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ハンカチの君
王妃様のお茶会の呼ばれたあの日に
ハンカチを返そうと探したけど、みつけることはできなかったまま今も手元に残っている
あれから、貴族令嬢としてよりもジルクモンドたち平民と一緒にいることのほうが性に合っていた
エマは、平民学校を卒業して騎士として生きてきた
平民出身の母に妻子命の父が自由を尊重してきたから今のエマがある
がやがやとたくさんの人がにぎわう大衆居酒屋に
仕事終わりに同僚女性騎士エリザとともに来ていた
「ねえ、今度の夜会の警備に任命されたって本当なの?」
「うん、そうなの。できることなら代わってほしい」
「え~~~!!なんで行きたくないの?
今回は若い貴族全員出席なんでしょ?みんな行きたくてしょうがないやつだよ?」
「貴族苦手なんだよね・・」
「え~~~~代われるなら代わりたい!全員出席ってことは幻姫もくるかなぁ~?
宰相閣下の一人娘、病弱で人前にはめったに出ない、めっちゃ美人らしいね。見てみたい~」
「どうかな~??体弱いっていういうから今回もこないんじゃない?」
幻姫か、それが自分のことであるとは夢にも思ってないんだろうな
噂に色々脚色入っている。どこをどうみても私は病弱な美人ではないし…
酔って赤い顔をしてきたエリザを苦笑いでうまくかわす
エマは同じ量飲んでいるにも関わらず全く様子は変わらない
「エマ様~」
「ん?」
酒がほどほどに効いてきて
机にうつ伏せになってきたエリザを連れて帰ろうかなとエマが考えていると
若い女の子に声を掛けられた
「エマ様が・・誰かのものになることはないですよね?」
「ん~??」
「エマ様はみんなのアイドルなんです。手が届くみんなの憧れ・・」
「テオ様がぁ~テオ様に婚約者ができたって噂があって・・」
酒が入っているのだろう
そして泣き上戸なのだろうと思わせる、その若い女の子は涙を流しながら話し出す
エマは、落ち着くように背中をポンポンとなでる
「あ~エマ様、好き~!!」
「はいはい、それで?テオ様って誰なの?」
「最近有名じゃないですか!女性より美しい侯爵令息 テオバルト・ロッソ!」
「え?知らない」
「知らないんですか?婚約者はあのシャーロッド嬢ってもっぱらの噂ですよ」
シャーロット嬢?
あの色っぽい美人と評判な?恋の噂が絶えない魔性の女
会ったことはないはず…
最近有名な公爵令息?ってことは上位貴族だけど
それよりも、その子息・・女性より美しいって言った?
「ねぇ?テオ様って…」
「あーこら、すみません。エマ様、こいつ迷惑かけたでしょ?今連れていきますんで」
テオ様の情報を聞き出そうと思ったが、女性の連れらしい男の人が迎えにきて聞けずじまいになったためエマも同僚エリザを連れて店を後にした