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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三部

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75.調べてほしいこと

 エルとの出会いは唐突なものだった。

 今の話ではなく、昔のお話。

 冒険者になって三か月ほど経ったころから、俺の名前は密かに囁かれるようになっていた。

 数か月前に冒険者となった男が、ありえない勢いで依頼をこなしている。

 そんな噂が自分の耳にも入り込んできた頃だと思う。


「お兄さんを調査してほしいって依頼がエルの所にきたんすよ。そんで尾行したり身辺調査したりしてたんすけど、これがまた大変で」


 やれやれというジェスチャーをするエル。

 彼女が俺の周りを付け回っているのは気付いていた。

 とは言え、色々と知られてはまずいわけで、あえて危険な場所へ行ったりとか。

 間接的に諦めてくれるよう行動した。

 それでも彼女は諦めず、依頼をこなすため俺についてきた。

 そんな折、彼女がモンスターに襲われてしまった。


「そこをお兄さんが颯爽と助けてくれたんすよ!」

「ストーカーされてたのに?」

「いや、気づいたら助けてて……」

「ふぅん、まぁリンテンス君ならそうするだろうと思うけどさ」

「お人よしっすからね~」


 うんうん。

 と、二人そろって頷いている。

 なんでそこは息があうのか……


「えーっと、それで助けた後はどうしたの?」

「直接話を聞いて、教えても良いことだけ伝えたよ。その代わり、もう俺を付け回さないよう約束してもらった」

「それをきっかけにして何度か仕事で関わるようになって、仲良くなったんすよ」

「そっか~ で、いつキスしたの?」

「うっ」

「助けられたときっすね」


 話題を逸らせてたと思ったのに。

 シトネはじとっと俺を見つめてくる。


「だから誤解なんだって! 助けようとしたときにエルが倒れ込んできて、咄嗟に受け止めたらその……」

「キスしちゃったの?」

「……はい」


 って何で俺、シトネに責められてるんだろう。

 何だか謝らなきゃって衝動にかられて謝ってるけど、自分でもよくわからないな。


「わ、わかってもらえた?」

「……うん。不可抗力なら仕方がないね」


 ようやく理解してくれたようだ。

 俺はほっとしてため息をもらす。

 表情は、まだ言いたいことがありそうな感じだけど。

 

「終わったっすか?」

「誰のせいだと思ってるんだよ」

「あっはは~ まぁ良いじゃないっすか! 改めて、情報屋のエルっす! シトネさんとはこれから長い付き合いになりそうっすから、よろしくっすよ」

「そうだね。こちらこそよろしく」


 バチバチバチ。

 二人の視線で火花が散っているように見えるのは、たぶん気のせいじゃないと思う。


「な、なぁエル。いくつか聞きたいことがあるんだけど」

「何すか?」

「前より見られてる気がするんだが、俺がいない間に何かあったのか?」

「それはあれっすよ。お兄さんが突然いなくなったから、どこかで死んだんじゃないかーって噂が流れてたっすね」

「そういうこと」


 生きてたのか、みたいな驚きで注目されていたのか。

 一つこれで疑問が解けた。


「他には特になかったか?」

「何もないっすよ。いつもと変わらず騒がしいだけっすね」

「はははっ、それなら良かった」


 悪魔の影響がここにも及んでいないか心配だったけど、どうやらいらぬ心配だったようだ。

 これで確認事項は終わった。

 続けて本題に入るとしよう。

 実は今日、最初からエルを探そうと思っていたんだ。


「エル、久しぶりで悪いんだけど、さっそく依頼を頼めないか?」

「おっ! いいっすよ~ お兄さんの依頼なら、たとえ火の中水の中っす」

「頼もしいね。じゃあ、探してほしい人がいるんだ。もしくはその人の情報でも構わない」

「誰っすか? 冒険者? それとも貴族?」


 俺は首を横に振る。


「探してほしいのは、消息不明の聖域者アリスト・ロバーンデックだ」

「聖域者っすか!?」

「ああ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「リンテンス、一つ頼みごとがあるのだけど、いいかな?」

「何ですか?」

「人探しをしてほしいんだよ」

「人探しですか。ちなみに誰です?」

「アリスト・ロバーンデック」


 名前を聞いた途端、俺はびくっと反応する。


「聖域者じゃないですか!」


 それも数年前から失踪中っていう。


「そう。彼を見つけ出して協力を仰いでほしいんだ」

「悪魔との戦いに備えてですか?」

「そう。今後は現存する聖域者全員の協力が必要になってくる。もう一人の方は僕が何とかするから、彼は頼むよ」

「いいですけど、それなら師匠が会ったほうがいいんじゃないですか? 同じ聖域者同士なら話も早いでしょう」


 そもそも生きている前提の話だが……

 師匠が探せというなら、間違いなく生きてはいるのだろう。


「いや~ 実は僕と彼が仲がちょこーっと良くないんだ。主張が合わないというかね~ たぶん僕の話は聞いてくれないと思うんだよ」

「ああ、なるほど」


 この言い方は、ちょっととかいうレベルでなく嫌われてるな。

 

「まぁだから話すときも、僕の弟子だとは言わないでね?」

「了解しました。でも場所のヒントくらいありませんか? さすがに情報なしで探すのはきついですよ」

「う~ん、実は何もないんだ!」


 清々しい笑顔で師匠は言った。

 これは嫌われている以前に、一番面倒だから俺に押し付けたな。

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[一言] おもいっきりリンテンス君って言ってるけど大丈夫?
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