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サイなあたし達  作者: 戸理 葵
第四章 彼らの事情
38/67

He is 2

 あたしは一気に教室まで舞い戻った。スカートからは血糊を飛び散らせて。

 途中まで唯の手を掴んでいたはずなんだけど、いつの間にかあの子は消えていた。


「香取礼っ」


 入口に立つのと同時にあたしは香取を見つけて、大声を出した。

 帰り支度をしていた彼は(ちなみにあのまま、あたしの後ろの席に居座っている)、顔を上げてあたしを見ると、怪訝そうに片眉を吊り上げた。



「あん?」

「あんたっ、よっぽど俺様だとは思っていたけどまさか日本の教育基本法を無視する程だとは思わなかったわっ。煙草はふかすし頼まれたってだけでキスしてるし人のパンツの柄まで見ているし、やりたい放題、香取王国かっ。なんでこんな奴を受け入れてんのよっ日本とこの学校はっ」


「・・・・・宮地さん、何言ってんの?」

「日本が、何だって?」

「どうしたの、宮地さん? それにその服」



 香取と比較的仲のいい男子達が、あたしの形相を見て少しビビりながら声をかけてきた。

 (女の子達は、遠巻きに見ている。あたしと香取がつるみ始めてから、あたしはクラスの女子からあまり話しかけられなくなった。何だか、色々と目立ち過ぎたらしいの・・・)

 あたしはその時そんな彼らが眼中に無く、香取を指さすと大きな声で叫んだ。


「何で16歳でこのクラスにいるっ?」



「えっ?」

「16歳?」

「誰が? 香取ちゃんが?」


 

 山田くんとか中森くんとかが、ポカン、とする。

 そんな彼らの中心で、香取がブチっと切れた。


「・・・・・おーまーえー・・・・・」



 つかつかとあたしに歩み寄ってきたかと思うと、次には顎を、ほっぺごと片手で掴まれた。



「それをここでデカイ声で言うか?」

「・・・・・あ・・・・・・」

「この口。この口は上にある脳味噌の管理下には無いのか? それとも脳味噌そのものに管理能力が無いのか? まさか遠い宇宙と交信しているとか言わねーよな、あ? 同じ失態を何度もするんじゃねーよ」

「い、いひゃいいひゃいいひゃい」

「ちっくしょう、俺ばっかりマジで被害を受けてんじゃねーかよ。報復するか、見返り受けるかしねぇと気が済まねぇ」

「しゅ、しゅみましぇん」



 しまった、またついうっかり彼のプライベートな事をおおやけにしてしまった。

 あたしは、久々に見る香取の切れた眼光に、以前も経験した様な間の悪さを感じた。ああ、あたしのパンツの柄をばらされる日も近いかも。

 その時、後ろで荒い息遣いが聞こえてきた。


「・・・・真琴・・・・速すぎる・・・・・」


 唯の、息も絶え絶えな声。あれ、あたし唯を置いていっちゃってんだ。

 ・・・・マズイ。ワールドレコード塗る変える様な走りをしていませんように。


 香取はあたしのギリっと睨み上げて摘み上げて、その後の唯を見て周囲を見ると、軽く溜息をついた。

 そしてあたしを手放すと、観念したかのように口を開いた。


「・・・・・俺の学籍は一年B組だよ。レベルに合わせた科目だけこの三年クラスで授業を受けている、という名目なんだ」


 それを聞いたあたし達クラスの連中は、皆一様に驚いた。



「えぇ? そんな事出来るの?」

「出来る所を選んだら、この学校になったんだよ」

「すげぇ・・・」

「それであの成績かよ・・・」

「そういうの、スキップって言うんだっけ? イギリスでもそうだったの?」

「まあ。元々イギリスは就学年齢も早いし」

「・・・・へぇ~。それはまた」

「え? じゃあ、今年度卒業すんの? 大学は?」

「多分イギリスの大学に行くと思う。来年秋から」



 次から次へと矢継ぎ早に質問が飛び交う。それを香取は淡々と答えていった。

 すると山田くんが首を傾げて言った。



「すっげ。あれ? でもそれじゃ何でわざわざ今年だけ日本に戻ってきたの? しかも転校生だし。そのままイギリスにいればよかったじゃん」



 それを聞いた香取の表情が、僅かだけど尖がったものになった。



「・・・・くっそオヤジの命令だよ。有無を言わさず。何でか知るか」

「・・・・ふーん」



 皆は分かった様な分からない様な顔をして、香取を眺める。

 そんな中、あたしは開いた口が・・・・ますます開いてしまった!!


 

 お父さんのせいで、強制的にココに転校??

 しかも二学年も下なのに、むりやりこのクラス??

 そんな彼の所に、あたしがテレポで飛んでっちゃった??



 あり得ない。ぜーったいっ、あり得ないっ! 偶然である、ワケが無いっ!

 しかも香取、イットに睨まれても平気で動けるし、やっぱコイツはサイだ! 絶対そうだ!!


 そんでもって、あたしのお祖母ちゃんが、絶対どっかで絡んでいるに違いないっ!! あのお腹が真っ黒お祖母ちゃんっ!



 

 あたしが一人で驚愕している最中、クラスのみんなは別な意味で、興味津々、香取を眺めていた。


 香取は転校初日から、色んな意味で異色で異端で、周りから浮いていた。それが益々際立つ事になったんだもの。最近は、クラスの男子と溶け込む場面も多かったのだけれどね。転校生だし、外見といい言動といい、浮いていた事に変わりは無い。



 香取は何でも無い様に、再び机に戻ると帰り支度を始めた。

 それをクラスメイトの視線が追う。

 何だか痛々しいな、とつい思ってしまった。

 その時、中森君の呑気な声が飛んだ。



「いいじゃん。俺なんて二浪だよ?」

「・・・・え?」


 驚いたように香取が振り返る。

 周りにいた女子の一人が、ビックリした様に声をあげた。


「・・・うそっ」

「ほんとほんと。オヤジが絶対、この高校以外は許さねーっつってさ。自分の母校だし、俺の地元じゃ高校のネームバリューが大学より勝るのよ。オヤジも兄貴達も親戚連中もみんな、この高校出身ってワケ。で、出来の悪い俺は入学するのに二年もかかったの」



 中森くんはふざけた様に顔をしかめると、片手をあげて蠅を追い払う様に、軽く振った。

 そして香取の肩に腕をかけるとグイっと引き寄せ、ニヤッと笑って悪戯っぽく言った。


「お互い、親父にゃ苦労するよな?」



 この一言で、教室内の空気ががらりと変わった。香取はすぅっと、クラスに受け入れられた。

 それは傍で見ていても気持ちがいいくらい、鮮やかなものだった。


 中森くんは、異端視されていた香取を自分の側に引っ張り入れ、そして自分達の問題を「父親と息子の関係」と言う、一般的なものにすり替えたんだから。


 自分の状況の変化に戸惑いながらも、満更でもなさそうにクラスメイトに言葉を返す香取。あたしはそんな彼と、彼を救った4つ年上の兄貴分を眺めて感心した。


 いつもいい加減そうな中森くんが、そんなに男気溢れる人だとは思わなかったわ。かなり、感動したかも。



「良かったね」


 ちょっとした隙に香取に小声で声をかけると、香取は怪訝そうに言った。


「何が?」

「なんでも」

「何だよ」

「わかってるくせに。いい人達だよね。あたしも含めて」

「・・・・てめぇのせいだろ・・」


 小声でドスを聞かせてあたしを睨みつける彼。

 でも見慣れているから、無視。


「あ、ところでお父さんって何者? どんな仕事をしている人なの? 香取の身内に尋常じゃない人っていたんじゃないの? うちのお祖母ちゃんってそっちの世界にやたらと顔が広くてさ、絶対なんか仕組まれてるんじゃないかと・・・・あ、でも面倒臭いからなるべく首を突っ込まない方がいいか・・・」

「・・・・・」



 ギッとあたしを睨みつけていた香取は、更に何かを言おうと口を開いた。

 そしてあたしのスカートの血糊を発見した。



「・・・お前、どうしちゃったの、その服?」


 げ。見つかった。ていうか忘れてた。


「・・・・あー・・・これは・・・・・・」

「香取くんの、可愛い従妹ちゃんが」


 唯がいつの間にか隣にいて会話に入り込む。両手を横に振りながら、「ドバーっと」と言った。


 それを聞いた香取は、驚いたように唯とあたしの血糊とを交互に見やり、それからチラッとあたしを見ると、何故か唯に向かって尋ねた。


「ウソだろ?」

「そう思う?」


 少し怒った口調で唯が言う。

 香取は溜息をついて、あっさりと言った。


「まあ、確かに山本はウソ、つかなさそう」

「私が? そう見えるの? 騙されているかもよ?」

「そうなの? 俺、騙されてるの? ・・・・て、お前はまた、何だよ?」


 香取がウザったそうに、片眉を上げてあたしを横目で見下ろす。

 あたしはマジマジと香取を見つめていた。


「・・・・香取が・・・・めっちゃ素直・・・」

「喧嘩売ってんだよな? 今度こそ、俺に売ってるな?」

「女の子とまともに会話をしている所、初めて見た」

「サルの分際で自分の失言は棚に上げて「ちょっと」


 再び、唯に会話を遮られた。

 唯は、今度はあたしと香取の二人を軽く睨んで言った。


「こうやってあなた達は、話がいつもずれて行くのね?」

 

 そう言うと、あたしのスカートの後ろを指す。

 あたしと香取は、二人して「あ」と呟いた。



「・・・・それ、落ちねぇかも。ごめん」

「別に香取が謝る事じゃ」

「あいつって激しいしキツイけど、本当は悪い奴じゃないんだ」



 あたしと唯、ゆらっと後ろにのけ反っちゃった。


 うっわ典型的な台詞。いやどう考えても悪い奴でしょ。落ちない塗料をあたしにかけたの、これ、わざとだよ? 激しくてキツくて、悪意だらけじゃんか。


 そう心の中で突っ込みつつ、思いやりに溢れた慎み深いあたしは、ニッコリと微笑んで言ってあげた。



「ストレートなコって、嫌いじゃないよ? 裏でねちねちされるよりよっぽどマシ」

「いや、あいつは裏でネチネチもするぞ?」


 は?

 

 香取は腕を組んで、真顔で続けた。


「例えばこれからサイトにお前の悪口を軽く書き込むとか、学校で妙な噂を軽く流すとか、お前の私物を軽く壊すとか隠すとかその他諸々、あいつならやりかねない」

「・・・・え?」

「だから俺は面倒で、あいつには逆らわずに生きてきたんだ。はるなに目をつけられたんなら、お前これから覚悟しろ」



 あたしは唖然とした。

 隣で唯が、ポカンとした。



「な、ちょっと誰のせいだと思ってんのよっ」

「だから最初に謝ってんだろ」

「謝って済むかっ! 身内ならなんとかしろっ」

「なんともなんねぇ。身内だからわかる」

「香取っ!!」


 信じらんないこいつっ! 元はと言えばあんたがまいた種でしょっなんであたしが被害を受けるのよっ。

 ・・・・あれ? これが因果応報ってヤツ? 香取に災難を与え過ぎた、報いなの?








「あ、おかえり・・・・随分面白い恰好をしているね」

「・・・・・・」


 ダボダボの緑のジャージを来て帰ったあたしを、水島さんがマジマジを眺めた。

 しかも男ものだから、裾を思いっきり折ってるし。なのにウェストはピッタリなのがムカつくし。

 ああ、体育をサボるんじゃ無かった。真面目にジャージを持ってくればこんな目には・・・。



「『香取』・・・・いつから?」

「真顔で聞くな」

「旦那はもう帰ったの?」



 彼は玄関を覗う仕草を見せた。香取は毎日、あたしをこの屋敷前まで送ってくる。多分水島さん達と何らかの取り決めをしているんだろう、と思っているあたしは、何も聞いていない。だって今のあたしは、一人であのイットに対抗出来る力なんて無いもん。


 あたしは香取のジャージを着ているのが恥ずかしくて、急いで自分の部屋に戻ろうとした。

 

 その時、近くの部屋から人の気配がした。

 そこは衣装室(この家には衣装室がある。クローゼットじゃなくて、部屋が丸々服で埋まっているから、あたしは衣装室って呼んでいる)。でも家主はあたしの隣にいる。水島さんの両親はここには住んでいない。

 という事は・・・・。

 


「あれ? もしかしてよっちゃんがいる?」

「うん。今から出かけるけど」


 期待に満ちて恐る恐る覗くと、部屋の中でよっちゃんが立っていて、何やら引き出しを引っかきまわしていた。

 細いストライプの入った、黒いスーツを来ている。男らしい背中と長身が、良く映える。

 髪は普段と違って、整髪料で後ろに流している。

 

 漂う雰囲気が、似合い過ぎて大人。


 彼があたしに気付いて、振り返った。

 久しぶりに見る顔は、笑顔で明るくってあったかくて、やっぱ最高だな、とか思った。



「あ、まこちゃん。お帰り。そして久しぶり」

「久しぶりですー。うわ、かっこいい。どうしたんですか、その格好?」

「バイト先で買い取ったんだ。これからパーティーに行くんだ」


 バイト先? 買い取り? パーティ??


「えーっと・・・・バイト先って、あの、警察庁がどうのって・・・」

「あー、そっちじゃない、雑誌の方。智哉、これ借りるぞ」


 よっちゃんは、手にしていたタイピンを掲げた。

 あたしは「どうぞぉ」と返事をする水島さんを振り返って、聞いた。


「何言ってるんですか、彼?」

「義希は雑誌のモデルもしてんの。知らなかった?」


 うそっ! ほんとにっ! 知らなかったっ!

 あたし、モデルって初めて見たっ!


 よっちゃんは引き出しをまだ掻き回しながら、クスクスと楽しそうに笑って言った。



「面白いね、まこちゃん。警察庁でスーツなんて、買えないでしょ」

「・・・・警察庁が日本刀振り回してるなんて知ったら、何でもアリかな、と」

「お、言うねぇ」



 ヒュウ、と口笛を吹いて、よっちゃんは茶化す。ニコニコしている。

 屈託のない彼は、あの日に見た怖い人と同一人物とは思えない。



「じゃ、モデル仲間のパーティですか?」

「んー、当たらずとも遠からず、ってとこかな。彼女に誘われたんだ。彼女の友達のお父さんが、ある大使館に勤めているらしくって、それの流れ」


 ・・・・何ですか?


 この場合、突っ込むのは、「彼女」なのか「大使館パーティ」なのか。


「おい、彼女直々のお出迎えらしいぞ」

「わかった。な、智哉、これも借りてい?」

「しっかり返せよ、それ、ブルガリだから」

「さすがオレ、お目が高い」



 よっちゃんは手にしたカフスリングを袖に付けながら、軽やかに部屋を出てきた。

 そしてあたしを見てニコッと笑うと、肩に手を置き、


 ほっぺたにチュッ


 と音を立ててキスをした。

 そしてあたしの頭をくしゃっと撫でた。


「じゃあね、まこちゃん。いい子にしてるんだよ」

 

 そしてそのまま軽やかに去って行った。



 ・・・・これ、固まるわよ。やっぱ動けなくなるわよ。で、でも水島智哉のからかいの恰好の餌食になるのも癪だわ。


 あたしは振り返る事無く、そのままロボットの様に歩きはじめた。

 その時、外で声が聞こえる。

 そしたらつい見ちゃうのって、人情だよね?


 

 開けっぱなしの玄関から見えたのは、お迎えであろうシルバーのピカピカな車のそばで、素敵なドレスを来た素敵なお姉さんとしっとりとキスをする、よっちゃんだった。



 あんなキス、するんだ。

 彼女となら、するんだ。




「ショックなら見なきゃいいのに」


 狙った様に最悪なタイミングで、後ろから声をかけられる。

 あたしは振り返りもせずに、だけど思いっきり膨れて言った。


「大きなお世話」

「優しいでしょ?」

「あの人、大人っぽい」

「実際大人だろ? よっちゃんって年上好きだから」

「クラブじゃなくて、大使館でパーティ。何だか別世界」



 思わず呟く。本音を交えて。

 水島智哉はつまらなさそうに言った。



「あいつ、上流階級と知り合うチャンスは逃さないの。それがモットーだから。イットと出会えるって信じてんの」


 振り向くと、彼は腕を組んで壁に寄り掛かって、無表情にこっちを見ていた。



「・・・・出会ってどうするの?」

「もちろん斬り殺す。それが夢なんだって」

「何で?」


 すると彼は、一瞬間を置いた。


「そこに原因を求めてるんだよ」

「何の原因?」

「色んな原因じゃない?」


 そう言って肩を竦めると、水島さんは冷たい視線をあたしに向けた。


「僕としては、そろそろいい加減にしろって言いたくなるんだけどね」


 

 何の事? あたしの事? それともよっちゃん? 

 それとも全く別の事?

 あたしは探る様に彼を見つめた。



 

 イットが多数、社会の上層部に食い込んでいる、と言う事は、あの事件の後に水島さん達から聞いた。

 だからイットが絡んだ事件は表面化しない。もみ消される。

 よっちゃん達の警察庁云々とは、御上おかみ公認のイット暗殺隊だって教えられた。


 『007みたい』と言ったら、


 『そんなカッコいいものじゃない。ていのいい厄介払いだよ。適当な部署名を与えられただけで、顔を出した事もなければ同僚を見た事もない。実際、警察庁に科学捜査研究所って言うのはあるらしいけど、名前を貸してる連中もいい迷惑だろうな』


 と、よっちゃんは皮肉っぽく言っていた。


 『俺達に大義面分を与えている奴らは、人間とイットが結託したお偉いさん。自分に不都合な下っ端は、仲間でも殺せる連中なんだ、あいつらは』


 そう言う彼は、侮蔑とも憎しみとも言える色を瞳に浮かべていた。




「行きたい?」


 急に目の前の水島さんに言われて、あたしは驚いた。

 彼は薄く笑っている。


「どこに?」

「あのパーティ」

「えぇ?」


 ビックリして大声で聞き返してしまった。今、あのパーティって言った??



「実は僕も招待を受けているんだよね、親父の代わりに。でもどの女を連れていくかで揉めるのも嫌だし、面倒臭いから放っていたんだけど」



 そう言うと腕を組んだまま、ダサい学校指定の男物ジャージを来た青虫の様なあたしを、上から下まで何度も眺め回す。

 

 ちょ、待って・・・・どういう事・・・・?



「まずはその体型に合うドレスを、調達しないとな」


 

 弱冠眉間に皺が寄っていますけど、お兄さん、それはどういう意味?

 彼の難しそうな表情に、あたしは冷や汗が垂れ始めた。


 

 あたし、パーティに連れて行かれるの? あの大使館パーティ? ド、ドレスを着て??

 い、いいのかな? あたしなんかが行ったら、場違いじゃないかな? だって目の前のこの人、相当考え込んでいるよ?



 でもあたしは図々しくも、いいです行きません遠慮します、が言えなかった。


 だってシンデレラだって、パーティでの王子が、見たかったじゃない。



 




 


 





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