります。父上のために評判の名医を呼び寄せましょう。父上のために必ず、チャイニェン大陸の覇権をとってみせます。それが父上の望みではありませんか」
口に出すにはこそばゆい言葉だったが、皇帝を元気づけた様子だった。フォーサスは自分の配下に命じて、皇帝の健康にも気を配らざるを得なくなった。それが一層、ラシェイルたちとの権力争いに拍車をかけることは、わかっているが、皇帝が生きている以上は、彼らも大っぴらに事を構えられずにいるはずだ。結局はフォーサスの意のままに、今まで通りに陰で姑息な手段を講じながら、暗躍せざるを得ないだろう。それでこそ、フォーサスは、彼らの手持ちの駒を少しずつ突き崩すことに専念できるというものだ。いずれは、丸裸になった彼らを一気に片付けるつもりでいる。
「戦にしても悪戯に長びかせるだけだったが、交渉も時間を稼いでいるとしか思えぬ」
バシンと苛立たしげに、フォーサスはテーブルを叩いた。チェシャがピクリと眉をひそませた。居並ぶフォーサス配下の者たちも、ビクッと身体を震わせた。
「殿下、何事にも平常心を忘れてはなりませぬぞ」
ヒラテが重々しく、口を開いた。
「わかっている」
憮然とした顔で、フォーサスは長椅子に深々と身を沈ませた。ここ数日、フォーサスはずっと不機嫌な態度なのだ。主君の機嫌の悪さは、配下の者たちにピリピリとした余計な緊張を与えていた。
「殿下、やはりロスモール殿の助言通りに、どなたか姫様をお輿入れさせてはいかがですか?」
ジロリとフォーサスは、トシェインをにらみつけた。フォーサスの不機嫌の元凶に触れたからだ。ヒエッと目を瞑って、トシェインは肩を竦めた。面白くなさそうにフンと鼻を鳴らすと、椅子から立ち上がり、「今日は会議にならぬ」と言って、部屋から出て行った。思いっきり軋んだ音を立ててドアが開けられると、バタンと殊更に大きな音を出して閉められた。残された者たちは、一様にフゥッとため息を洩らした。
「殿下、いい加減にして下さい」
部屋に引きこんで、つまらなさそうな顔で酒を飲んでいたフォーサスの前に、チェシャが仁王立ちした。チェシャを横目でチロンと見てから、フォーサスはグラスに入った琥珀色の液体を一気に口に流しこんだ。
「殿下にはわかっているはずです。サナザールを手懐けるためには、ロスモール殿の策しかありません」
フォーサスはグラス一杯に、琥珀色の液体を注ぎこむと、再び、あおるように口にした。この数日間、二人は同じ言葉のやり取りを繰り返している。チェシャがフゥッと大きく息を吐きだした。
サナザール公国とエフラカーン王国の結びつきは姻戚関係なのだ。両国とも神聖ルアニス帝国が滅んだのちに、地方領主が興した国である。地方領主時代より友好関係を結んできた両国は、サナザール公国の皇妃がエフラカーン王国の国王の妹であり、エフラカーン王国の王太子妃がサナザール公国の姫君であるという二重の姻戚関係にあるのだ。その関係に楔を入れるために、ロスモールはアーリアン帝国とサナザール公国との間にも姻戚関係を結ぶことを勧めてきたのである。
野心に満ちたエフラカーン王国と違い、サナザール公国は戦国時代の世にあって、どちらかというとおとなしい部類に入る。国境問題にしても、エフラカーン王国に焚き付けられた形で、アーリアン帝国との間に火花が散ったのである。ロスモールが内密に調べてきた事情によると、エフラカーン王国がけしかけるので、フォーサスの提示した和平交渉を突っ撥ねているが、内心は紛争の種となった国境問題さえ納得できれば、和平を望んでいるということだ。ここで、アーリアン帝国側が姻戚関係を結びたいと申し出れば、確固たる和平の道が開けるので、最初に生じた国境問題などどうでもよいことになるはずなのだが、その案を未だにフォーサスは採用できずにいる。
「俺が気に入らないのは、チェシャ、おまえの考えだ」
「サナザールへの人質となる適任の姫は、キャラ様以外におりません。殿下もよくご存知のはずです。他の姫では、あの方たちと意思を通じておりますから、エフラカーンの野心を無用にあおり、背後にもう一つ敵を増やすことになります」
「キャラをサナザールなんかにやれるか!」
フォーサスは声を荒げた。手にしたグラスをチェシャよりの壁に投げつけた。バキンと悲鳴を上げて、グラスは粉々に砕け散った。飛び散った破片の一つがチェシャの頬を切ったらしく、横にすっとできた赤い筋から血が滲んできた。
ここ数日のフォーサスの態度には目に余るものがあり、配下の者たちへ及ぼす影響も考えると、チェシャはこの辺で決意を促すべきだと心に決めた。手でサッと血を拭いさったチェシャの顔から表情が消えた。チェシャが殊更に無表情になりフォーサスを見下すようになった時は、本気でチェシャが怒っているのだと長年の付き合いですぐにわかった。ちっと軽く舌打ちをして、フォーサスはチェシャから視線をそらした。
「殿下、これ以上交渉を長びかせていては、再び戦を交えることになります。また、あの方たちの血族である騎士隊長たちが、ノラリクラリとした戦いをすることになるのです。悪戯に兵力の消耗させるだけです。それでもよろしいのですか?」
「勝手にしろ!」
痛いところを突かれてへそを曲げたような顔で怒鳴ると、フォーサスはチェシャにクルッと背を向けた。チェシャと喧嘩をしては、やり込められて悔しそうにしていた子供の頃みたいなフォーサスの態度に、チェシャは懐かしさをともなった笑みを浮かべた。
「トシェインを迎えにやります。姉から、ソフィア様も落ち着いたとの連絡を受けていますから、キャラ様だけでなく、ソフィア様も皇都に迎えることにします」
フォーサスは何も答えなかった。返事の代わりにテーブルの上に酒瓶を手にすると、今度は瓶から直接あおるように液体を口に流しこんだ。口の中に苦みを感じた。それが酒のせいなのか気持ちのせいなのかわからなかった。
初めて訪れたアーリアン帝国の皇都ティルブは、人々の往来も多く、市場は活気で満ちあふれているようにみえた。ソフィアたちを乗せた馬車が通りにさしかかると、人々の視線が一斉に向けられた。往来の人々が歓声の声を上げ始めたのだ。通りを覆い尽くした人々の口からは、フォーサスとソフィアの婚礼を祝福する声が幾重にも輪唱するようにわき上がった。
「これはどういうことですか?」
ソフィアは柳眉を逆立てるようにして、傍らに控えるトシェインに尋ねた。チェシャの弟という彼と初めて会ったとき、顔立ちはよく似ているがチェシャとは違う雰囲気に戸惑いを覚えた。
「ソフィア様は正式に、殿下の正妃に立てられることになりました。皇帝陛下並びに皇太后様のお声掛かりなのです」
澄ました顔で前方を見つめたまま、トシェインが答えた。キャラの顔がパッと明るくなった。トシェインの腕をクイクイと引っ張ると、藤色の瞳を輝かせてた。
「兄様とソフィアの結婚式をするの?」
「はい、殿下が正式に皇太子になられましたのに、神聖ルアニス帝国の皇女でいらっしゃるソフィア様をいつまでも愛妾の地位に甘んじさせておいては、我が国の品位にも関わります」
「そのようなこと、わたくしは伺っておりません」
「婚礼の件は、ソフィア様が殿下の愛妾になられた時から、既に決められていたことでございます」
トシェインは澄ました抑揚のない声で答えた。ソフィアはキリリと唇をかみ締めた。キャラだけが夢見るような顔で、「ソフィアの結婚式きっときれいよね」うっとりとしながら、呟いた。
皇都の中心には、広大な敷地を持つ皇宮城がある。セクション毎に区画がきちんと分けられおり、中央に皇帝の住まいである皇宮殿がそびえたっている。その東側にフォーサスの住まいである皇太子宮が位置していた。ソフィアたちを乗せた馬車は皇太子宮へと続く常緑樹の並木路をゆっくりと進み、並木路と同じ常緑樹で囲まれた閑静で落ち着いた雰囲気を漂わせた館の前に直接止まった。トシェインはそのまま馬車で立ち去り、ソフィアとキャラは侍女に連れられて、それぞれの私室へと案内された。夜になって皇太子宮へと戻ってきたフォーサスに会った途端に、ソフィアは言葉で咬みついた。
「わたくしはまだ、フォーサス様の正妃になりたくはありません」
「相変わらず気が強いな」
フォーサスの目が心なしか細められた。
「まだということは、いずれは正妃になってもよいというのだな」
グッとソフィアは言葉を詰らせた。フォーサスはソフィアの腕をグイッと引き寄せた。ソフィアの唇にキスをしたあとで、フォーサスは軽々と身体を抱きかかえた。拒否することは許されなかった。知らず知らず、ソフィアの目に涙が滲んでいた。
(チェシャ………)
身体の上を激しい嵐が吹き荒れる中で、気が付くと心の奥でその名を呼んでいた。奥底に秘めたる想いは、フォーサスにもチェシャにも決して知られてはならない。心とは裏腹にソフィアの身体は、フォーサスを受け入れていた。甘美な感覚が身体を貫いて、アウッと喘ぎ声を洩らした。気恥かしさで一杯になり、白磁の肌が桜色に染まった。身体の芯からわき上がる心地好さに身を任せて、ソフィアは次第に我を忘れていった。
意図的なのか、偶然なのかはわからないが、ソフィアが皇都に来てから既に一ヵ月にもなるというのに、チェシャの姿を遠くに見る以外に二人が会うことはなかった。その間に皇帝や皇太后、フォーサスの兄妹たちとその母親たちとの対面などが相次いで、緊張が高まった中で執り行われた婚礼の儀が過ぎ去ったあとは、極度の気疲れのためにしばらくベッドに伏せってしまった。特に敵である皇帝との対面は、少なからずソフィアに衝撃を与えた。人を切り裂くような鋭い双眸とうたわれた彼の翡翠の瞳には生気はなく、身体からも精悍さは失われ、病み衰えた老人を思わせたからだ。時間というものの持つ残酷さを、まざまざと見せつけられたような思いだった。
皇帝が急な病に倒れたために、フォーサスが微妙な立場にいるということもすぐにわかった。皇太子が皇帝代理として政務につくことを、重臣たちの半数が反対しているのだ。裏には種々の思惑が複雑に絡み、一触即発の危機をはらんでいる。皇帝と皇太后のお声掛かりで行われたソフィアとの婚礼は、フォーサスの地位を確たるものにするために、一役買ったに過ぎない。
結局は、皇帝が出した折衷案が受け入れられた。当面はフォーサスが皇帝代理として政務の大半を執り行い、二人の異母兄がフォーサスの政務を補佐するという案だ。皇帝の三人の息子は皇都に集められ、表面上は仲よく政務をこなしているようにみえる。ラシェイルが、水面下で激しく火花を散らしていることは、容易に看破できたが、とりあえず、フォーサスは無視していた。旧イマザシェン国の地方領主として任地に赴き、意図的に皇都をしばらく離れていたカーディスは、ラシェイルがいない時などはフォーサスに親しげに話し掛け、母親が口うるさいので閉口していると、フォーサスに愚痴るように洩らした。
表面上は何事もなく、穏やかな日々が続いたが、種々の面における警戒だけは怠っていなかった。何が起きてもすぐに対応できる手筈は整えてあった。
「いや!絶対にいや!」
泣き喚く声と共にバタンと勢いよくドアを開けて、キャラがソフィアの部屋に飛びこんできた。ソフィアに抱きつくと辺りも憚らずに大声で号泣した。困惑気味にキャラの背中を撫でながら、ふと入口に目をやると、ドアにもたれるようにチェシャが立っていた。近くで見たのは久しぶりのことなので、わけもなく胸がトクントクンと激しく脈動し始めた。目を瞑って深呼吸した後で、ソフィアは努めて平静さを装った。
「久しぶりです、ソフィア様」
臣下の礼をつくしたあとで、チェシャが室内に入ってきた。キャラが小刻みに身体を震わせた。ソフィアにしがみついたまま、子供がイヤイヤをするみたいに夢中で頭を振った。
「何かあったのですか?」
小首をかしげながらソフィアが尋ねると、チェシャは穏やかな笑みを浮かべた。
「キャラ様にはこの度正式に、サナザール公国の王太子殿下との縁組が整いましたので、今日からはお輿入れの支度のために皇太后様の館へとお移りいただくことになりました」
淡々と説明するチェシャの声に、次第にソフィアの顔が蒼ざめた。腕の中のキャラがワァッと声を上げて泣き伏した。
「まだ、キャラは十四歳になったばかりです。もうしばらく、自由に暮らさせてあげられないのですか?」
「既に決まったことですから、今更変えることはできません」
「ですが、何もキャラでなくても、他に年頃の妹君はいらっしゃるではありませんか?」
「ソフィア様、無用な争いを避けるための手段なのです。おわかりになられますね」
チェシャの言葉の意味が、不明瞭ながらも理解できた。フォーサスの妹たちも、兄同様に信用できないということなのだろう。キャラの幼さを無視すれば、確かに友好を結ぶための特使として、他国へと嫁がせるには適任と言える。ただ、割り切れない感情というものが人間にはあるのだ。
「フォーサス様にとっても、チェシャにとっても、わたくしたちは覇権をとるためのただの道具でしかないのですね」
痛烈な一言を発してから、伏し目がちになったソフィアは「出て行って下さい」と小声で言った。
「ソフィア様、キャラ様がサナザール公国へとお輿入れになられない場合には、サナザールとの戦が再び始まります。多くの兵士たちが無用の争いで命を落とすことになるのです」
チェシャの声に肩を震わせたあとで、蒼ざめた顔を上げて、チェシャをキッとにらんだ。
「大義のためには、個人の感情など問題ではないと仰られるのですね」
「はい、サナザール公国の王太子殿下は心根もよく、お優しいお方であると聞き及んでおります。ですからこそ、殿下は大切なキャラ様を嫁がせることに決めたのです」
「わかりました。今日のところは、わたくしがキャラを預ります。いいえ、嫁ぐ日までは、わたくしが責任を持って、キャラの面倒をみます。せめて、ここにいる間は、二人で過ごさせて下さい。わたくしにとっても、キャラは大切な妹なのです」
「ソフィア様」
「フォーサス様には、わたくしたちのこのくらいの我がままを許す度量はあるはずです。それでなくては、このチャイニェン大陸の覇権を握る資格はありません」
冷たく言い放ったソフィアを見て、チェシャは手を口許に持っていくと、こらえきれないようにクククと喉の奥で笑い声を上げた。
「ソフィア様は初めてお会いした時と、変わっておりませんね。勝気でいらっしゃるくせに、案外、無防備すぎるのですよ。わかりました。私の負けです。殿下も私もソフィア様に逆らうことはできませんからね」
クククと笑いながら、チェシャは部屋から出て行った。三白眼でチェシャの後ろ姿を追いながら、自然にソフィアは口を尖らせた。
(チェシャの私に対する子供扱いも、少しも変わっていないでしょうが!)
心の内で思いっきり悪態を吐きながら、いつのまにかもたげてきた想いに、やるせない様子でため息を吐きだした。
「ソフィア、ごめんね」
チェシャの気配が室内から消えたあとで、ポツンとキャラが呟いた。ソフィアは無言で背中を優しく撫で擦った。
チェシャから連絡を受けたフォーサスは、口ぐせともいえる「勝手にしろ」という言葉を口にした。ソフィアは「勝手にします」と言葉で切り返した。
実に子供じみた感情なのだが、フォーサスとチェシャを次第に許せなくなってきた。ソフィアはフォーサスを拒むつもりで、キャラの私室に自分のベッドを運ばせた。キャラと二人きりになると、ソフィアは自分の枕に二人の似顔絵を描き、思いっきりバシンバシンとベッドに叩きつけた。キャラがあっけにとられて、ソフィアが「馬鹿みたいですわ」だの、「もうきらいです」だのとぼやきながら、枕を叩くのをただひたすら見つめていた。




