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2023年9月26日放送 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日 八巻和行の七転び八巻 妄想【愛の劇場】#103 わるあがき

掲載日:2024/05/14


 サクソフォン奏者八巻和行(やまきかずゆき)さんのラジオ番組

 こうのすFM フラワーラジオ

 フラワーラジオ ポストメリディアン火曜日(午後4時~午後6時)

   八巻和行の七転び八巻

 

 というラジオ番組の投稿コーナー

  妄想【愛の劇場】

 毎週パーソナリティ八巻さんから出題される【作品のテーマ】を小説風に書いた作品を投稿するコーナー。


 小説の書き方を知らないシロウトが投稿コーナーに参加。

 そのコーナーに投稿した作品をこちらに投稿しています。


 妄想【愛の劇場】のコーナーで、絶賛!妄想仲間を募集中!! 

 こんな感じで大丈夫なので、コーナー投稿に興味がある人がいてくれると嬉しいです! 

 《番組への参加方法》

 ①フラワーラジオが聴けるように、ListenRadio(リスラジ)のアプリをダウンロード

 フラワーラジオを選局して、お気に入り登録

 ②パーソナリティ八巻さんのX(旧Twitter)をフォロー

 ③毎週日曜日の夜に、八巻さんのX(旧Twitter)から【作品のテーマ】が発表

 ④八巻さんのX(旧Twitter)のダイレクトメールから投稿

 ※番組放送当日の火曜日午後6時頃までに投稿できれば、コーナーの時間に間に合います。

 ※何故か八巻さんが初見で読むルールのようなので、漢字には「ふりがな」をふって下さい。



 サイト投稿回数 第56回目の今回は………

 2023年9月26日放送。

 妄想【愛の劇場】#103 わるあがき


「申し訳ないけど、あなたの好意は受け取れないわ」

 心から済まなそうに、八巻(やまき)の瞳を優しく見つめながら、芽(めぐむ)はそう答えた。


 八巻(やまき)は恋をしていた。叶わない恋をしていた。

 テニス部キャプテンで、生徒会長の芽(めぐむ)に恋をしていた。

 柔らかい笑顔で誰にでも優しい芽(めぐむ)先輩。

 さらりとしたロングヘアをキラキラとなびかせて、凛(りん)と咲(さ)き誇(ほこ)る、白い百合(ゆり)の様な清潔感を常に称(たた)えている芽(めぐむ)先輩。

 多感な少女によくある、同性の先輩への憧れ。

 理想とする女性への憧憬(しょうけい)か、敬愛(けいあい)を通り越した相手に対する恋慕(れんぼ)か。

 八巻(やまき)にも分からない。

 しかし、八巻(やまき)は芽(めぐむ)に想いを伝えなくてはならないという衝動にかられた。

 芽(めぐむ)に想いが届かなくても、八巻(やまき)は動かなくてはならないと思った。


 八巻(やまき)は噂を耳にした。

 隣町の男子校に、芽(めぐむ)の彼氏がいるらいし。

 芽(めぐむ)と同じくテニス部のキャプテンで、スラリとした今どきのイケメンらいし。

 八巻(やまき)は気分が悪かった。

 憧れの芽(めぐむ)に彼氏がいるらしい事が、気に入らなかった。

 八巻(やまき)は噂を確かめるために、隣町の男子校に行った。

 何人もの男子学生が、学校内へ出入りする。

 目を凝らし、八巻(やまき)は芽(めぐむ)に似(に)つかわしい男子学生を詮索(せんさく)する。

 しかし、噂は噂。いたずらに時間が過ぎていくだけで、八巻(やまき)には芽(めぐむ)の彼氏が誰だか分からなかった。


「八巻(やまき)さん、ごきげんよう」

 帰り道、八巻(やまき)は芽(めぐむ)と町中でばったりと出会った。

 柔らかい笑顔で八巻(やまき)に微笑(ほほえ)みかける芽(めぐむ)の姿に、八巻(やまき)はトキメキを止(と)められない。

「芽(めぐむ)先輩、ごきげんよう!」

 八巻(やまき)は芽(めぐむ)への想いを必死に抑えながら、平静(へいせい)さを装い丁寧(ていねい)にあいさつをした。

「八巻(やまき)さんはこのご近所なの?偶然ね」

 優しく八巻(やまき)の瞳を見つめながら、芽(めぐむ)は声をかけた。

「はい、家(いえ)はすぐ近くなんです。芽(めぐむ)先輩はご近所なのですか?」

 八巻(やまき)は芽の家(いえ)が近所に在(あ)ることを知っているが、敢(あ)えて聞いた。

「ええ、そうなのよ。八巻(やまき)さんとご近所だったのね」

 柔らかい笑顔で微笑(ほほえ)む芽(めぐむ)が、あまりにも美しかったので、ドキリと心が跳(は)ね上がった。

 八巻(やまき)は顔を赤くする。

 恥ずかしくなって八巻(やまき)は俯(うつむ)いた。

「八巻(やまき)さん……?」

 心配そうに声をかける芽(めぐむ)の声に、心がはち切れそうになる。

 八巻(やまき)は思い切って、噂を確かめる事にした。

 しかし芽(めぐむ)の顔を見て噂を聞く勇気はなかったので、八巻(やまき)は俯(うつむ)いたまま口を開いた。

「芽(めぐむ)先輩には、彼氏さんがいると聞いたのですが、本当ですか?」

 芽(めぐむ)がどんな表情をしているのか知りたかった八巻(やまき)だったが、顔を上げる事ができなかった。

「いいえ、いないわ。私の恋人はテニスだけよ」

 芽(めぐむ)の答えに八巻(やまき)は勢いよく顔を上げた。途端(とたん)、芽(めぐむ)はコロコロと笑い出した。

 八巻(やまき)は、今自身がどんな顔をしているのか。芽(めぐむ)が笑っているのは、八巻(やまき)自身が変な表情をしていたからのか。

 状況を理解するための想像もままならない。

「ごめんなさいね、八巻(やまき)さん。突然顔を上げるんですもの。びっくりしちゃった」

 八巻(やまき)は芽(めぐむ)の反応に、少し安心した。

 自分が変な表情になっていなかったのだけは分かったからだ。

 ああ、なんて可愛らしい人なんだろう。

 八巻(やまき)は芽(めぐむ)に対しての想いが、一際(ひときわ)大きくなるのを感じた。

 八巻(やまき)は、このまま芽(めぐむ)への想いを心に留(と)めておく事ができなかった。

 そして、八巻(やまき)は想いを伝えなくてはならない衝動にかられた。

「芽(めぐむ)先輩!私……、私、あなたの事が好きです!」

 少し上(うわ)ずった声に全ての想いをのせて、八巻(やまき)は芽に告白した。

 芽(めぐむ)は少し困った様に眉毛(まゆげ)を八の字にさせながら、八巻(やまき)の瞳を見つめる。

「申し訳ないけど、あなたの好意は受け取れないわ」

 そして、心から済まなそうに八巻(やまき)の瞳を見つめ続けた。


 あの日、瞳から溢(あふ)れる涙を拭(ぬぐ)う事も厭(いと)わず八巻(やまき)は家(いえ)に走って帰った。

 あのあとも、いつもと変わらず八巻(やまき)に接してくれた芽(めぐむ)の姿に、八巻(やまき)は叶(かな)わぬ想いをより募(つの)らせていった。


 今思えば、恋を知るにはまだ八巻(やまき)は若すぎたのだ。

 今では八巻(やまき)も本当の恋を知り、愛する大切なモノにも出会えた。


「ママ!リボン変じゃない?」

「大丈夫よ、変じゃないわ」

 学校の先輩と映画デートだと、昨日からファッションショーを繰り返す愛(いと)しい娘。

 素敵な恋をして、素敵な大人になって欲しい。

 八巻(やまき)は鏡の前で、一喜一憂(いっきいちゆう)する娘に、自分のあの頃を重ねながら、優しく微笑(ほほえ)んでいた。


 ありがとうございました。

 次回もラジオ番組の投稿コーナー

 妄想【愛の劇場】へ投稿した作品の投稿になります。


 妄想【愛の劇場】#104「記念日」

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