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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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61.悪魔の力

 王都の街にはモンスターが放たれ、魔術師団はその対処に当たっている。

 魔術学校の校舎は、シトネたち四人の結界に守られていた。

 その頭上で、アルフォースは悪魔二人と対峙する。


「私はエクトールと言います」

「オレはグレゴアだぁ」

「これはこれはご丁寧にどうも」


 丁寧な話し方の悪魔がエクトール、四本腕の悪魔がグレゴアという。


「それにしても早かったね~ 僕の予想だと、もう少し遅いと思っていたのだけど」

「なーに言ってやがる。これでも遅れたほうだぜ」

「ええ。当初の予定では、戦闘後すぐここへ攻め込むつもりでしたから」

「へぇ~ そうなんだ」


 アルフォースはじっと彼らを観察する。

 聖域者二人と戦い、傷を負ったのは確かなのだろうが、今の彼らは傷一つない。

 回復は完璧に終わっていると考えるべきだろう。


「現代の魔術師なんて大したことねーと思ってたんだがな~ さすが神の庇護を受けた人間だ」

「傷を癒すのに今日までかかってしまいました。あなた方の認識を改めるには良いテストケースでしたよ」

「そうかそうか。二人はちゃんと君たちを追い詰めたんだね」

「不覚にもな。が、勝ったのは俺たちだ」

「そうです。そして貴方は現代最強の魔術師。こちらは二人で、貴方を殺します」


 エクトールが背後に方陣術式を展開。

 グレゴアも、四本の腕それぞれにまがまがしい大剣を持つ。

 戦闘態勢に入った二人に対して、アルフォースも杖を構える。


「やれやれ。僕としては、少しばかり手を抜いてくれると助かるのだけどねぇ」

「そいつは無理な相談だぜ!」


 グレゴアが迫る。

 四つの大剣を同時かつ、不規則に振るう。

 アルフォースは杖で受け流しながら後方へ下がり、流れるように炎の渦を発生させグレゴアを攻撃した。


「おらぁ!」


 炎の渦をグレゴアは大剣を一薙ぎすることで消し去る。


「それは魔剣だね?」

「当たりだぜ! ついでにいやー」


 アルフォースの頭上。

 無数の大剣が待機していることに気付く。


「全部俺の魔術で作ったもんなんだがな!」


 降り注ぐ魔剣の雨。

 一本一本が強力な魔力を帯びており、アルフォースの結界障壁を貫く。

 当たる直前で回避したが、そこへ今度は魔力エネルギーの砲撃が襲い掛かる。


「おっと、今度は君かい?」

「ええ。我々は二人で戦うと言いましたよ」

「そうだったね」


 エクトールの背後の方陣術式は、魔力エネルギーをビームのように発射できるようだ。

 さらに足元で別の術式を展開。

 黒い鞭がアルフォースに襲い掛かる。


「術式の並行処理は当たり前か。どれもレベルが高くてビックリだよ」

「お褒めに預かり光栄です。ですが、それならもっと驚いた表情をして頂きたいですね」


 続けて巨大な氷柱がアルフォースに放たれる。

 これを突風で弾き飛ばし、炎の玉を生成。

 炎の玉をエクトール目掛けて放つ。


「させっかよ!」


 隙ありと言わんばかりに切りかかるグレゴア。

 魔剣で切り裂かれたアルフォースの身体は、白い花びらとなって散る。


「幻術か!?」

「その通りさ!」


 放たれていた炎の玉が、アルフォースの姿へ変身する。

 全てがアルフォースとなり、エクトールを惑わせる。


「ふっ、この程度――」


 エクトールは頭上に術式を展開させ、鋭い針のような光の雨を降らせる。

 接近していたアルフォースの分身は光の雨に貫かれ消滅していく。


「全て消してしまえば済むこと」

「だと思ったよ」

「何っ!」


 エクトールの足元にアルフォースが迫っている。

 先ほどの分身は全て囮で、本体は幻術で姿をくらませ、エクトールの足元に近づいていた。

 光の雨も、術者自身にはかからないよう調整する。

 ならば術者の足元と頭上だけは、安全なエリアになるということ。


「もらったよ!」


 アルフォースが手を伸ばす。

 確実に虚を突いた。

 しかし――


「おっと?」

「危ないですね」


 エクトールが一瞬で消えてしまった。

 次に彼を見つけたのは、数十メートル離れたグレゴアの隣。


「なるほど。転移の魔術が使えたんだね」

「ええ。まさかこれほど早く使わされるとは思いませんでしたよ」

「はっはっはっ! 何だか今日は褒められてばかりだな~ 普段なら嬉しいけど、今は素直に喜べない」


 互角の戦い。

 どちらも一歩も引かない攻防を、結界を維持しながらシトネたちが見ている。


「凄い……さすがアルフォース様」


 でも……

 攻め切れていない。

 悪魔二人には、まだまだ全然余裕が感じられる。


「このまま戦えば、体力が底をついてしまうぞ」


 人間と悪魔では肉体の作りが異なる。

 強度はもちろん、魔力量や体力も、悪魔のほうが圧倒的に上だ。

 いくらアルフォースでも、持久戦になればいずれ体力が底をついてしまう。

 長引けば長引くほど不利になる。

 そうだとわかっていても、下手に踏み込み過ぎると命とり。

 加えて下には守るべき校舎がある。

 今の彼に出来ることは、リンテンスの修行が終わるまでの時間を稼ぐこと。


「こんなにも他人を恋焦がれたのは初めてだな」

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少しでも【面白い】、【続きが読みたい】と思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


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