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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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48.強敵の影

 待機時間を過ごし、夕食で再び全員が集まる。

 広々とした部屋に長テーブルが連なっていて、そこに百五十人が座っている。

 さすがに圧巻の光景だと思った。

 俺たちもそのうちの一テーブルを使い、夕食をとる。


「食事は魔力回復に良いし、たくさん食べないとな」

「うん! いっただきまーす!」


 シトネは何だか上機嫌だ。

 セリカとも親し気に話している様子を見れたし、いい関係を築けているようでほっとする。


「明日からは何するのかな~」

「例年通りであれば、明日よりチームでの訓練が中心になるはずですね」

「先生もそんなこと言ってたね。チームでまた鬼ごっことか?」

「あれは今日の一回限りだと思いますよ。準備運動としてなら、一番最初に行った森を一周を優先するでしょうし」

「えぇ~ あれは走るばっかりで面白くないよぉ」


 シトネがぐでーっとしながらそう言った。

 確かに、ただ走るだけも詰まらないのは事実だ。

 俺も準備運動と言うなら、鬼ごっこのほうが嬉しい。

 あれを準備運動と捉えるかは、先生たち次第になると思うけど。


 二人の会話を聞きながら、グレンが言う。


「いやしかし、あれも中々に刺激的だったと思うよ。特に湖と渓谷は渡るのに苦労させられたからね」

「そうですね。噂では、リンテンス様は水上を走っていたと聞きますが」

「えぇ! そうなの?」


 シトネの視線がこちらに向く。

 そんなに驚くようなことなのかと、俺は首を傾げた。

 そうして渓谷でのことを思い出す。


「渓谷か」

「どうかしたか?」

「いや、そういえば渓谷に面しろ……妙な痕跡があったんだよ」

「痕跡?」


 グレンが聞き返す。

 この様子だと、気づいたのは俺だけのようだ。


「でかいものが落下した跡と、引きずって動いた跡だったかな」

「そんなものがあったのか」

「全然気づかなかったよ」

「移動に集中していましたからね。リンテンス様と違い、余裕はありませんでしたので」


 そうでなくても暗かったし、よく見ないとわからない。

 加えてそれの存在を知らなければ、痕跡を痕跡としてとらえられなかっただろう。

 二重の意味で仕方がないと言うと、グレンが尋ねてくる。


「それで何の痕跡だったんだ?」

「たぶんドラゴンだと思う」


 三秒。

 シーンと静まり返る。


「「「ドラゴン!?」」」

「うおっ、ビックリしたなぁ」


 突然の大声で身体がのけぞる。

 他のクラスメイトたちも、急なことで驚いている様子。

 やれやれとジェスチャーする俺に、驚いたままのシトネが言う。


「驚いたのはこっちだよ! ドラゴン!?」

「本当なのか? リンテンス」

「ああ、うん。あれと同じ痕跡を、前にドラゴンの巣で見たことがあるからな」


 大きく太い尻尾を引きずったような跡もあった。

 巨体と尻尾の跡を残し、渓谷となればドラゴンの可能性が一番高い。

 話によれば、ここは昔ドラゴンの生息地だったらしいし、いても不思議ではない……か?


「事実だとすれば大問題です」

「ああ。研修が中止されることもあるぞ」


 セリカとグレンが深刻な表情で言う。


「中止はさすがにいきすぎじゃないか?」

「何を言っているんだ。ドラゴンは一級災害指定のモンスターだ。それがいるとわかっているのに、研修を続けるのはリスクが高すぎる」

「一級災害指定……そういえばそうだったな」


 世界中に存在するモンスター。

 その種類は年々増え続け、現在五百を超えているらしい。

 等級別災害指定は、大きさ、強さ、繁殖能力などを基準として、どれだけの脅威があるかを分類するもの。

 一級災害指定は、一匹でもいれば都市が半壊する可能性が高いことを示している。

 ドラゴンは強力な存在だ。

 年が経つにつれ数も減ってきたが、その脅威は薄れていないと聞く。


「いや、でも大丈夫だと思うぞ? いても一匹だし」

「それは君の基準だろう? 判断するのは先生たちだ。あとで報告しに行こう」

「まぁ、そうだな」


 正直、ちょっとガッカリしている自分がいる。

 ドラゴンは久しく戦っていないし、強敵だから訓練相手にもピッタリだ。

 あわよくばと言う期待もあったから、その分もきているな。


 その後、俺とグレンで先生に報告をした。

 結論だけ先に言うと、研修は続行することになった。

 この周辺に関しては、常に数名の監視がいる。

 研修前から観察されているが、ドラゴンらしき影はなかったそうだ。

 痕跡も最近のものではないという判断となった。

 

「中止は免れたか」

「みたいだな」


 グレンも納得している様子。

 確かに監視がいて、見ていないとなれば安全と判断できなくはない。

 ただ、俺は密かに思っていた。

 あの痕跡は、少なくとも戦いがあったという時代に出来たものではなかった。

 もしかすると、何か起ころうとしているのかもしれない……と。

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少しでも【面白い】、【続きが読みたい】と思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


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