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【WEB版】ナナイロ雷術師の英雄譚―すべてを失った俺、雷魔術を極めて最強へと至るー【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第一部

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34.お弁当タイム

「ていう感じだ。ごめんな、嫌な話を聞かせて」

「ううん、聞かせてくれてありがとう」


 何とも言えない雰囲気のまま、夜のひと時が過ぎていく。

 ちなみに、師匠がからかおうとスタンバイしていて、そういう空気じゃなかったから退散したことを、俺は気付いていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 翌日から普通に授業を受ける。

 基本的には座学で、基礎と歴史の続きだ。

 ハッキリ言ってつまらない。

 というのは、俺以外も思っているに違いない。

 歴史はさておき、基礎が重要だと理解していても、すでに熟知している身としては退屈だ。


「魔術の基本は魔力コントロールだ。ここを勘違いする魔術師は大成しないからな」


 と、先生が熱弁している。

 師匠から散々教えられたことだ。

 今さらはき違えることはない。


「ふぁ~」


 失礼だとわかっていても、無意識に欠伸が出てしまう。

 対してシトネたちは熱心だな。

 先生の話を聞きながら、ちゃんとメモをとっている。

 三人ともこれくらいの内容なら、とっくに熟知しているだろうに。


「真面目だな~」

「あれ? リンテンス君はメモとらないの?」

「俺もちゃんと聞いてるよ。知らない内容だったらメモするけど」

「そうなの? 私は一応メモだけしているけど」

「知ってることはいらないんじゃないか?」

「う~ん、そうなのかな~」


 と二人で話していると、それに気づいた先生がこちらを向く。


「そこの二人! 私語は慎みなさい!」

「あっ、ご、ごめんなさい!」

「すみません。気を付けます」

「やれやれ」


 シトネはびくりと反応して、慌てて頭を下げていた。

 隣でグレンは、俺たちを呆れた顔で見ている。

 退屈な授業には良い刺激になったかな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 午前中の授業が終わり、昼休憩の時間になる。

 生徒たちはパラパラと歩き出し、教室を出て行った。


「俺たちも食堂にいくか」

「うん!」


 俺とシトネ、グレンとセリカも一緒に一階の食堂へ向かう。

 昼食はここで食べる決まりになっていて、厨房ではせっせと料理を作っている。

 メニューから何か注文する生徒もいれば、自分で作ってくる生徒もいて、こういう場所でも個性が出るな。

 ちなみに俺とシトネは……

 

「ほい、シトネの分」

「ありがとう!」


 俺はお弁当をシトネに手渡した。

 手作りの弁当を開けて、一緒に手を合わせて「いただきます」を言う。

 さぁ食べようと口を開いたとき、目の前から視線を感じる。


「何だよ」

「いや凄いな。弁当まで自分で作っているのか。それもシトネさんの分まで」

「まぁな」


 一人暮らしの影響か、料理は日課になってしまった。

 そんなに嫌いじゃないし、苦にはならない。

 むしろシトネが美味しそうに食べてくれるから、毎日張り切ってしまうことも。


「とーっても美味しいんだよ!」

「ああ。前にいただいた昼食も良かったな。料理も出来るなんて憧れるよ」

「よしてくれ」


 料理を覚えた経緯を考えたら、とても褒められることじゃないからな。

 仕方なくというのが正解だ。


「そうだ! 今度僕たちの分も作ってきてくれないかい?」

「え、嫌だけど」

「うっ……即答とは」


 だって面倒だし。

 という本音は口にせず、黙ってパクパク食事を続ける。

 すると、グレンは悪戯をしかける子供ようのに笑い、俺を見ながら言う。


「そうか、なるほど……シトネさん以外に自分の弁当は作らない、ということだね」

「は? 何言って」

「いや良い、わかっているさ。彼女は特別なんだね」

「っ! ごほっ……」


 シトネがビックリしてむせてしまった。

 グレンがそんな冗談を言うなんて。

 まるで師匠みたいだと思って、俺は呆れ顔をする。


「やれやれ。というか、お前はセリカに作ってもらえば良いだろ」

「ん、あーそうだね。でもセリカも忙しいから、余計な仕事を増やすのは忍びないな」


 俺ならいいのか?

 グレンの奴、中々良い性格しているな。

 ちょっとずつ素が出てきたらしい。


「心配いりません。グレン様がお望みであれば、昼食は私が用意いたします」

「本当かい? じゃあ明日は頼むよ」

「かしこまりました」


 淡々と会話を進める二人。

 もっと慌てたり、恥ずかしがることを期待したのだが……

 からかうつもりで失敗したようだ。


「あーそうだ。来週から実技訓練が始まるそうだけど、チームはどうする?」

「チーム?」

「何だ? もしかして聞いていなかったのかい?」


 朧げに覚えているような……いないような。

 グレンに言われて思い出そうとしているが、ピンとこない。

 そんな俺に呆れたグレンが、ため息交じりに説明する。


「実技訓練は三人以上のチームで受ける決まりだ。来週までに各々でチームを組むよう言われていただろう?」

「そうだったけ? シトネは知ってた?」

「うん」

「あ、そう……」


 普通に聞き漏らしたな。


「魔術師はチームで行動することが多いからね。その一環だろう」

「それは知ってる」


 魔術師団の任務でもそうだった。

 単独で任務にあたるのは、魔術師でもごく一部。

 それこそ師匠のような人だけだ。


「で、どうする?」

「この四人で良いんじゃないか?」

「最大五人だけど、一人は追加しなくていいかな?」

「必要ない。ここにいる四人で十分最強のチームだろ」

「ははっ、確かにね」


 グレンはたぶん、わかっていて尋ねたのだろう。

 俺に直接確認して、口で言わせるために。

 本当に良い性格しているよ。

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少しでも【面白い】、【続きが読みたい】と思ったら、現時点でも良いので評価を頂けると嬉しいです。


☆☆☆☆☆⇒★★★★★


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