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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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51.ブラックドラゴン

 俺とグレンが空を見上げる。


「これは……」

「何だ?」


 黒い闇が青空を覆い隠す。

 その場にいた全員が上を見上げていた。

 立ち止まり、訓練も忘れている。


「黒い……雲?」


 シトネはそう言いながら首を傾げる。

 続けてセリカが言う。


「雲ではなさそうです。ウィンネが怯えている」


 風の精霊が震えている。

 突如、それは何の前触れもなく出現した。

 雲ではなく、見た目は沼に近い。

 ドロドロとしているようで、落ちてはこないけど、何だか汚らしい。

 

 そして――


 漆黒のそれは、同じく漆黒の影を呼び出す。

 

 ワイバーンと同じ形状をしている。

 ただし、大きさはワイバーンの十倍を超え、迫力は似て非なるもの。

 黒い翼を羽ばたかせ、ギロっと赤い目で睨まれれば、誰もが死を悟るだろう。


 ほとんどの者たちが初対面。

 俺は……久しぶりだ。


 ドラゴンが声をあげ、翼をばさりと開く。

 その迫力を前に、誰もが動けない。

 森にいた全員が声を忘れ、戦うことも忘れてしまっていた。

 ただ一人を除いて――


「蒼雷」


 青い雷を纏い地面を蹴る。

 そのままドラゴンの頭部を、思いっきり殴り飛ばした。


「リンテンス君!」

「全員下がれ! こいつは俺が倒す!」


 俺が大声で叫ぶ。

 シトネたちはもちろん、他のクラスメイトにも言ったつもりだ。

 ドラゴンが相手では、さすがにみんなを庇いながら戦えない。

 それに今回は、ドラゴンの中でも最強と評されるブラックドラゴンだからな。


 ドラゴンには種類がある。

 簡単な色分けで、黒と白がもっとも強い個体とされ、次が赤、黄、青、灰色の順だ。

 俺が中間試験と言われ戦ったのはレッドドラゴン。

 冒険者として追い払った群れは、青と赤の混合だった。

 

 ドラゴンの尾が、空中の俺を叩き落とす。

 吹き飛ばされた俺は、地面に叩きつけられた。

 蒼雷を纏っているから平気だが、尻尾だけでかなりの破壊力を持っているようだ。


「ちっ、黒は初めてだな」


 今の一撃だけでわかる。

 他の色とは明らかに異なる強さだ。

 本気で戦うべきだと悟り、大きく深呼吸をする。


 ドラゴンも俺を敵として定めたのか、こちらを睨んでいる。


 いつの間にか、さっきの黒い影は消えていた。

 おそらく転移系の魔術で、人為的に送り込まれたのだろう。

 色々と疑問はあるが、今やるべきことは一つだ。

 

「まず、お前を倒す」


 右腕を前に伸ばし、左手で支える。

 

「赤雷!」


 放たれる赤い稲妻。

 言わずもがな、最大威力で放った一撃だ。

 対してドラゴンは顎を開き、黒いブレスを放つ。

 黒い砲撃と赤い稲妻。

 二つがぶつかり合い、中央で爆発する。


「くっ……」


 ブレスも桁違いだな。

 赤雷で競り負けそうになったぞ。

 

 ドラゴンは上空で毅然と待ち構えている。

 まるで、ここまで来いと言っているように見えた。


 上空対地上。

 分があるのは上空だ。

 ならばこちらも、同じフィールドで戦うまで。


 色源雷術黄雷(おうらい)――


(おおとり)


 黄色の稲妻が走り、頭上で一つへと集結する。

 集まった雷は形を変えていき、大きな雷の鷹となった。

 黄雷は意思を持つ雷を生み出す。

 召喚魔術の術式と掛け合わせることで、精霊のような存在を生み出す術式に進化した。

 俺は鳳に飛び乗り空へあがる。


「藍雷――大槍」


 そのまま藍雷で巨大な槍を生成。

 ドラゴンの腹目掛けて投げ飛ばすが、硬い鱗に覆われていて、貫けず弾かれる。


「さすがに硬いか」


 レッドドラゴンなら、今ので貫けたんだがな……

 藍雷の貫通力では、ブラックドラゴンの鱗は貫けない。

 加えて――


 こいつは動きも速い。

 頭も回るのだろう。

 翼と尻尾を巧みに使い、俺を叩き落とそうとしている。

 俺は回避しながら、赤雷と藍雷の弓を駆使して応戦。

 しかし、どちらもブラックドラゴンにダメージは与えられない。

 

 ノーモーションからのドラゴンブレス。

 今度は赤雷が間に合わず、回避に徹した。

 もし一撃でも受ければ、蒼雷を纏っている状態でも大ダメージを負う。

 

「さて……」


 どうする?

 俺は思考を回らせる。

 ブラックドラゴンの鱗を貫く方法。

 考えられるパターンはあるが、どれも時間がかかってしまう。

 それを悠長に待つほど、ドラゴンものんびり屋じゃない。

 一番可能性の高い手の中で、一番短い時間では使える手段。

 それでも十秒はかかるだろう。

 つまり、十秒の足止めがいるということ。


 ならば――


「ドラゴンの相手は、ドラゴンに任せよう」


 俺は両手を上にかざす。


「色源雷術黄雷――竜」


 発生した膨大な雷撃が、一本の線を引くように伸びる。

 さらにグルグルと雷が巡り、巨大な蛇のような形へ変化した。

 同じドラゴンでも、こっちのはモチーフが違う。

 神話や童話に登場する架空の生物としてのドラゴンであり、神の使いとも呼ばれる。


 名を神竜という。


 とぐろを巻いた竜が、俺と共にブラックドラゴンを睨む。


「さぁ、始めようか」

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