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幻の伯爵令嬢は初恋の君に恋をする  作者: 間宮沙紀
令嬢見習い編
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木漏れ日が気持ちよく

さわやかな風が適度に部屋に入り

侍女フィンが作った焼き菓子、数種類がテーブルに並ぶ

小さな花瓶には愛らしいブルーの花が飾ってあり

慣れ親しんだ肌触りの良いクッションを抱えたエマは

目の前に座る妖艶な美女をじっと見つめる


「シャーロット様、今日のドレスも素敵ですね」


シャーロットはくびれが強調されたデザインで腰元に大き目リボンがついた

くすみピンク色のドレスを着ている

流れるようにカップをもち、音を一切立てずにお茶を飲むその仕草は優雅の一言に尽きる


「なぜ、私がこうしているのか分かっているのよね?」


カップを机に置いてエマをぎろっと睨むシャーロット


「貴女が令嬢としてマナーを学びたいっていうから来てるのに」


全く令嬢らしからぬ、そのマナーにダメ出しをするシャーロット

以前、エマの身元がバレたあの時から手紙のやりとりなどをする仲になっていた

エマはシャーロットにお願いしてマナー教育をお願いしていた

シャーロットの令嬢口調もだいぶ砕けてきており

それが友達のようでエマは嬉しく感じていた


「今度の王妃様主催の茶会に貴女も出席するのよね」

「招待状は来ているんだけど、気が進まないな・・」

「あら、なんのために令嬢教育を始めたのかしら?王妃様のお茶会はもってこいの場所よ」


シャーロットは意地悪だ

貴族社会を知るため、さらにテオバルト様に近づきたいからだと

分かっていて追い詰めてくる


「行きます・・・」

「よろしい。それで貴女、宝石類は持っているの?」

「あまり持ってない」

「それじゃあ。新しく買いましょう。

最近話題の商人がいるの。ランスターの名で呼び寄せるから明日私の屋敷に来て」

「はい」

「いい、ドレスでくるのよ。商人になめられないようにキチンとした格好で交渉するのも

勉強のひとつよ」

「はぁい」


やる気のない返事をシャーロットに怒られる


「で、テオバルトとなんかあった??1か月近く一緒にいたんだもの。何かあるでしょ?」


シャーロットはテオバルトの婚約者だ

それなのに、何かあっただろうと期待を込めて聞いてくる


「相変わらず、片想いだよ・・」

「そう、つまらないわね・・あの石頭じゃあ、すぐに何かあるわけもないか」


シャーロットに馬車でのことは何となく言えなかった


トントンとノックの音が聞こえる


「失礼します」


騎士服を着たジルクモンドが部屋の前に立っていた


「これは、シャーロッド・ランスター嬢。お話中失礼します」

「構いませんことよ」

「エマ、少しいいか」


ジルクモンドから騎士での出動を伝えられる


「シャーロット様、申し訳ありません、出なきゃいけなくなりましたので、今日はこれで」

「わかりましたわ。また明日ね」


優雅に席を立ち退出する準備を始めるシャーロット


「あの方、ジルクモンドって動きにそつがなくて素敵ね」

「え?そう」

「貴族ではないんでしょ?」

「うん」

「そこらの貴族よりよっぽど出来るわよ、それなのに・・ね」


エマの庶民的で令嬢らしからぬ動きに呆れてため息が出るシャーロット


「じゃあ、明日ね」

「はい、よろしくお願いします」


シャーロットの退室と同時にエマも騎士服に着替え

ジルクモンドと合流して騎士の仕事に向かった


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