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小雨のなかたどり着いた蝶は

作者: 秋葉竹



たったひとつの

閉ざされた窓からおりてきて

その黒い蝶は

いまも蕾の花の

うえを飛び回っている

ものほしげに


雨がながくふりつづくから

肋骨の下あたりも

すっかりとしっけてしまって


抱擁されたいなんて

そんなにきがるにいわないでほしい

こらえきれずに

きつく抱きしめすぎるかも

しれないんだ


まあたらしい

サンダルを履いて

小雨の中を

逃げだした黒い蝶を追う


空には

指先で描いたみたいな

灰色の雲が

みんなひとしく

悲しみをこらえている


いまなら

わかるのかもしれない


その蝶はほんとうは

さまよっているのではない

砂漠に憧れる冷たい瞳を

潤おして

くれるために

ひらひらと

翔んで

いるんだ


うす汚れた命と

かたい心の鍵を


無視してくれるいい具合に

こんな小雨つづきの湿った街で

ほんの少しだけでも笑えたのは


ありがとう

そのおかげなんだ


ありがとう

そしてありがとう










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