23
屋根に布を張り、日差しを遮る目的なのだろう何枚にも重ねたその布が素材
色ともに異なっており、床にも布を引いて珍しい石を並べて売るその露天は
都市ではみたことないもので、エマの心を揺さぶる
「おっ、お嬢さん、目利きがいいね」
「これはとても美しいですね、どこの石なんですか?」
「エンディル鉱山でとれる貴重な石だよ」
「エンディル鉱山!そんな西の商品まで扱っているんですか?すごい」
「そうだよ、キリアンはなんでも揃うしかも一級品だ!これもいいぞ」
「うわぁ~素敵!!」
店の老年の店主と話しが盛り上がり、最初に見た深い紫色の石を購入したところで
ふいに後ろから肩をたたかれた
「ちょっと付き合ってくれないか?」
いかにも柄が悪そうな坊主頭のいかつい白のタンクトップ姿のいかつい男と
背の低い黒い前髪で目元を隠したぼそぼそと話して聞こえない男2人に声をかけられた
「なんでしょう?」
買った石を大事に胸元にしまって、露天に迷惑が掛からないように
男たちのいうままに行き止まり路地までついてきたエマ
「あんたの連れのピンク頭の男は俺たちが預かっている」
「えぇ~????」
驚いた声を上げた瞬間、前髪男の顔面に回し蹴りをして当てようとした瞬間ピタッと止める
「あ、あぶねぇ~まあ聞け、危害などは加えていない」
「危害を加えなければいいって問題じゃないでしょう、なぜテオバルト様を捕まえたの?
それに何もしてないってその言葉を信じるほど能天気ではないよ」
回し蹴りはしなかったが、前髪男の手首をつかんでひねり上げる
「いたたたっ」
前髪男は痛さに声を上げる、その声はしっかりと聞こえた
「はーい!!そこまで!!」
ジルクモンドが空気を読まずにその現場に入ってくると
エマといかつい男の間に入りしゃがみ込む、するとお尻のポケットから手帳を出し男の前に見せる
「王都騎士のジルクモンドです、喧嘩ですか~??」
「喧嘩じゃない、テオバルト様を預かったってこいつら声をかけてきたんだ」
「その情報が本当かもわからない状況でかっとなったからって手を出してはダメでしょ」
「そっちのお兄さんたちは一体何が目的ですか?」
「なんだお前、あの連れの仲間だろ?王都騎士ってなんだよ」
エマはまだ手首を握ったまま離さない
いかつい男はジルクモンドの登場に焦りを感じているようだった
「わかりました、俺らをどうにかする気はないようだ・・勝負をしよう!
負けたら勝ったほうのいうことを聞く、それでどう?この状況だけでは検挙できないし
どちらも引く気はないんでしょ?」
「ない」「俺らは悪くない」
エマもいかつい男も同時に答える
「じゃあ、勝負するしかないね」
ジルクモンドは両手を合わせてパンと乾いた音を鳴らした
「そこの酒屋に行こうか、ほらエマ手を放してあげなさい」
エマはしぶしぶ手を放し、ジルクモンドに従うことにした




