第14章
【おしゃれなレストランで】
(ウェイターが、大きなイチゴクリーム・パフェをテーブルに運んでくる)
ラサンカ:「・・・うふふふ。」
ケン:「さぁ、どうぞ。」
ラサンカ:「わぁ、すごい。
・・・あたし、イチゴには目がないのよ。」
ケン:「そりゃ、よかった。」
ラサンカ:「うふふふふ・・・うふふ・・・あたし、はずかしい。
ふふ・・・そんなに、にらまないで。」
ケン:「いやぁ、そいつはムリだよ。
店以外で君に会ったのは、はじめてだろう?
・・・きれいだな。
『リリー』って呼んでいい・・・?」
ラサンカ:「えぇ、うれしいわ。
うふふふ・・・ふふふ・・・。
今夜のお芝居、どうだった?」
ケン:「いやぁ、退屈だったよ。
・・・君は?」
ラサンカ:「あなたの本のほうが、ずっとおもしろいわ。」
ケン:「・・・ありがとう。
ところでさっきの話だけど・・・『見ちゃった』とか言ってたね・・・?
何をだい。」
ラサンカ:「あぁ・・・あのこと?
そぉねぇ・・・えーと・・・『現場』を見ちゃったの。」
ケン:「・・・何のだい。」
ラサンカ:「はぁ・・・あなたの『パートナー』の。」
ケン:「・・・ジムの?」
ラサンカ:「ええ。」
ケン:「と言うと・・・?」
ラサンカ:「わたし・・・新聞見て、すっかり、あなたに同情しちゃった。」
ケン:「・・・どうして。」
ラサンカ:「(ジム・フェリスが)事務所で殺されたって書いてあったけど・・・『デタラメ』でしょ・・・?」
ケン:「・・・そうかな。」
ラサンカ:「ええ、そんなはずないわ。
だって、あの人が殺されたって時間には・・・『よそ』にいたんですもの。
・・・あたし、知ってるの。」
ケン:「そんな話は、お互いに忘れようじゃないか。
ぼくも、『聞かなかったこと』にするよ。」
ラサンカ:「・・・それはむずかしいわね。」
ケン:「なぜ?」
ラサンカ:「頭に焼き付いてるから。
・・・新聞を読んだときには、思わず『あっ』と言ったわ。
だって・・・こないだ(うちの店に)買い物に来たとき、電話かけに行ったでしょう。」
ケン:「うん。」
ラサンカ:「今度の『お供』は、どんな女の人かと思って・・・窓際から、ちょっと覗いたら・・・」
ケン:「・・・ぼくの言葉を、頭からうたぐっていたんだね?」
ラサンカ:「いえ、そういうわけじゃないわ。
・・・あなたに関心があったの。
うふふ・・・それであたし・・・車に乗ってた人を、この目で見ちゃったの。
男の人だったわ・・・はははは。
・・・あなたといっしょに小説書いてる人。」
ケン:「それで・・・びっくりしたわけかい。」
ラサンカ:「いいえ、そのときは別に。
でもあとで・・・その人が『ロサンゼルスで殺された』ってニュース聞いて、おやっと思ったのよ。」
ケン:「・・・なぜ、警察に届けなかった。」
ラサンカ:「はぁ・・・バカねぇ。
あたしは、あなたの『ファン』なのよ。
おほほほほ・・・」
ケン:「ありがとう、リリー。
ハナシはわかった。
・・・いくら欲しい?」
ラサンカ:「いやぁねぇ、そんなこと言ってないのに。」
ケン:「いやいや・・・そんな意味じゃないんだよ。
『感謝の気持ち』さ。
・・・ぼくにまず話してくれたことに対する。
わかるだろ・・・?
ぼくらはいままでどおり、『仲のいい友達』さ。」
ラサンカ:「あなたって、ほんとに『物わかりのいい人』ねぇ・・・。
・・・あたしもラクじゃないのよ。
亭主に死なれて・・・ひとりぼっちであんな『シケたお店』やってるでしょう?」
ケン:「あぁ、わかってる。
だから、君のことを軽蔑したりはしないよ。
そこらにいる・・・『ゆすりたかり』じゃあない。
・・・そう思ってる。」
ラサンカ:「そう思ってもらえると、気が楽だわ。」
ケン:「じゃあ、言ってくれ。
・・・いくら出せば、だまっててくれる。」
ラサンカ:「1万5千ドル。
あ・・・あたし・・・信じてほしい。
二度とこんなことしないし・・・『クチの堅い女』なのよ。」
ケン:「わかってるよ・・・君は『頼りになる人』だ。
オーケー。
その条件で、手を打たせてもらおうじゃないか。
・・・いいね?」
ラサンカ:「はぁ・・・もちろんよ。
あははは・・・は・・・こんな言い方、気に障るかもしれないけど、あなたと『取り引き』するのは、楽しいわ・・・。」
ケン:「いやいや・・・こっちも『楽しい』よ。」
(フランクリン、ラサンカに手からイチゴを食べさせてあげる)
ケン:「ふっふふふふ・・・」




