第9章
【ケン・フランクリン、ジョアナとコロンボがいる家へ】
(ケン、ジョアナ・フェリス宅の玄関先に到着)
ピンポーン、ピンポーン
ジョアナ:「ああ、ケン・・・。」
(ジョアナとケンは抱き合う)
ケン:「しっかりして・・・大丈夫だから。
大急ぎで車を飛ばしてきたんだよ。
・・・何か、わかったかね?」
ジョアナ:「いいえ、まだ・・・。」
ケン:「信じられないな・・・けさ、事務所で会ったばかりなのに。」
ジョアナ:「ああ・・・どうも、紹介するわ。
(警部を見て)こちら、コロンボ警部さん。
(ケンを見て)ケン・フランクリン。」
コロンボ警部:「はじめまして。」
ケン:「あいさつより、捜査は進んでるのかね・・・?」
コロンボ警部:「あ、いやー、まだ手をつけたばかりのもんで・・・。」
ケン:「まだ、『行方不明』なのか?」
コロンボ警部:「行方不明??
あのぅ・・・事務所へ寄って訊いてきたんですか・・・?」
ケン:「それぐらい訊かなくてもわかってるさ。
サンディエゴから、ずっとラジオをつけっぱなしで来たんだ。
・・・ニュースで詳しく報せている。」
コロンボ警部:「なるほどぉ・・・『マヌケな質問』でしたな。」
ケン:「結局、ジムはまだ・・・?」
コロンボ警部:「ええ・・・まだ見つかってません。
・・・サンディエゴに知り合いでもいるんですか?」
ジョアナ:「いいえ、(ケンはそこに)別荘持ってるんです。」
コロンボ警部:「はぁ。
すると、週末を過ごしに行かれたわけですな・・・?」
ケン:「(落ち着き払って、微笑しながら)うん。
・・・最初の質問に戻るけど、『手がかり』も掴んでないのかね?」
コロンボ警部:「(渋い顔で)いやぁ・・・せっつかないでくださいよ。」
ケン:「『せっつく』だと・・・?
いいかね、こいつには『人の命』がかかってるんだよ。
(ジョアナを見て)一杯やりたいな。」
ジョアナ:「あたしも・・・。何か作るわ。」
ケン:「どうも。
(コロンボ警部に)・・・なにをモタモタしてるんだね。
状況はかなりくわしく分かってるんだし。
『メルヴィル夫人』なら、とうに真相を掴んでるぞ。」
コロンボ警部:「・・・小説の主人公ですか?」
ケン:「ああ、そうさ。
・・・彼女ならおそらく、こう言うだろう。
『これは単純な失踪事件じゃない。手慣れた殺し屋のしわざだ』って。」




