第18章
【殺されたラサンカの食料品店にて】
(看板は、『LA SANKA'S GENERAL STORE BOUTS - FISHING EQUIR FOR RENT(= ラサンカ雑貨店)』となっている)
パトカーの無線1:「・・・こちら、502号。」
パトカーの無線2:「502号、どうぞ。」
パトカーの無線1:「ただいま、『(ラサンカの)死体』確認しました。検証に移ります・・・」
パトカーの無線2:「了解。」
(やじ馬の車やパトカーにまじって、コロンボの車も到着する)
警官:「・・・『ブン屋さん』かね?」
コロンボ警部:「いやぁ・・・あぁ・・・刑事ですよ。
(警察手帳を見せながら)ロサンゼルスの・・・コロンボです。
・・・コロンボ警部。」
警官:「ロサンゼルスから?」
コロンボ警部:「ああ。」
警官:「・・・捜査に見えたんですか?」
コロンボ警部:「『所轄ちがい』だけど、担当する事件と関連がある気がするもんでね・・・ちょっと(店の中を)見せてもらってもいいかい・・・?」
警官:「ええ、どうぞどうぞ。
・・・おたがいさまですからね。」
(コロンボ警部、苦い顔で葉巻をふかしながら店内へ)
新聞記者1:「いや、頭に外傷があるとか。」
店内の警察官:「(君は)誰かに聞いたんだろう?」
新聞記者2:「さっき、(法医学の検死官の)ウェブスター先生が言ってたでしょうが。」
店内の警察官:「あぁ、(ラサンカの死体の)頭に外傷がある。おそらく、舟が転覆したとき、どこかで頭部を強く打ったんだろう。」
新聞記者2:「それで意識を失ったんでしょうか。」
店内の警察官:「検死の結果が出るまで、そのへんは何とも言えんな・・・俺は専門家じゃないからね。」
新聞記者1:「だいぶ水を飲んでました。
・・・泳げなかったのかな?」
店内の警察官:「知るもんか、俺は『ガイシャ(= 被害者)の亭主』じゃないぜ。」
新聞記者2:「あの・・・身寄りは?」
店内の警察官:「なさそうだな。
ずっと一人暮らしだったし。」
新聞記者1:「・・・問題の舟は?」
店内の警察官:「どういうことだい。」
新聞記者2:「自分のですか、借りもんですか?」
店内の警察官:「・・・ガイシャの舟だそうだ。
近所の者が、そう言ってる。」
(その間、コロンボ警部は、店内の瓶のチョコレートを勝手につまんで食ってから、奥の部屋へ)
(警部は、ケンが電話を掛けた部屋や、ふたりがシャンパンを飲んだ部屋などを、葉巻をふかしながら捜査する)
(やがて、足元にケンが開けたシャンパンボトルのコルクの栓が転がって出てくる)
コロンボ警部:「(においを嗅ぎながら)コルクか・・・。」
(警部、最初の部屋へ)
新聞記者1:「(死んだラサンカが)釣りに出たのかな・・・?」
店内の警察官:「あぁ、そのへんは想像するしかないが、『釣り竿』や『魚籠』は、いまのところ発見されてない。
とにかく、舟の上で突然、めまいか心臓麻痺でも起こしたんだろう。」
新聞記者2:「すると、やはり『事故』ですか。」
店内の警察官:「これは、俺個人の『推測』だぜ。」
新聞記者1:「酒は、飲んでませんでしたか。」
店内の警察官:「知らんなぁ・・・。」
新聞記者2:「(ラサンカは)健康だったんですか・・・?」
店内の警察官:「・・・いいかげんにしてくれよ。
まだ事件は起きたばっかりだし、こっちゃ、何もわかっていないんだ。」
(ここでコロンボ警部、ケンがラサンカに贈ったメルヴィル夫人シリーズの『殺人処方箋』の本を見つけ、表紙の裏に記された、ケン・フランクリンの『手書きのマジックのサイン』に気づく)
店内の警察官:「・・・あと1時間したら、署のほうに来てくれ。」
新聞記者1:「『1時間』は、どうかなぁ・・・」
店内の警察官:「そうすりゃ、もう少しはっきりしたところを、発表できると思うんだよ。」
新聞記者2:「しょうがない。じゃあ、あとでお願いしますよ・・・」




