表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/106

68.残念だったね

 悪魔エクトールが黒い雷となって消滅した。

 その瞬間を、アルフォースとグレゴアが眺めている。


「おぉ~ 凄いねあれ」

「なっ……なんだよありゃ……ありえねぇだろ」

「うんうん。その気持ちはすごーくわかるよ~」


 嘘をつくな、と言いたげにグレゴアが睨む。

 すでに勝敗は決し、肉体は半分ほど消滅しかかっていた。


「そろそろ限界のようだね?」

「……くっ、ククク、クハハハハハハハ――ああ終わりだよ! ()()()()()なぁ」


 突然、グレゴアは開き直ったように大きく笑った。

 先ほどまでの驚愕が演技だったようにも思える程、活き活きとした表情に戻っている。

 

「この状況で笑えるなんてすごいね、君」

「かっ! 正直驚かされっぱなしだったし、負けちまったから返す言葉もねぇんだけどな。だが、安心しろよ人間。お前たちはどうせ滅ぶんだ」

「へぇ? 本当によく言えるね、そんな也で」


 アルフォースは笑顔のまま、瀕死のグレゴリを杖で突きさす。


「ぐっ……」

「君たちは負けたんだ。これで戦いは終わりだよ」

「いいや、終わらねぇよ。こっちの世界に来てるのがオレたちだけだと思ってるのか?」

「ん? あー、そういえば上司が来てるんだったね」


 地獄の三大支配者の直轄。

 悪魔たちを束ねる六柱の一人。

 【中将】フルレティ。

 彼らを従えて、こちらの世界に来ている大悪魔だ。


「オレたちが失敗したと知れば、今度はフルレティ様が直々に手を下される。あの方の力は、オレたちの比にならねぇ。いくらお前でも、勝ち目なんてねぇんだよ」

「やれやれ、何を言うかと思えば他人頼りなことだ。死に際とはいえ情けないね」


 呆れた顔をするアルフォースに、グレゴアが舌打ちをする。


「その余裕もなくなるぜ」

「それはどうかな? まぁでも確かに、あの悪魔はとても勤勉だからね。君たちがもっている情報はもちろん、他にも色々と知っていた。僕の権能に対して物量で挑んできたときには、正直ちょっと驚いたけどさ」

「そうだ! フルレティ様は――おい?」

「ん? 何かな?」


 グレゴリが違和感に気付く。

 アルフォースの言葉には、明らかにおかしな点があった。

 まるで、フルレティを直接知っているような話しぶりではないか。


「なんでてめぇがそれを知ってる? 物量だと? 何の話だ!」

「え? 何だわからないのかい? そんなの直接会っているからに決まっているだろう」

「なっ……」


 会っている。

 そう、アルフォースはフルレティを知っている。

 グレゴアは両目を驚きで見開き、口をパカっと開けている。


「良い表情だね~ よーし、そんな君に特大のニュースを教えてあげようか」

「な、なんだ――」

「君たちの上司ならもういないよ? 僕が倒してきたからね」

「なっ……」


 驚愕で顎が外れるくらい口を開くグレゴア。

 そんな彼を見て、楽しそうな笑みを浮かべるアルフォース。


「うんうん! さっき以上に良い表情だよ。やっぱりドッキリはこうでなくっちゃねぇ~」

「ふ、ふざけるな!」

「おっと、ふざけてなんていないさ。ちゃんと事実を伝えたまでだよ」

「ありえねぇ! フルレティ様が倒されるはずねぇだろ!」

「あーそう思うのは仕方がないか。確かに強かったけど、彼って六柱でも戦闘が得意じゃないでしょ? 僕の相手は務まらなかったよ」


 アルフォースは笑いながら、友人と接するように話す。

 グレゴアには彼の笑顔が、どうしようもなく恐ろしく感じられた。


「信じたくないのなら確認してみたらどうだい? 君たちは彼から、何かしらの連絡手段を貰っているはずだよ」

「そ、それは……」


 グレゴアが言い淀む。


「ほーらやっぱり。数日前から連絡がないんでしょう? 僕が彼を倒したのは五日ほど前だからね。ちょうどその辺りからじゃないかな?」

「ぅ……」

「図星だね」


 勤勉なフルレティは、部下の彼らに定期的な連絡を強いていた。

 毎日の決まった時間に連絡することとなっていたが、それが五日前から途絶えている。

 ただ、彼らは大して問題に感じていなかった。

 忙しいのだろう、くらいにしか思っていなかったのだ。

 それはフルレティが死ぬはずないという絶対の自信と、次なるターゲットに対する期待が高まっていて、冷静な判断が出来ていなかったから。


「さすがに彼が来てしまうと、リンテンスの修行にならなかったからね。先に処分させてもらった。本当なら二人も助けたかったけど、間に合わなかったようだね」


 アルフォースは申し訳なさそうに語る。

 二人というのは、彼らと戦った聖域者のことで、アルフォースは彼らを助けるつもりだった。

 しかし、予想よりも敵の動きが早く、間に合わなかったのだ。


「ふ、ふざけるな……何なんだ……何なんだよてめぇは!」

「僕はアルフォース・ギフトレンだよ。この世界で最も強い魔術師だ。君たちは僕を、甘く見過ぎていたんだよ」


 その言葉を最後に、グレゴアが消滅する。

 虚しく、絶望の表情を残して、何一つ残らず消えてなくなった。


「残念だったね。僕と出会ってしまったことが、君たちの不運だよ」

ブクマ、評価はモチベーション維持につながります。

少しでも【面白い】、【続きが読みたい】と思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載開始!! URLをクリックすると見られます!

『通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~』

https://ncode.syosetu.com/n9843iq/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

7/25発売です!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

7/25発売です!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ