表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/31

【共同生活】4

 シルバも風呂に入り、二人で歯を磨き、ベッドへ向かう。時刻はもうゼロ時になっていた。


「ベッドはどちらがいい?我のおすすめは窓とは反対側だ」

「なんで?」

「窓から敵が侵入してきた場合、我がお前を守りやすい」

「物騒だな……そんなに魔術棟の外って危険なの?」


 そう言いながら、セシルは窓側のベッドに座る。そして自分の横をポンポンと叩いた。


「……なんだ?」


 シルバが困った表情をした。


「一緒に寝よう!」

「……なぜ?狭いであろう」

「いやあ、夢だったんだ。誰かと寝るの」


 セシルは「ほれほれ」と言いながら、シルバが来るのを待っている。シルバは呆れながら窓側のベッドに座った。


「誰かと寝るのが夢とは……親と寝たことぐらいあるだろう?」

「僕は四歳のときに、魔術棟に入ったからね。親と寝た記憶ないんだ」


 電気を消し、布団をかぶりながら話す。


「……そうか」


 シルバは天井を見上げた。誰かと寝た記憶。シルバには少しではあるがあった。父と母との間で寝た記憶。しかし、セシルは四歳のときに両親から離れたという。四歳。物心がつくかどうかの年齢だ。あったとしても覚えてないだろう。


「……ベッド、大きいのにした方がよいな」

「そうだね。シルバの翼と尻尾が収まるようなやつ」


 ぼんやりと天井を眺めながら、セシルは独り言のように言った。


「……僕、さびしかったのかな?」

「そうなのか?」

「うん。一人で魔術棟に籠ってさ。まあ、クライヴさんもいたし、決して独りぼっちというわけではなかったけど……それでも、やっぱり寂しかったんだと思う。シルバがさ、こうやって隣にいてくれると、やっぱり嬉しいや」

「そうか」


 そう言いながら、シルバも考える。魔王城に一人で住んでいた。しかし、地方には信頼のおける部下がおり、時折、顔をみせてくれる。とはいえ、今セシルの隣にいて安心しているのも確かだ。


 (そうか……我も寂しかったのか)


 セシルは静かに口を開いた。


「きっとさ、これも何かの縁だよね」

「そうかもしれぬな」

「じゃあ、これからは二人で色んなことしようね……と言っても魔術棟から出ることなんて……できないかも……しれないけど……」


 その言葉を最後に、セシルは寝息を立て始めた。シルバはセシルの頭を撫でた。


「これからは我がいる。安心しろ」


 この言葉が、セシルに届いたのかわからない。それでも、シルバは異様な状況で主従になった主人に微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ