第39話 初心者をバカにするし、初心者向けの情報をバカにする
「お前こんな事も分からないの? これだから素人は困るんだよ。何も知らないでコレをやろうだなんて、恥ずかしくないの?
昔のファンは自力で何でもやったし、今みたいに整備されている環境じゃなかったからガッツが無いんだよなぁガッツが」
専門用語が通じなくて一々説明しないといけないって、ものすごく面倒だよね。何で自力で調べようともしないのかが分からないよ。
◇◇◇
・この悪いお手本からあなたが学ぶ事。
「ニワカが増えた」
「表面的な部分をなぞるだけで本質を分かろうとしない若者はなっとらん」
いわゆる「老害」と言っても許されるであろう古参勢の言い分にこういうのがありますけど、
「お前もかつては今のお前が毛嫌いする初心者だった。何も分からなかった事を忘れるな」と釘を10本でも20本でもブッ刺して良いでしょう。
こういう「初心者の勘違いや間違いを許容できない老害」がジャンルを潰すんです。
……いや訂正しましょう「全ての組織はマニアが潰す」と言い換えてください。
娯楽だけでなく会社でも長い事関わり続けて「オレはこの会社について誰よりも知っている。お前たち若い奴は何も分かっていない!」
っていう勘違いした『会社マニア』が潰すものです。時代に取り残されて没落する会社は大体こういう『会社マニア』がいるものなんですよ。
特に初心者向けの情報は当然ですが「分からない」を「分かる」ようにする必要があるんです。
つまりは『難しい事を簡単に説明する』ため、作るのはとても難しくて少なくとも「誰でもお手軽に作れるもの」ではありません。
だから初心者向けの情報を作ってる人は本当に「10倍増しで」褒める必要があります。
彼ら彼女らのおかげで新規層が入ってくるんですから、この人たちは「その道30年の玄人」なんてハナクソ未満になる位に高評価しないと、先細りするはずです。
とはいえ、そう言いたくなるマニアの気持ちも分かるんですよ。多くの人は「子供の頃の時代が永遠に続いて欲しい」って思ってるものなんですよ。
子供の頃は失敗しても許された、知らなくても大丈夫だった。そんな「子供だから許された暖かさ」っていうのは中々に忘れがたいものです。
特に私は今でも夢で見ますもんね。中学生や高校生に戻れた夢をいまだに見ることがあるんですよ。それ位子供の頃というのは人生の中でも良かった思い出になってる物です。
その頃の娯楽が時代に合わせて変化するのは、多分否定したくなるでしょうね。
例えば最近「シン・ゴジラ」や「ゴジラ-1.0」で復活した「ゴジラ」ですが、ディープなゴジラマニアからしたら
「ゴジラは水爆から産まれた怪獣なのだから、原爆や戦争の恐ろしさを抜いたらウルトラマンの怪獣と一緒になってしまうよ」って言ってるそうですが、
ゴジラは既に「水爆大怪獣」ではなく「日本が世界に誇る怪獣王」になっているので、彼らの不満や怒りは永遠に解消される事は無いでしょう。
その証拠に、ゴジラとキングコングが共演する映画もあるのですが、これはゴジラが「日本の怪獣王」だからこそ出来るわけなんですよ。
それに、ゴジラの産みの親である本多 猪四郎監督は
「ゴジラとか特撮物を子供向けだ、大人は見なくても良いなんて考えて撮ったことなんてないよ。お客さんを楽しませる。これ以外になかったね」
って言ってたそうなので「ゴジラはあくまで娯楽映画であり『ゴジラ? なんかよく分かんないけど、とにかく炎を吐く怪獣でしょ?』で通って良い」ものなんですよ。
何せ「ゴジラの産みの親」がそう言ってるんですから。
だから「ゴジラは水爆大怪獣でなくてはいけない。原爆の、戦争の恐ろしさを思い出させるからこそゴジラはゴジラでいられるんだ」っていう
一種の崇拝に近いゴジラ信仰にまで達しているマニアの信念には疑問を挟んだ方が良いかなと思います。
個人的にはそんなにもゴジラが好きなら、そして今のゴジラの描き方に文句があるのなら、いっそのことゴジラ映画の監督になって
「自分が描きたいゴジラを、それこそ「水爆大怪獣」だった頃のゴジラを好きなように好きなだけ描いてやる!」とは思わないのでしょうか。
そんな事言うと大体は「イヤミか貴様ッ!!」って言われるでしょうが。
ゴジラを例に出しましたが、こんな感じで「マニアだからこそ分かるマニアックな意見」っていうのは「世相を一切反映していない役立たずな物」だと思って良いでしょう。
あまりにも現実とはかけ離れすぎたご意見ご要望になっているものなんですよ。
なので「マニアだからこそ分かるマニアックな意見を何も知らない初心者にぶつけて「お前はなっとらん!」とマウントをとる老害」っていう
「生ゴミは肥料になるがお前は畑の肥やしにもならん」っていう最高に必要なくて最高に使い道も無い人が生まれるんですよ。
逆に、こういう老害が「いやー周りには分かる人ばかりで民度が良いよなー」って満足しているのなら「極めつけに」危険なサインです。
なぜなら新規層がいなくなったので、やがて加齢とともに廃れる運命にある組織なのですから。




