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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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54.迫りくる脅威

「さてさて、色々と疑問はあるだろう。それについては安心したまえ。今から私がする話を聞けば、大方の疑問は解消されるはずだからね」

「その口ぶり……やはり師匠もこの件に関わっているんですね」

「もちろんだとも! と言いたいところだが、半分正解で半分違う」


 半分?

 と心の中で呟き、次の言葉に耳を傾ける。

 

「君も知っての通り、僕は王国からの依頼で留守にしていた。それを今回の件だと思っているなら間違いだよ」

「そうなんですか?」


 てっきりそうなのだと思い込んでいた。 

 師匠は頷き、続きを説明する。


「うん。僕が受けていたのは別の依頼でね。この件とは全くの無関係だった。ことの顛末を知ったのもついこの間のことだよ。たぶん、君たちより数時間早い程度の差でしかない。もちろん、君たちよりは細かく事情を知っているけどね」


 師匠は話しながら、テーブルの上のカップを手にかけ、紅茶を一口含む。

 落ち着いたため息をこぼして、カチャリとカップを置く。

 そして、唐突にこんな質問を投げかけてきた。


「リンテンス、以前に悪魔の話をしたことを覚えているかい?」

「えっ? あ、はい。覚えていますよ」


 確か、悪魔がいるのかどうかの話だっけ?

 俺はおとぎ話の生き物だと思っていたけど、師匠はいると断言していた。

 それから……


 悪魔と出会う時までに、戦えるようになっていてほしい。


 師匠は俺にそう言ったんだ。

 その記憶が脳裏をよぎり、師匠の言葉と繋がる。


「東西で確認された未確認生物……その正体こそ悪魔だった」

「なっ……本当なんですか?」

「うん、間違いないよ。戦った本人からの情報だからね」

「本人?」


 聖域者の二人のことか。

 でも一人は死亡して、もう一人も意識不明だと聞いている。


「生き残った一人、アベルがさっき目覚めたんだよ。両脚と左腕を失っていたが、命は何とか繋ぎとめていた。残念ながらシュレトンさんは、遺体も発見できなかったよ」


 アベル・レイズマン。

 師匠より後に聖域者となった男性で、家は騎士の家系。

 太陽神ミトラの加護をもち、太陽の下では無限に等しい魔力量と、魔術センスを得られる。

 類まれなる剣術の才能があり、太陽の騎士と呼ばれていた。


 シュレトン・マーシャル。

 現存していた聖域者では最年長のご老公。

 御年六十二歳を迎えたが、まだまだ魔力も肉体も衰えることなく現役だった。

 その源は、地母神レアの加護を受けていたからだろう。

 大地を自在に操り、植物から生命力を分け与えられていたから、肉体の老化も緩やかだったに違いない。

 師匠の師であるナベリウス校長の同期でもある。


「師匠、校長の所へは」

「うん、わかっているよ。さすがに後で顔を出すさ」

「そうですね。それが良いと思います」


 きっと落ち込んでいるはずだ。

 なんてわかった風に言うのは失礼かもしれないけど。

 師匠も心配していることが伝わる。

 

 そのまま師匠は詳しい説明を続けた。

 

 東西を侵攻していたモンスターの群れ。

 その群れを率いていた将こそ、悪魔だったという。

 悪魔たちはモンスターを使い、近くにあった街や村を襲っていた。

 モンスターたちに下されていた命令は『鏖殺』。

 アベル様が到着した時には、女子供も無関係に、一人残らず殺されていたそうだ。

 そして、モンスターの群れを一掃した後、悪魔と交戦した。

 激しい戦いの末、アベル様は重傷を負ってしまう。

 しかし、相手も傷を負い、止めを刺される前にどこかへ消えた。

 シュレトン様のほうは詳細はわからない。

 ただ、戦いの激しさを物語る痕跡が残されており、アベル様と同様の結果だったと予想されている。


「その後は大きな被害が出ていない。二人はちゃんと、人々を守るという役目を果たしたんだ。さすがだよ」

「……はい」


 俺に合わせて、シトネたちも頷く。

 師匠と俺の会話を邪魔しないよう、みんなは空気を読んで黙ってくれているようだ。

 

「師匠、聞いてもいいですか?」

「何だい?」

「悪魔ってそもそも何なんですか? 前に話した時も、具体的なことは話さなかったですよね? でも……」


 師匠はたぶん、知っている。

 悪魔という存在のことを、本に書いてある内容以上に。

 そんな予感がして、俺は質問していた。

 師匠は答える。


「そうだね。あの時はまだ……いや、今は話すべきだね。君の言う通り、僕は悪魔を知っている。というより、僕の中には悪魔の血が混ざっているんだ」

「えっ……」

「良い反応だね。普段なら喜ぶところだけど、今は調子に乗らず話を続けよう。混ざっているといってもほんの僅かだ。僕の祖先はね? 悪魔と人間の混血だったんだよ。その関係なのか、大昔の記憶が断片的に残っている」


 そうか。

 師匠の話を聞きながら察した。

 以前、悪魔に会ったことがあるのか尋ねた時、師匠は半分正解だと言った。

 半分と言うのは、そういう意味だったのか。


「当時、世界はとても平和だった。本の歴史だと種族同士で争っていたって書いてあるけど、あれは間違いなんだ。本当の歴史は別にある」


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