第一話
連続投稿しました!
筆がのっているので、もしかしたら次もつくれるかもしれません。
ではどうぞ1
ギルド。それは気の合った者同士で作るコミュニティのようなもの。その役割はそれぞれによって違う。クレセント達のギルド〈アロンダイト〉はモンスター討伐などを中心の依頼を受けている。最近は王都騎士団による一斉討伐があり、しばらく仕事が無かったのだが。
「依頼者は?」
「えーと、王都より少し離れた村の宿屋の娘さんね。村周辺の森にワーウルフの群れが出現して、狩りも何もできなくて困っているそうよ」
なるほど、とクレセントは考える。ワーウルフは凶暴な性格でそれなりに手強い。村人では手にあまるだろう。
いつもの服装である、≪魔銃士の衣≫の黒シャツとパンツに、アイテムボックスから取り出した金と銀の双銃≪双竜の牙≫を腰のホルスターに収め、黒いコート≪黒い殲滅者≫を羽織り、準備完了。
「リュンクス、そっちは?」
「こっちもOK-」
「よし、行くぞ」
さあ、久々の狩りの始まりだ。
大して時間をかけずに依頼のあった村へと着く。
「あ、あの、すみません。ギルドの方でしょうか?」
声のした方を向くと、栗色の髪と瞳をした少女が近くに立っていた。しかし、少女はクレセント達を見て表情を凍らせ、数歩下がってしまった。まあ、無表情のクレセントはともかく、数の少ないドラクルを見たら大体の人は同じような行動をとる。すぐに行動に移したのは、すでに何度も同じ経験をしたリュンクスだった。
「ああ、怖がらせてごめんね。私達は依頼を受けた〈アロンダイト〉のメンバー、リュンクスと言うの。こっちの無愛想なのはクレセント。よろしくね」
「誰が無愛想だ」
「は、はい!よろしくお願いします…」
リュンクスの言葉と柔らかな笑顔に少し安心したように表情を緩めた少女だったが、クレセントが視線を向けたことでまた固まってしまう。
「あんまり気にしなくていいから、とりあえず依頼内容を確認しても良いかな?」
「あ、はい!…最近、森にワーウルフの群れが出たって狩りに行った人たちが話していて、もうすでに村人の何人かは怪我をして帰ってきているんです」
「それじゃあ、そのワーウルフの群れを討伐すればいいんだね?」
「はい、…お願いできますか?」
少女の不安そうな声に、リュンクスは背負った大剣を撫でて笑う。
「大丈夫、任せなさい!…あ、クレセント。アンタは村の護衛で残ってくれる?」
「…分かった」
「え…あの…!」
少女が何か言うより速く、リュンクスは森へ駆けて行った。クレセントは変わらず立ったままだったが、少しして少女に視線を向け、ポツリと呟いた。
「…私はここに残って見張る。君は家に戻ってるといい」
「いえ、私もここにいま…きゃあっ!?」
突然大きな衝撃が地面を揺らし、よろめいた少女をクレセントが左手でつかんで支えた。
「何ですか、今の?」
「…始まった」
クレセントの言葉をきっかけに、森からは何かの吠え声や衝撃が響き始めた。
「あの、リュンクスさん一人で大丈夫なんですか?ど、ドラクルの人みたいですけど、もし怪我とか…」
「…あれくらいの敵相手に傷一つも付くことは無い。一つ心配なのは…」
ガルルッ。
クレセントが言い切る前に、森から白銀の巨体が数体現れた。
「ワ、ワーウルフ!」
「…あの馬鹿、討ち漏らしたな」
口から涎を垂らしながら、ワーウルフはクレセントと少女めがけて飛びかかってきた。
少女はヒッと悲鳴を漏らし、クレセントにしがみ付く。だが、クレセントは無表情のまま少女をコートの裾に隠すように左手で抱きしめ、空いた右手は腰のホルスターから銃を抜き取った。
≪攻撃スキル:連続早撃ち(クイックドロウ)≫
ドドドウッ!
瞬きする間もなく発射された数発の銃弾は、それぞれワーウルフの急所を貫いた。
「…もういいぞ」
「…え?」
少女が目を開けると、そこには息絶えて地面に転がるワーウルフの姿があった。
ガサッ。
しばらくして森の一部の木々が揺れ、反射的に銃を向けるクレセント。
「ちょ、ちょっと待ってクレシィ!私、私だってば!」
出てきたのはリュンクスだった。自分に銃口が向けられているのに気付いて、青ざめながら両手を上げた。
「…チッ」
「今舌打ちしたよね!?ひどくない!?」
「クスクス…」
二人のやりとりに不安や恐怖が薄れてつい微笑んだ少女を見て、クレセント達はそろって不思議そうに首を傾げた。
「あれ、君いつの間にクレセントのコートを握ったの?」
リュンクスに言われ、少女は右手を見る。コートの裾を知らぬ間に握っていたことに気付いて、羞恥に顔を赤くして慌てて手を離した。
「す、すみません!」
「…いや。怖くなかったか?」
「少し怖かったですけど、助けていただいたので、大丈夫です」
「…そうか」
無表情だった口元が、ほんの少し緩んだのを見て、少女はまた違う気恥ずかしさに頬を染めた。
「…さて、森にしたワーウルフは全て討伐しておいたから、これで依頼は完了だね」
「そうだな」
リュンクスの言葉にはっと顔を上げる少女。
「あの、報酬のことなんですが…」
「あー、そうだねー。…そうだ!」
思いついたようにリュンクスは手を叩き、笑顔で少女を見た。
「今晩の夕食と宿をお願いできるかな?」
「え…それだけでいいんですか?」
少女は思わず呟く。もっと高い要求をされると考えていたからだ。
「うん、別にそこまでお金に困っていないし、それにさっきの戦闘でお腹が空いたし、ね」
「…それが目的だろう」
「あはは」
「…では、こちらです!」
少女は微笑んで、クレセント達を自分の家である宿屋に案内しようと走り出し、その後を二人はゆっくりと着いて行った。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
文才の無さにほとほと涙がでます。
次もなるべく早く投稿したいと思います。