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初夜で毒を飲めと言われました。屑の王女が改心する物語。

作者: ユミヨシ

「この毒を飲むがいい。頭が緩くなる毒だ。喉を潰されるのとどっちがいい?私としては頭が緩くなる毒の方が面倒が無くていい。嫌がる女との行為なんてめんどくさい。中には喜ぶものもいるが。頭が緩い方がこちらとしては面倒がなくていい」


初夜のベッドの上で夫になる男に毒が入ったグラスを手渡された。


プリシアはそのグラスを手で叩き落した。

グラスは割れて中の液体がこぼれ出る。


「わたくしは毒なんて飲まないわ。貴方が望んでわたくしを妻にしたのではなかったの?」


夫となるバリウス・ジュテル公爵令息は、フンと鼻で笑って、


「誰がお前のような女を望んで妻にすると思うか?さんざん、ロイド・ジュテル伯爵につきまとっただろう。いや、付き纏っていた当時はロイド・アシェル公爵令息か。

相手が嫌がるのをさんざん付き纏って。王家でも国王は甘やかしていたようだが?王妃はお前の頭のおかしさはモテ余していたようだ。まぁ王家の血をジュテル公爵家に入れるのは悪くない。子を産むまでは生かしておいてやる。産んだらどっちにしろ病死だ。私はお前と生涯を共にする気は全くない。だから毒を飲め。話をするのも面倒だ」


プリシアは、長い金髪で青い瞳が美しいカフェル王国の王女だ。

ロイド・アシェル公爵令息の事が好きだった。

彼はとても美しくて、窓際に立つその姿も煌めく黒髪も、愁いを帯びた瞳も何もかも理想の男性で。

だからプリシアは付き纏ったのだ。

彼と結婚したい。彼の腕に抱き締められたい。彼と共に生きていきたい。

その想いで思いっきりロイドに付き纏った。


だがロイドは、バリウス・ジュテル公爵令息の妹、ディアメリアの事が好きだったみたいで。

認めたくない。認めたくないが。現在、ディアメリアと婚姻をし、ジュテル伯爵を名乗っているのだ。


わたくしの事が好きではなかったの?

だって目が合ったわ。きっとわたくしの事を見ていたのよ。

それなのに、ディアメリアと結婚してしまうなんて。


付き纏いが酷くて、プリシアは母である王妃によって離宮に閉じ込められた。

父国王の命令で、ディアメリアの兄であるバリウス・ジュテル公爵令息と婚姻が決まった。

バリウスは冷たい顔立ちの銀髪碧眼の男性だ。


わたくしは王女だから仕方がないのね。父の命には逆らえないわ。

それに、わたくしは美しいんですもの。きっとバリウスがわたくしの事を望んだのね。


結婚式は豪華だった。

王女と公爵令息の結婚なのだ。

華やかに王都の中央教会で行われた。

沢山の人が祝いに駆けつけてくれた。


ロイドとは結ばれなかったけれども、わたくしは王女なのよ。

だから幸せになるの。誰よりも幸せに。豪華なものに囲まれて。


そう思っていたのに。

式の後、ジュテル公爵家の夫婦の寝室で行われるはずだった初夜。

そこで毒を飲めと言われたのだ。


「絶対に嫌。何でわたくしが毒を飲まなければならないの。絶対に飲まないわ」


そう言って寝室を出た。

何で頭が緩くなる毒を飲まなければならないの?

わたくしは世界で一番幸せになる女よ。金の髪に青い瞳。

顔だってとても美しいわ。

何て酷い男。

お父様お母様に言いつけて、公爵家なんて潰してやる。


そう思ったけれども、部屋に翌日から閉じ込められた。

王家に連絡を取る事も出来ない。


朝食が運ばれてきた。

パンに肉と野菜が挟まっていて、果物もついている。飲み物も香り高い紅茶だ。

でも、怖くて口にすることが出来ない。


毒が入っていたらどうしよう。頭が緩くなる毒。

部屋にバリウスが入って来た。


「王家に助けを求めようとしたって無駄だ。お前に対する扱いは王家の許可を得ている。お前は王家の血を引く子を産むだけの価値しかない」


そう言うとバリウスは小瓶をプリシアの前に置いた。


「早く飲んでくれないと子種が仕込めないではないか」


「飲まないわっ。絶対に飲まないっ」


後ずさる。

バリウスは眉を寄せて、


「だったら一月猶予をやろう。お前の価値を示せ」


「わたくしの価値?」


「そうだ。頭を緩くなる薬を飲むのが嫌なら、ジュテル公爵家の公爵夫人になり得る器を示せ。この一月の間に。まぁお前には無理だろうな。我儘に育って贅沢ばかりして勉学に励まなかった我満な女に公爵夫人が務まるとは思えない」


「わ、わたくしは公爵夫人になる為に嫁いできたのですわ」


「だったら示せ。お前の価値を。でなければ毒を飲め」


「毒は嫌です。一月猶予を下さいませ」


「仕方がない。一月だけ猶予を認めよう」


どうしよう。公爵夫人になる為に嫁いで来た。でも、勉強なんて今まで適当にしてきた。

自分は王女なのだから。この公爵家でもチヤホヤされる。そう思っていた。

毒を飲まなければならないだなんて。


バリウスはプリシアに向かって、


「なんだ。朝食を食べていないのか?」


「だって毒が入っているのでしょう」


「だったら裏庭に行こう」


何故か公爵家の裏庭に連れていかれた。朝ご飯もまだ食べていないのに。


「草むしりをしよう」


「草むしり???わたくしは王女よ。何故、わたくしが草むしりをっ」


「身体を動かせば腹も減るだろう」


小さな畑?とはいえ、草がものすごく生えている。バリウスと共に懸命に草を抜く。

抜けない。

バリウスが鎌で上の草を刈ってくれた。

懸命に草を抜いていく。


汗だくだ。

お腹がすいてふらふらしてきた。


使用人が籠を持ってきた。

肉と野菜が挟まったいい香りのパンが入っている。


「プリシア。手を洗いに行こう」


井戸という物があったが、どうやって水を?やり方が解らない。

バリウスが水を汲んでくれた。桶で手を洗って、二人で庭に設置してあるベンチに座り、香のいいパンを食べた。


「美味しいわ。とても美味しい」


井戸の水をコップに汲んで、ごくごくと飲む。


「ああ、美味しい」


バリウスは共にパンを食べながら、


「俺は黙って毒を盛ったりはしない。毒を盛る時はきちっと毒入りのグラスを渡す事にしている」


「そうなんですの」


「プリシア。お前は毒で頭が緩くなって、その間に子種を仕込まれて子を産み、亡き者にされたいか?」


「わたくしは死にたくない。わたくしは生きたい。パンとお水、とても美味しかった。生きているから感じる事が出来るのでしょう。わたくしは生きたい」


バリウスは立ち上がって、こちらを見つめた。


「生きる事だって地獄だ。解っているのか?お前が生きる為には死に物狂いで一月、勉強に励まなければならない。父と母を生かすに値する女だと納得させないとならない。認められたらられたで、子を産んで我が公爵家に役立つ女だと示さねばならない。出来るか?」


「わたくしは、生きたい。毒を飲みたくない。やらねばならないのでしょう」


「ああ、そうだ。お前は愚かな王女だったのだから。ロイドにさんざん迷惑をかけた。そんな愚かな王女が、公爵夫人になる為には大変だぞ」


「わたくし、生きる為に‥‥‥努力致しますわ」


一月しか時間がない。

プリシアは覚悟を決めた。


そして、それと同時に、怖い人だと思った自分の夫バリウスが、実は優しい人なのではないかとそう思えた。


当然、夫婦になったのだから、子を作る営みもしなければならない。

バリウスはとてもプリシアを気遣ってくれた。

まるで壊れ物を扱うかのように、優しく扱ってくれたのだ。


冷たい人だと思っていたのに、こんな所でも優しい人なの?


家庭教師をつけてくれて、必死に勉強した。

勿論、一月で身につくとは思えない。それでも、大まかな王国の歴史や各貴族達の名前、王国で営まれている各領地の産業。そして、ジュテル公爵家の領地の事。公爵夫人としてのマナー。寝る時間も削ってプリシアは頑張った。


バリウスも良く顔を出して、プリシアに色々と教えてくれた。

バリウスはプリシアが字を書いているのを覗き込んで、


「字だけは綺麗だな。性格はどうしようもなかったのに」


「字だけは仕込まれましたわ。確かに、贅沢し放題だったし、ロイドに付き纏ったし、わたくし最低の女でしたわね」


口元に可愛いチョコレートクッキーを差し出された。


「食べてみろ。少しは休まないとな」


ぱくっと食べてみた。


「甘いですわね。そして美味しい」


「まだまだ色々とあるぞ」


可愛いクッキーの箱が三箱も机の上に並んだ。

プリシアは笑って、


「あら、可愛い。こちらのはクマの形をしているのですね」


「流行の店で買わせた。気に入ったか?」


「ええ、とても気に入りましたわ。わたくしの為に?」


「勿論だ。私がこんなクマのクッキーを食べると思うか?」


バリウスの口元に差し出した。


「はい。可愛いクマさんのクッキー。先に食べてみて下さいませ」


バリウスは真っ赤になり、


「自分で食べられる」


「あ~んですわね」


ぱくっと食べて、


「ああ、美味いな。さすが私が選んだ店のクッキーだ」


「わたくしも頂きますわ」


二人でクッキーを食べて笑った。

ただ、もっと学ばなければ、毒を飲まなければならないのだ。

公爵夫人としてふさわしくなければ、子だけ産んだら殺されてしまうだろう。


バリウスの両親、ジュテル公爵夫妻と食事をした。

王宮で出る食事よりも、難しいマナーが必要な食事が出た。

どこからどういう風に食べたらいいの?

食べ方一つでも、失敗は許されない。


習った事を思い出しながら優雅にバリウスと四人で食事をする。


ジュテル公爵がプリシアに、


「この公爵家での生活は慣れたかね?」


プリシアはにこやかに、


「お気遣いありがとうございます。慣れましたわ」


ジュテル公爵夫人が、フォークとナイフで肉を切り分けながら、


「マナーは学べているようね。一月後、我がジュテル公爵家にふさわしいかどうか、しっかりと判断させて頂きます」


ジュテル公爵はハハハと笑って、


「良い子さえ産んでくれれば、出来れば子は男がいい。女だと婿を取らねばならないからな」


公爵夫人が肉を口にしてから、ちらりとプリシアを見やり、


「そうね。頭が緩くなってもお腹の中に子がいるのに問題はないわね。一人、王家の血を引く子がいれば十分だわ。改めて性格も知識も素晴らしい令嬢を迎え入れて我が公爵家を盛り立てて行ってもらわないと」


プリシアは青くなった。

ジュテル公爵家に相応しくないと判断されれば、子を一人産んだ後に殺される。


バリウスが、ナプキンで口を拭きながら、


「プリシアは頑張っております。必ず、我がジュテル公爵家にふさわしいと一月後、証明してくれるでしょう」


公爵夫人はホホホと笑って、


「愚かな王女が?ロイドは随分と付き纏われて迷惑していたというではありませんか。改心したのかしら?」


プリシアは慌てて、


「ロイドに付き纏ったのは悪かったとわたくし、反省しておりますわ。今はしっかりと公爵家に相応しくなる為に勉強中でございます」


ジュテル公爵は立ち上がって、


「まぁ、期待していいのかどうか。私は失礼するよ」



針の筵だった。

午後からバリウスの妹のディアメリアがロイドと一緒に訪ねてきた。

兄バリウスに似て銀の髪に青い瞳で美しいディアメリア。

ロイドは爵位を貰って、ジュテル伯爵を名乗っている。

ロイドはあからさまにプリシアを見て、嫌そうな顔をした。

そりゃそうだ。さんざん、付き纏って迷惑をかけたのだ。

ディアメリアは吐き捨てるように、


「お兄様も大変ね。王家の血を取り込む以外は迷惑極まりない王女様を妻に貰って。子が出来るまでの辛抱よ。さっさと次を貰う事ね」


客間で嫌味を言われた。

バリウスはディアメリアに、


「プリシアは改心して、一生懸命勉強中だ。ディアメリア。お前も力を貸して欲しい」


「嫌よ。何で愛しいロイドに付き纏っていた頭のおかしい女を面倒みなければならないの?知らないわ」


プリシアは頭を下げた。


「ジュテル伯爵に付き纏っていた事は謝ります。わたくしが愚かでしたわ。ですから、どうかディアメリア様。わたくしに力を貸して下さいませ。わたくしは死にたくない。このジュテル公爵家の為に役に立ちたいのです」


「まぁ、随分と変わったのね。貴方、ロイドがわたくしに持って来たプレゼントを横取りしたわよね。あれ、返して欲しいわ」


「申し訳ございません。エメラルドの首飾りは王宮に置いてきてしまいましたわ。持ち出すことは許されなかったので」


「なら、仕方ないわね。わたくし、今でも恨んでいるのよ。貴方がわたくしに持って来たプレゼントを目の前で横取りした事を」


床に膝をついて深々と頭を下げた。


「申し訳ございませんでした。ディアメリア様。ジュテル伯爵。わたくしの愚かな行いで不快な思いをさせてしまって。本当に申し訳ございません」



ディアメリアはプリシアに向かって、


「ここまで反省していると言うのなら許してあげるわ。わたくしも力になります。どうもお兄様。貴方に惚れているみたいよ。冷徹なお兄様らしくないわね。仕方がないから力になってあげる。ロイド。三日ほど、わたくし、実家に泊っていきます。先に帰って頂戴」


「解った。それでは失礼するよ」


プリシアは思った。

かつて好きだったロイド。執着していたロイド。

あのエメラルドの首飾りはプリシアの宝物だった。だから大切に王宮の自室の引き出しに今も閉まってある。


久しぶりに見たロイドに胸が高鳴った。

でも、好きになってはいけない人。

冷静になった今なら解る。

彼は自分を好きではなかった。嫌われていた。迷惑に思われていた。


ディアメリアは着替えたいというので、客間でバリウスと二人きりになった。


バリウスはプリシアに、


「どうだ?ロイドに久しぶりに会って、今でも好きか?」


「いえ。過去は過去。わたくしは愚かな事をしてしまいましたわ。付き纏っていたことは迷惑でしかなかった。でも、エメラルドの首飾り、今でもわたくしの宝物なの。ごめんなさい。宝物なのよ。でも、王宮に手紙を書きます。わたくしの部屋の引き出しにある首飾りをディアメリア様にお返ししますわ。だって、ディアメリア様にロイドが渡すはずだったプレゼントですもの」


バリウスは首を振って、


「反省しているのなら、ディアメリアに返さなくても構わない。ロイドにもっと色々と貰っているだろう。そうだな。私からもプリシアに首飾りをプレゼントしよう。お前の金の髪に映えるルビーの首飾りはどうかな?」


胸がドキドキした。

自分の為にバリウスが、自分の夫が、プレゼントをくれるという。


「わたくし、宝物に致しますわ。ルビーの首飾り。わたくしの為に貴方が下さるのですもの。大切に致します」


その夜、ベッドでバリウスの胸に甘えながらプリシアは、


「わたくしはとても嬉しいわ。貴方、わたくしを愛しているのでしょう?」


「それは……お前が公爵夫人にふさわしくなければ、毒を」


「毒を飲んでもわたくし、死ぬまで忘れない。貴方の事を忘れないわ。だから、新しい奥様を貰ってもわたくしの事を覚えていて。わたくしが死んだらルビーの首飾りも一緒に葬ってね。わたくしの子を立派に育てて。王家の血を役立てて。ね?お願いよ」


出来るだけの事はしよう。それで公爵夫人にふさわしいと判断されなかったら、その時はいさぎよく頭が緩くなる毒を飲もう。でもきっとルビーの首飾りの事は覚えている。だって愛された証ですもの。


バリウスはプリシアの金の髪を撫でてくれた。

プリシアは覚悟を決めたのであった。


必死に一月勉強した。ディアメリアは頻繁にジュテル公爵家に顔見せし、プリシアに色々と教えてくれた。

自分を嫌っているはずなのに、親身になってくれて。


「貴方の事は大嫌いだけれども、お兄様が貴方の事を好きだというから仕方なく教えているのよ」


そう言いながら、休憩の時にバリウスと同じ店のクッキーを差し入れてくれた時には笑った。さすが兄妹だと。


あっという間に一月経った。

判断するのはジュテル公爵と公爵夫人だ。


テスト問題が用意されていて計50問。45問以上解らなければ、公爵家の嫁と認めないと言われた。


必死にテスト問題を解くプリシア。

生きたい。死にたくない。バリウスの傍にいたい。


問題用紙の採点をするジュテル公爵。

そして公爵夫人。


それを見守るバリウスとディアメリア。


ジュテル公爵がプリシアに、


「よく頑張ったな。満点だ」


ジュテル公爵夫人も頷いて、


「仕方ないわね。貴方をバリウスの妻と、我が公爵家の人間と認めます」


バリウスが抱き締めてくれた。


「よかった。プリシア」


ディアメリアも頷いて、


「お義姉様。これからもよろしく頼むわ」





そして現在。プリシアはバリウスの子がお腹にいる。

二人で久しぶりに王宮に出向いた。

国王と王妃である両親に挨拶をする為だ。

国王はプリシアを見て、涙を流した。

「よかったな。プリシア。幸せそうで」

「ええ、父上。わたくしは幸せですわ」


王妃に抱き締められた。

「貴方が頑張ったから今日があるのです。でも、油断をしては駄目よ。貴方の兄ボルトスの事、聞いたでしょう。ああならないように」


プリシアには兄が三人いる。ボルトスはすぐ上の兄だ。

出来が悪くて浮気ばかりしているどうしようもない男だ。某公爵家に婿養子に入ったが、半年後に病死した。

ボルトスの妻はお腹に子がいる。

プリシアはぞっとした。

兄は殺されたのだ。子種だけを必要とされて。


自分は頑張ったから何とか生き残れた。

お腹に手を当てる。


この子が産まれた後も、生き残って見せる。

愚かな行いをすれば、命の危険にさらされるだろう。


何よりも、愛するバリウスと一緒に、長く過ごしたい。

胸元にルビーの首飾りが光る。


バリウスに手を引かれて、夜会の用意されている席に腰をかけた。

お腹に子がいるのでダンスが踊れない。


バリウスが隣に腰かけて、


「女の子でも男の子でもいい。プリシアとの子なら可愛いだろうな」


そう言ってくれた夫が愛しくて、ぎゅっと抱き締めて頬にキスを落とすプリシアであった。




バリウスとの間にプリシアは男の子ばかり3人産んだ。そのうちの1人が後に王家を乗っ取り新たな王朝を建てるのはまだまだ先の話である。


プリシアの最後は夫や子や孫に囲まれて、幸せそうに微笑んで亡くなった。

ルビーの首飾りを生涯大事にしていた。プリシアのお墓にはその首飾りが入れられたと言われている。




とある変…辺境騎士団

「屑の美男らしきものは手遅れか?そもそもボルトスは美男だったのか?怪しい」

「屑の美女も改心したようだな」

「毒を盛られて屋敷に閉じ込められて、いずれは病死コースだったのにな。生き残った」

「貴族社会は恐ろしい。さぁ、我らは屑の美男を探しに行くぞ」



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甘やかされたクズ王女には、強烈な『飴と鞭』が効果的でしたね~ 命を失うor人格を失うという『鞭』に対して『さりげない優しさと気遣い』という飴で改心できなければ、兄王子のようになると実例を見せつけられて…
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