第23話 いつも締め切りギリギリまでねばる
「限界まで質を上げないと依頼主に失礼だからね。仕事には『極上クオリティ』が求められるモノなんだよ。
だから締め切りギリギリまでかかるのは仕方ないし、そうしないと依頼主や上司に失礼だよ」
そうだよね。作りかけの仕事を見せたところで相手もどう言えばいいか分からないじゃないか。
だから締め切りギリギリまで粘らないといい仕事は出来ないよ。
◇◇◇
・この悪いお手本からあなたが学ぶ事。
「仕事のできる人」とはどういう人か?
「最初から100点を出せる人」と思われがちですが、実際には「最初は30点だけど次は50点、次第に70点、80点と修正できる人」が
本当に「仕事の出来る人」です。
本当に仕事ができる人はとにかく手が早いです。
極端な例でしょうが「化物語」シリーズで1つの時代を築いた西尾維新先生なんかは1日に2万文字書くとの事。わずか5日で文庫本1冊の分量を「毎日休まず」書き続けられるそうで狂ってんなぁオイ。
特に「毎日休まず」っていうのが脅威で「最大で2万字」じゃなくて「『最低でも』2万字」なのが凄まじい。
さすがにここまで極端な例は無いでしょうけど、仕事のできる人で「遅筆」な人はあまり見かけないと思います。
アニメ化もされたマンガ「7つの大罪」の作者、鈴木 央先生も速筆で有名になっており、ジャンプに所属していた頃は原稿を落とすことなく週2日休めたとの事。
個人的には鈴木先生は「ライジングインパクト」の人だという認識なんですが、まぁそれは別の機会に。
できるだけプロトタイプ、分かりやすく言うと「試作品」あるいは「とりあえず作ってみた」というのを早く作って、それを仕事の依頼主に渡してどうしようか確認してもらうのが本当に仕事ができる人なんです。
あの世界的SNS、フェイスブックを作った人であるマーク・ザッカーバーグ氏に言わせれば「完璧を目指すよりまずは終わらせろ」という格言があって、
それはこの「とりあえず作ってみた」を出来るだけ早く作って依頼主に見せろ。という意味なのでしょう。
なぜ最初から完璧を目指さないのか? それは「依頼主と自分の感性がピッタリと重なることは絶対に無い」からです。
「俺としてはこうすれば良くなる」と思っても、依頼主に「ええ!? こんな大事な所を無視してそんなどうでも良い所にこだわるの!?」って思われたらそのこだわりには何の意味も無いからです。
極端な話、自分は100点、いや120点だ!! と思っても相手が見て0点と思ったらその仕事は0点、というわけです。
このお話の冒頭にあった『悪いお手本』で「限界まで質を上げないと依頼主に失礼」って言ったけど、依頼主が満足しなければ「全ての仕事は無に帰る」のを知らないのは致命傷だと思います。
なので依頼主、多くの人にとっては上司だと思いますが……その人と密に連絡しあって、仕事の「どこに」力を入れるべきか、仕事の「どこが」見せ場なのか?
それをしっかりと把握することが「仕事のできる奴」には「必須」と言っていいでしょう。それくらい重要なポイントです。
そのためにはプロトタイプ、つまりは「とりあえず作ってみた」を出来るだけ早く提出して、意見をすり合わせる事が何よりも大事なのです。
それを実現するには、おのずと「手が早くなる」事が求められますし「速筆に悪手無し」の意味が腹の底から理解できるでしょう。
ここまで話していると「仕事では楽したい」人にとってはおそらく苦痛だと思います。
「せっかく作った物を全ボツされたらどうするんだ!? もう立ち直れないじゃないか!」ってお思いでしょう。
だから「プロトタイプ」つまりは「とりあえず作ってみた」あるいは「完璧を目指すよりまずは終わらせろ」なんですよ。
別にピカピカの完成品でなくても良いんですよ。最初は絵で言う「ラフスケッチ」みたいなもので全体的な流れが分かれば良いんです。
この仕事はここが重要だと思うのでこうしました。アピールする場所はここでそのキャッチコピーはこんな感じで行こうとしています。どこか修正したい場所があればお教えください。
って言えば上司も親身に聞いて応えてくれるはずです。骨組みでもいいので「こういう方針で作ろうと思ってます」というのを見せるのか肝心なわけです。
間違っても「オレの言いたい事なんて空気読めばわかるだろ! 一々聞きに来なきゃわからんのか!?」って怒鳴る上司はマトモな会社ならいないし、
もしいたら遅かれ早かれクビあるいは閑職へと転勤になるでしょうから、適当にあしらっていいでしょう。
「今回は上司ガチャが大不発だな。まぁいい、どうせ後で引き直せるからな」程度に思ってた方がダメージが少なくて済みます。
「何であなたの上司の給料があなたよりも多いのか?」それは「あなたの仕事をより良い物に磨き上げるための知識と判断力があなたよりもある」からです。
上司と言うと「イスに座ってるだけでカネがもらえる奴」なんていうイメージがありますけど、
それはあくまでマンガが「そう描けば大衆にウケるから」描いているのであって、実際には違うよ。とは言っておきます。




