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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二部

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41.激戦の夜

第二部始まります!

最初しばらくは平和なお話が続きますよ!


たぶん

 とある日の昼下がり。

 俺は師匠と一緒に、山奥へピクニックへ来ていた。

 わけではなく、迷惑のかからない場所で修行をしていた。

 初めは軽く済ませようという話だったが、当然そんな簡単に終わることはなく、みっちり扱かれてヘトヘトになりながら、地面に寝そべっている。


「だらしないね~ まだ準備運動のつもりだったんだけどな~」

「嘘つかないでくださいよ。明らかに全力ダッシュしてたじゃないですか」

「いやいや、僕の全力はもっとすごいからね」

「そういう意味じゃなくて……もう良いです」


 師匠の基準は常人とずれている。

 普通なら根を上げるギリギリをゴールに設定するところを、師匠の場合はそこが準備段階だからな。

 慣れてきたとはいえ、キツイことには変わりない。

 さらには苦しんでいる俺をみて、楽しそうに笑ってくれるから。

 質が悪いよ。


「師匠の前世って悪魔なんじゃないですか?」


 と、冗談のつもりで口にした。

 いつもみたいにおちゃらけたような返答が来ると思ったら、師匠はしばらく黙って考えている様子。

 そして、俺の横に腰をおろし、改まって質問してくる。


「リンテンスは、悪魔を知っているかい?」

「え、まぁ本で読んだことがあるくらいですね」


 かつて多くの種族が存在し、互いの領地をかけて争いが起こっていた時代があったという。

 今から何千年も昔の話で、現代では予測を混ぜ合わせた歴史として伝わっている。

 その時代に生きていた種族の中で、最も邪悪で、最も魔力に愛されていた種族の名を悪魔という……らしい。

 本にそう書いてあったことを思いだす。


「見た目は人に近い。でも思考や力はまったくの別物……いいや、別次元と言っていい。上位の悪魔は、聖域者を上回る力をもっていたそうだ」

「って書いてましたね。でもあれって空想じゃないんですか?」


 悪魔に関する書物はいくつかある。

 ただ、どれも理屈だった説明がなく、根拠が示されていない。

 勉強の一環として記憶しているが、誰かの作り話じゃないかと思っているくらいだ。

 でも、師匠は首を横に振って言う。


「空想じゃない。あれは事実だよ」

「え、そうなんですか?」

「ああ」

「師匠は……悪魔に会ったことがあるってことですか?」

「半分正解かな」

「半分?」


 どう意味なのか尋ねても、師匠はニッコリと微笑んで躱す。

 そのまま空を見上げて、思い出にふけるようにため息をつき、俺に向けて呟く。


「君もいずれわかるさ。その時までにせめて、悪魔と戦えるくらいにはなっててほしいね」

「師匠?」

「と、いうわけで! 休憩は終わりだよ」


 その後、前半が準備運動だったと思えるくらい扱かれて、帰り道は半分寝たまま帰った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 懐かしい夢を見た。

 扱かれて、疲れたまま帰って、夢の中にベッドに倒れ込んだ。

 次に目が覚めると、現実のベッドで横になっていたことに気付く。

 外は真っ暗で日の出には早い。

 いや、そもそも時計を見ると、針は午後七時半を指示している。


「ああ……そうか」


 おぼろげな記憶を辿り、徐々に思い出す。

 兄さんとの戦いが終わった後、長い長い学校長の話があって、眠そうに聞いていたら後で説教されて、その後も観戦していた貴族たちに声をかけられて……

 戦った後で疲れているのに、勘弁してほしかったな。

 それで全部が終わってから、トボトボと屋敷に戻って、仮眠をとるつもりで横になったんだ。


「しまったな。六時には起きるつもりだったのに」


 夕食の準備が終わっていないことを思い出し、ベッドから起き上がる。

 寝たとはいっても短時間だ。

 そんなに疲れがとれたわけじゃない。

 白雷を使った影響で、未だに魔力が半分以下なのも不安だな。

 

 ガチャ、と部屋の扉を開ける。


「ん?」

 

 ほのかに良い匂いが感じられる。

 その匂いにつられれて一階の台所まで行くと……


「シトネ?」

「あ、リンテンス君! 起きたんだね!」


 エプロン姿のシトネが台所に立ち、料理をしていた。

 ぐつぐつと煮込んだ鍋と、すでに何品かはテーブルに並んでいる。


「これ、シトネが作ってくれたのか?」

「そうだよ! リンテンス君疲れてるだろうなーって思ったから、偶には私が料理も頑張っちゃおうと思ったの」

「そうか。ありがとう、シトネ」

「いいのいいの! いつもリンテンス君には助けられてるからね。もうすぐ出来るから、座って待ってて」

「ああ、そうするよ」


 いつもの席に座って、彼女が料理を運んでくるのを待つ。

 全部の料理がずらっと並んで、シトネも自分の席に着いたら、手を合わせて言う。


「「いただきます」」


 どれも美味しそうだ。

 まずは手前にあるスープを一口。


「どうかな?」

「うん、美味しいよ」

「本当? よかった~ リンテンス君ほど上手じゃないから、あんまり自信なかったんだよ」

「いやいや、これだけ一人で作れたら十分だよ」

「そうかな? じゃあ今度から代わりばんこに料理しようよ! そうすればリンテンス君の負担も減るでしょ?」

「ああ。そうしてくれるとありがたい」


 二人で話しながら、食卓を囲む。

 ここに師匠がいないことが、少し寂しいな。

 今頃ちゃんと仕事しているのだろうか。

 それにしても、誰かの手料理を食べるなんて、本当に久しぶりだ。


「温かいな」

「作りたてだからね!」

「はっはは、そうだな」


 そういう意味じゃないけど、とかツッコミをいれるのは無粋だな。

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少しでも【面白い】、【続きが読みたい】と思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


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