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夜会が終わり
テオバルトのロッソ家との話し合いも順調に済み
エマとテオバルトの結婚の日取りが決まった
ジョージが、結婚という正式な手続きを望んだからだ
貴族の結婚は両家の承諾はもちろんのこと
王の許可もいる
こんなに早くに結婚の日取りが決まるのは貴族として
異例のことだった
クロスフォード伯爵邸にある
花壇と畑がまじりあったような
母リリーが管理する庭の東屋にテオバルトとエマはいた
「なぜ、最近目をあわせないんでしょうか?」
「そんなことはありません」
「では、こちらを見てください」
テオバルトはエマをじっと見る
エマは一瞬テオバルトを見たが、すぐにそらしてしまっていた
テオバルトがエマの顔を包む
「ほら、なぜそらすのです?」
「は、恥ずかしくて・・」
「明日が式なんですよ?それでは困るでしょう?」
「すみません・・テオバルト様を見ると
どうしても胸が苦しくなってしまって」
テオバルトはエマの顔から手を離す
「私、テオバルト様に言いたいことがあって」
「何でしょうか?」
「あの、これ・・覚えてますか?」
エマは花が刺繍されたハンカチをテオバルトに見せる
「これ・・・?」
「私の初恋の人にもらったんです」
「これ、昔…私がさしたやつ?」
「王宮の庭でもらいました」
「え???あの時の子・・?」
「そう、私です・・あの時、私はあなたに
一目ぼれをしました」
「・・・・」
「今こうして目の前にいるなんて信じられない
まして、明日結婚式を挙げるなんて」
エマはテオバルトの前に膝まづく
「私は、あなたに恋をしています。昔も今もずっと・・」
テオバルトの手をとり、口づける
「私を選んでくれてありがとう」
テオバルトはエマを立たせて
ぎゅっと力の限り抱きしめた
「私は・・貴女があなたらしく笑えるように愛したい」
エマはテオバルトをぎゅっと抱きしめ返す
「愛してます。エマ・・」
「私も愛してます、テオバルト様」
テオバルトはそっとエマの耳に触れる
額をよせて目をつむる
耳から下あごに触れる場所が変わり
少し上向きになり2人の唇が重なった
唇が重なり合い
ゆっくりと離れる
テオバルトはエマの瞼にも唇で振れる
続いて頬、額に口づけをした
目を開けると、テオバルトの紫の瞳にエマが映る
今度はエマからテオバルトにキスをした
式はステンドグラスが見事は大聖堂で行った
純白のウエディングドレスに
白のタキシードを着た2人はたくさんの人に
見守られ、祝福をうける
その幸せな様子は誰が見ても愛にあふれていた
こうして
幻の伯爵令嬢は初恋の君とめでたく結ばれたのである
数年後、クロスフォード伯爵家にて
「ねぇ知ってる?結婚前は奥様のほうから旦那様を積極的に追いかけてたって話!」
「ええ?今ではどうみても旦那様のほうが溺愛じゃん」
「町を守る騎士と国を動かす宰相の結婚ってすごいよね・・
どこにいってもクロスフォード家で働いてるってだけで羨ましがられるもん」
「それそれ、なんていったって坊っちゃんの人気すごいの!」
「そうよね、奥様そっくりの男の子で身体能力抜群の
あのかっこよさだもの
今期の社交界で人気ナンバーワンの人を間近に見れるんだもの。羨ましがられるわ」
「いやぁ~うちの姫様も侮れないでしょ。
あの年であの美貌よ、連日婚約希望者が殺到してるって噂よ
旦那様似ですっごい美人だものね。まだ2歳なのに!」
はぁ~とメイドたちはため息をつく
「ありがたや~!!お二人の子・・遺伝子尊い!!」
メイドたちがそんなことを話している
今日もクロスフォード伯爵邸は平和な日常を送るのであった
幻の伯爵令嬢は初恋の君に恋をする
これでエマとテオバルトの物語は完結とします!
読んでいただいた方、ありがとうございました
ですが、もう少し書き足したい部分がありまして
シャーロットとジルクモンドのお話です…
その番外編を投稿して完結にしたいと思ってます
よろしくお願いします




