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テオバルトは緊張の面持ちで部屋の扉をノックする
「どうぞ」
「失礼します」
部屋に入ると、白い頭に綺麗に整えられた白いヒゲの
目元がテオバルトによく似た父がいた
「なんだ?改まって話しとは?」
「シャーロット、ランスター嬢との婚約を破棄して頂きたくお願いしに来ました」
「お前が私にねだるのなんて、初めてじゃないか?」
父はテオバルトを見て嬉しそうに目を細める
「婚約破棄をした後は?誰か結婚したい相手がいるのか?」
テオバルトは一息おく
「アマーリア・クロスフォード嬢と結婚したいと考えています」
「へ~、いいよ」
「ダメだというなら・・・え?いいよ??」
テオバルトはびっくりした
まさか即答で許可が出るとは思っていなかった
「シャーロット嬢ではなく、アマーリア嬢と結婚していいんですか?」
「いいよ」
「そんなあっさりと許してもらえるとは思っていませんでした」
「クロスフォード家は名門貴族だろう、当主は宰相・・反対する理由ないだろう」
「そうですか・・」
「で?いつ彼女は家に入る?」
「え?」
「お前と結婚するなら、ロッソ家にふさわしい花嫁教育が必要だろう
ランスターのお嬢さんなら小さい頃から我が家に必要なことを身に着けてきたけど
これからってなるなら今すぐにでも家に入ってもらわないとだろ」
「・・・・」
「どうした?」
「なんでもありません、今日はここまでにしたいと思います」
テオバルトは父の部屋を出た
エマの突拍子のない自由なところに惹かれたテオバルトは
この家に入り、ロッソ家の花嫁教育を受けて
貴族の妻になるエマを想像した
エマがエマであることには変わりないが、無理をして家柄にとらわれる彼女を見たいわけではない
結婚したい気持ちはある。しかし
父のいうロッソ家にふさわしい花嫁教育という条件に
テオバルトは即答できなかった
宰相の執務室にて
「宰相閣下、お話があります」
仕事終わり、荷物をまとめ自宅へと帰宅を急ぐ家庭第一のエマの父
ジョージ・クロスフォードを引き留めるテオバルト
「どうした?テオ」
「私は、アマーリア様が好きです」
「ほう、それで?私も娘を愛してる」
「閣下はアマーリア様の結婚相手に求める条件って何でしょうか?」
「私くらいエマを愛するもの、経済力、顔、優しさ、男らしさ、変な性癖がないこと・・・」
エマの結婚相手条件をあげだしたらキリがなかった
細かいことを永遠と語り始めたジョージ
「わかりました、もっとも大事なのは愛ですね」
「おっとこんな時間だ。では、これで失礼する」
ジョージは語るだけ語って帰っていった
これがまさか毎日のやり取りになるなんてこの時
ジョージは、思ってもいなかった




